「自分で、すぐ自分を許せる人間は、大した仕事をやらない。」

先日、引退会見をした宮崎駿監督が残した名言です。「崖の上のポニョ」や「ハウルの動く城」などみんなの記憶に新しい作品をたくさん生み出した人物ですよね。彼が言うには、信じられないほどの作業量をこなして初めて、生命力に満ちた動き、映像の快楽が生まれる、とのこと。何に対しても全力で取り組まないと自分を許せない人です。引退会見の宮崎監督は今までを振り返り、達成感と満足感に満ち溢れた表情をしていました。

そんな想いをみんなも持てていますか?今までの生き方を振り返って「悔いがないほど精一杯やってきた!」と胸を張って言えますか?
「1時間机に向かったから、宿題終わってないけどいいや。」や「昨日頑張ったから、今日はもういいかな。」挙句の果てには「周りの友だちが塾に通っていないから、僕も遊びたい。塾を辞めようかな。」そういう声を何度か聞いたことがあります。
人生は長いようで意外に短いものです。一瞬一瞬の自分の判断で近い将来、また遠い将来が変わってしまいます。例えば、新しく何かを勉強することはとてもつらく、エネルギーが必要です。知らないことを始めたり興味のないことについて調べたりするわけですから。宿題のノートまとめもそうですよね?そこに甘さがあっては、もういいかぁとなり、やり遂げることができなくなります。それは少なくとも将来の自分の為にいいことではありません。
自分に甘く接していると、まずは達成感や満足感を味わうことができません。そして将来の幸せももしかしたら掴めなくなるかもしれない。簡単に言うとその場で腐ってしまうということ。
腐らないためにも、将来の自分のために今の自分に軽くむちを入れることも必要です。

さぁこの話を聞いてどうですか?自分に甘いと気がついた人もいるでしょうし、甘くしているつもりはないと思った人もいるかもしれません。だって、結局は未来の自分しか後悔の気持ちを味わうことができませんもんね。けれども、誰でも少しは「今までの行動は正しかった。」と思えるような未来を送りたいと思ったと思います。宮崎監督のメッセージは、今のみんなに向けて投げかけられているものです。人生の先輩の言葉です。しっかり受け止めて、心に留めておきましょう。

みなさんは、鉄筋造りの建物と木造の建物ではどちらが火に強いと思いますか。
木よりも鉄の方が燃えにくい、だから鉄の方が強い、というのがぱっとひらめく答えです。
だから、次のような文章を読むと、ちょっと意外に思えるかもしれません。

「木と鉄は火に弱い。鉄は火に強いと思っている人がいるが、実際には400度くらいで強度が半減するため、事実上、木造と同じくらい弱いと考えて良い」と、作家であり工学博士である森博嗣さんは書いています。

実際、これは建築工学上の事実ですが、我々のいわゆる「常識」とは異なる見解ではないかと思います。常識は、これまでの経験や習慣のなかで形作られたものