季節も夏から秋に移り変わり、読書の秋がやってきました。
先日、ふと思い立って本棚の中からマンガを取り出し読み始めました。

そのとき手に取ったのは「君に届け」という作品です。
主人公は女子高校生で、ありふれた日常の青春と恋愛模様を描いたマンガです。
映画・アニメ・ドラマ化もされているので、知っている人がいるかもしれませんね。
今日は、その中からとてもいいシーンがあったので紹介させてください。

そのシーンは、主人公の友達の『あやね』の進路指導の場面です。
今の自分の成績からみて堅い進路を決めたあやねに対し、担任の荒井先生はこう言います。

「自分の限界をものすごい手前で先に決めてるんじゃないのか?」

あやねは、自分はこの程度だからこれぐらいの学校でいい、と進学先を決めていました。

荒井先生は「レベル下げるのも1つの手だ。悪いことじゃない。」と認めつつ、「選択の幅を自分自身で狭めていないか」と語りかけます。
これをきっかけにあやねは一歩を踏み出します。

受験を控えているみなさんの中に、同じような気持ちで受験先を決めようとしている人はいませんか?
自分の中で無理そうだからとあきらめてしまったところはありませんか。
本当にその学校に行きたいですか?少しだけ自分と対話してみるのはどうでしょうか。
自分と向き合い全力で取り組んでいるからこそ見えるものが、きっとあると思います。

自分の進む方向が決まったら、あとは全力で自分のできることをやっていくだけです。
限界を自分で決めないように少しずつ出来ることを増やしていけば、限界だと思っていたところはいつの間にか限界ではなくなっていると思います。
そういう積み重ねが自信につながっていきます。

春夏と季節は過ぎていきました。
残りは秋と冬。
この季節を乗り越えて満開の桜が咲く中で笑顔を満開に咲かせる春にするために、がんばっていきましょう。

近年、アニメを中心としたBGМ音楽家として頭角を表しているエバン・コールさん(35歳)をご存知でしょうか。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という作品が有名ですが、彼はアメリカ・カルフォルニア州の生まれで、ボストンにある名門・バークリー音楽大学を卒業後、2012年より日本を拠点にゼロから創作活動を開始し、幅広い楽曲作りで目覚ましい活躍をされています。

そんなエバン・コールさんの新しいサントラ作品集の音源が昨年末に出たので、聴いてみました。
全127曲中で特に好きなのは、事が瞬時に変化する様の描写が絶妙な『光芒一閃(こうぼういっせん)』という曲なのですが、よくよく眺めてみると、他にも『四面楚歌』『虎視眈々』『大願成就』といった古風な四字熟語のタイトル曲が乱立しています。
数えてみたら26曲もあって、実に2割も占めていました。(作曲者は米国人なのに、なんで?)

知識の源である語彙力を測るため、四字熟語は入試にも度々取り上げられています。
『自由自在』『一問一答』『百戦錬磨』『起承転結』『万里一空』『不易流行』『花鳥風月』『誠心誠意』……、思いつくままにいくつか挙げてみましたが、キリがありません。
(狭義では、日本におよそ10000語はあるらしいです。)
元々は、いにしえの中国の故事成語に由来するものが多いとはいえ、日本人の日常に自然と溶け込んでいる四字熟語。
「四文字という短い語に込められた複層的な意味の深さ」「音にしたときのリズムの小気味よさ」「漢字を並べたときのビジュアルの面白さ」などをイメージしますが、総じて、美しく含蓄に富み、しかもどことなくカッコいい。
そういうところに、みんな惹かれるのではないでしょうか。
四字熟語は、授業やテストに向けて暗記するためにあるのではありません。
先人の知恵が凝縮された、いわば人生を豊かにしてくれる存在なのです。

ところで、「外国人に伝えたい日本の四字熟語は何か。」という調査があって、その結果、トップは『一期一会』でした。
しかも、中高生から40代までの男女1000人を対象にした別の調査(四字熟語の人気ランキングリサーチ)においても、圧倒的多数で第1位になっています。
意味的には「一生涯に一度限りの機会であること」ですが、前述のエバン・コールさんもかつて、観光ビザでわずか3か月間ほど日本に滞在していた際、シェアハウスのルームメイトの友人との出会いを通じて、幸運にも音楽クリエーター集団加入への道が開かれ、ひいては、日本での成功へとつながっていきました。
自分自身を振り返ってみてください。
昔の出来事にとらわれ、引きずっていませんか。
また、将来への不安を過大に受け過ぎ、萎縮していませんか。
でも、私たちは、過去でも未来でもなく、現在を生きています。
「今・この瞬間」に縁のあった一期一会を大切にすることを、少しずつ少しずつ積み重ねることによって、「未来」への新たな可能性を広げていきましょう!

今年の世界水泳選手権は福岡で開催されました。

日本は金メダル4個、銀メダル1個、銅メダル5個の合計10個のメダルを獲得する活躍を見せました。

ところで水泳の自由形では選手たちはみんなクロールで泳ぎますが、なぜ「自由形」なのにクロールばかりなのでしょうか。

実は水泳の自由形は第1回オリンピックから続いている歴史のある種目です。
その時は全員が平泳ぎだったそうですが、その後、背泳ぎ、クロールというように速く泳ぐ方法が開発され、自由形の泳法が変わってきたのです。

それではクロールより速い泳ぎ方はないのかといえば、「ドルフィンクロール」という泳法があります。
手はクロール、足はドルフィンキックで泳ぐ泳法で、ゴール直前にこの泳法を使って世界記録を更新した選手もいます。
ただ選手の疲労が激しいので、試合を通して泳ぎ切ることが難しく、幻の最強泳法とも言われています。
いつか、ドルフィンクロールを駆使する選手が現れて、どんどん世界記録が更新されるかもしれません。

当たり前、これが限界と思われたことも、ひとつのきっかけでそれを突破し、新しい世界が広がることも少なくありません。
今週からは2学期です。
夏休みにみなさんは講習会や部活の大会、家族旅行など様々なことを経験したと思いますが、それらの経験は、きっとどこかで新しい世界に進む心のエネルギーとなるでしょう。
勇気をもって2学期に臨んでください。

2015年9月19日と言われれば、みんなが「あぁその日か」となるでしょう。
日本中が盛り上がったあの日です。
そう、ラグビーワールドカップで日本が南アフリカ共和国に僅差とは言え、勝利した歴史的な日です。
でもまぁ正直、ラグビーは日本ではさほどメジャーなスポーツでもないですし、完全に忘れ去られた過去の出来事になってしまっていますよね。
あの日のあの興奮は一体何だったのだろう…
あれだけファンがいたはずなのに…
どこへ行ってしまったのだろう…
日本人って「熱しやすく冷めやすい」ですよね。

ラグビーの強い国といえば、ます真っ先に名前が挙がるのはニュージーランド。
全身真っ黒のユニフォームのオールブラックスと言えば知っている人もいるのではないでしょうか。試合の前に踊る「ハカ」も有名ですよね。
その昔、ニュージーランド代表チームが日本代表チームと親善試合を行いました。

公式戦ではなく、親善試合です。
試合開始からしばらく試合は拮抗していましたが途中からはニュージーランドの一方的な試合になり、ノーサイド(試合終了)の時には
当然ながらニュージーランドの圧勝でした。

この時のニュージーランドの監督がインタビューで日本についてこう発言しています。
「ニュージーランドは勝つことを目標としている、日本は点を取ることを目標としている、その違いが出た試合だった。」

似た話で「うさぎとかめ」の童話があります。かめを見ながら走ったうさぎとゴールを見て走ったかめ。勝者と敗者は目標がまず違いますね。

今後新しい目標を決めるとき、何を目標としましょうか。

100ml入るコップに牛乳を注ぐと、最大で何ml入りますか?
何を聞いているんだ?
という感じですよね。正解は100mlです。
コップには容量がありますから、容量以上注ぐと溢れてしまうわけです。

では、同じコップでカフェオレを作ってみましょう。
コーヒーと牛乳を均等に入れるとなると、それぞれ何ml入りますか?
これもまた何を聞いているんだ?
という感じですね。それぞれ50mlです。
突然コップの容量が変わるわけではありませんから、牛乳を入れる量が減ってしまうわけです。

コップに容量があるなんて、考えるまでもなく当たり前のことですよね。
ではこれを勉強に置き換えてみましょうか。

「ながら勉強」という言葉があります。
音楽を聴き「ながら」勉強する。
YouTubeを見「ながら」勉強する。
お菓子を食べ「ながら」勉強する…
皆さんの脳の容量が100あるとしましょう。
音楽を聴き「ながら」勉強すると、勉強と音楽、それぞれどのくらい意識を向けることができますか?
脳の容量もコップと同じで増えるわけではないので、それぞれ50ずつになってしまうわけです。
本来であれば100で意識を向けることができたはずなのに。

しかし、これはまだマシな例です。再びカフェオレに話を戻しましょう。
この中に甘党の人もいますよね。
そうなると、入れるコーヒーの量を減らそう!と考えるわけです。
例えば牛乳を70ml、コーヒーを30ml入れる、のような感じですね。

では皆さん、勉強をするのと音楽を聴くのと、どっちが好きでしょうか。
音楽を聴く方が好き、と答える人の方が多いのではないかと思います。
すると、脳のどのくらいが音楽を聴くことに意識を向けるでしょうか。
70?80?それ以上になるかもしれませんね。

皆さんのモチベーションを上げるために大切な趣味・娯楽ですが、「ながら」で行うと勉強した内容が定着しないだけでなく、その趣味・娯楽すらも勉強中は心からは楽しめませんよね。

メリハリをつけて、100の意識を向けた勉強をしていきましょうね。

世界で初めて恐竜の化石が発掘されたのは1822年のこと。
爬虫類のイグアナに似た巨大な歯と角のような物の化石が発見され、イグアノドンと名づけられました。
ただ、この段階では全体の骨格は発見されていなかったため、イグアナやワニのように
「四本足で地面を這う、角のある動物」
だと想像されていたのです。

ところがそれから50年ほどあとにイグアノドンの化石が次々に発見されました。
研究の結果、角だと思っていたものは実は前足の親指であり、前足は後足より短いこともわかってきました。
そのため、
「イグアノドンは二足歩行をし、尻尾を引きずって歩いていた」
と考えられるようになり、図鑑にのっているイラストも「イグアナのような動物」から「ゴジラのような姿」へと大幅に変更になったのです。

さらに100年ほどあとに発見されたデイノニクスという別の恐竜は、尻尾を高く上げ、すばやく動き回って狩りをしていたことがわかりました。
これにより、イグアノドンも
「尻尾を上げて四本足で歩行する姿」にふたたび書き換えられることになりました。

恐竜は現代に生き残っていないため、化石のような限られた情報からその姿を推測するしかありません。
ですから、その情報が少ないほど真実とは違う結論にたどり着いてしまう可能性があり、情報が増えればより正確な真実に近づいていくことができるのです。
そういう意味では、皆さんが学習で得ているさまざまな知識や情報も、真実を知るために必要な大切なものだといえるのではないでしょうか。

「知りたいと思うこと」は、人間が持つ本質的な欲求です。多くのことを学び、吸収して、皆さんの「世界」をドンドン広げていきましょう!

※(余談)最新の研究では、恐竜の一部には羽毛が生えており、鳥類の祖先であると考える学説が主流のようですね。

みなさんは何かを身につけたい、または上達したいと思ったときに何をしますか?

「そんなの練習に決まってるじゃん!」って思った人も多いかもしれません。
練習することはもちろん大事ですが、正しい「型」を身につけることが上達への近道です。
「型」という言葉は日本の伝統芸能でよく使われる言葉で、初心者が身につける「フォーム」のようなものです。
歌舞伎の世界の世界では幼少期のころから「型」を覚えることで徹底的に基礎を叩き込みます。
スポーツでもまずは正しいフォームを覚えるように指導されますね。
これを覚えずに自己流のやり方で練習を続けてもなかなか上達しないばかりか、けがのもとになったりもします。

これは勉強でも当てはまります。では勉強でいう「型」とは何でしょうか?
ノートの作り方や予習、復習のしかた、丸つけ、解き直しのしかたなどです。
これらが正しく身についていないと勉強の効果も上がりません。
勉強を頑張っている割にはなかなか成績が上がらないという人は一度自分の勉強のしかたを見直してみるといいですね。

正しい「型」を身につけて成果に結びつけていきましょう。

みなさんは、新しいものに拒否反応はありますか?
先生は、人一倍あります。
先日もたまたまTVをつけたら某有名アニメの主人公が変わっていて違和感を覚えました。
ほかにも自動車の新型・声優さんの変更などなど、たくさん感じます。
これらは、単に好みの問題な気もします。

他にも、ガラケーからスマホへの変更。
新しいPCのセッティングなどなど。
先生は、とにかく遅い。
不便さを感じないとちょっと放置してしまう傾向がありますね。
これは、新しいことへの対応が面倒くさいとか、特に現状に不便さを感じていないからだと思います。
と、列挙すると先生の汚点がどんどん増えてしまうので、このぐらいにして本題に入りましょう。

みなさんは、これから夏休みに入っていくと思います。
夏休みはみなさんにとって普段よりは自由度が高くなるのではないでしょうか。
そんな時だからこそ、今の自分から少し違う自分に変わるチャレンジをしませんか?
例えば、「勉強の習慣がない」「苦手をそのままにしている」などを克服しませんか?
これは、なかなか難しいこともわかります。
どうしても今の状況のほうが楽ですからね。
先生がPCを買ったのに箱から出さず放置していると同じです。

では、どのようにすればいいのか。
先生は、あることを決めました。
「やらなければならないこと(やらなくてもよいが)」を早い時間(朝)に「やりやすいところから始める」というタスク(計画)を前日に作っています。
みなさんに例えると、「数学(算数)の〇〇の問題をとけるようにする。
」これがやらなければならないこと、「その単元の教科書や参考書を机の上に開く」これがやるべきタスクです。
これを朝やる。
そうすることで、一日の始まりが達成からスタートです。

そのよい流れに乗って学習をスタートすればきっと新しい自分とも出会えるのではないでしょうか。
ぜひ、簡単なハードルを用意してこの夏すばらしい成果をあげていきましょう!!

進化、という言葉を知っていますか?
ざっくりいうと、生物が長い期間の中で、特徴を手に入れていくことです。
今や兎とくれば耳が長いのが一般的ですが、耳の短い兎が生き残りやすい環境というのもあります。
寒冷地においては、耳が大きく熱を奪われやすい兎はその分たくさん餌を食べる必要があるのですが、餌を探すということは外敵に見つかる危険を冒すということです。
その危険を減らすことができた耳の短い兎は生き残れたわけですね。

その極限にいるのが、『ナマケモノ』です。
極限まで筋肉を落として基礎代謝を抑え、哺乳類なのに体温調節する機能を捨てることで、一日の食事は葉っぱ8枚(10g)で賄えます。
しがみ付いている木の葉っぱや、自分の体に生えた苔を食べることで、ほぼ動かずに過ごすことができ、外敵に見つかるリスクを減らすことで生き残ってきたのです。
伊達に食物連鎖を生き残ってきたわけではないのです。

さて、では人間はどうやって生き残ってきたのかわかりますか?
仮にも食物連鎖を生き残り、今や地球で怖いものなしに振る舞う人間ですが、スタートは他の動物と同じでした。
それが社会を持つことで、一人では困難なことを数でカバーし、一人が知りえた知識を全体化し、文字に残して子どもたちに伝え、文明を発展させたからです。
特に火を使いこなす知識を広めたのは大きいですね。

つまり、前の時代に生きてきた人が残した知識を得て、子どもに伝えていくことは人類が生き残り続けるための生存戦略です。
だからこそ、君たちがしている勉強には正義があるのです。
人類を守るため、正義のために勉強を頑張りましょう!

中学校の卒業アルバムの寄せ書きに当時の担任が書いてくださった言葉。
先日亡くなった音楽家の坂本龍一さんが好んだことわざとして紹介されている記事を見てふとそのことを思い出しましたが、その意味が「人の一生など短いが、たとえその作者が亡くなった後も作品は末永く遺るということ(だから何か遺せるものを作って生涯を終えなさい)」だと私はずっと思い込んでいました。

この言葉は古代ギリシアの医師ヒポクラテスのもので、医師を志す若い医学生たちへの激励の言葉として「医術を極めるためには長い年月を要するから、一生怠らずに学び続けなければならない」という意味だったそうです。
「転石苔むさず」や「情けは人のためならず」などと同じように、もともとの意味から解釈が変わっていったとのこと。
(ちなみに”art”は芸術だけでなく、人が身につけた技能全般を指すこともあります。)

人の一生には限りがあり、いつか終わりが来る。
そう思うと、今この瞬間を大切にしたいと強く思います。
しかし、かといってまだまだ人生は長いのだと思うと、今できることでもちょっと大変だと後回しにしたくなるものです。

世の中で大きな事を成しえている人というのは、おそらくそのタイムリミットや命など時間の有限をものすごく意識できているから、今すぐやる、計画的にやっているのです。
海を渡り活躍している大谷翔平選手はその最たる例で、望んだ成功の姿からの逆算で子どもの頃から「今すべきこと」を考えて実行しているからこそ彼の今があります。

きっと講習会や合宿が愉しいのも、数日しかなくて、時間に限りがあって大変だから必死になり、必死になるからやりとげた時に充実感がある、からではないでしょうか。
有限だと思うからこそ「今」を充実できる。
結果としてあとに遺るものも大きい。

さて、今年の夏をどうするか。
夏休みにやりたいこと、やるべきこと、または9月にあるべき自分の姿を書き出してみて、そして与えられた時間を考える。
そうすると今すぐやるべきこと、タイムリミットが見えてくるでしょう。
もしかするとこの夏の過ごし方がこれから続く君の人生の基礎となるかもしれません。
けっして大げさなことを言っているわけではありません。
だって芸術は長く、人生は短いのですから。

ちなみにヒポクラテスは他にもいくつもの名言を遺していますが、その中で現代に生きる私たちへの警鐘ともいえる言葉を最後に記しておきます。

「人は自然から遠ざかるほど病気になる」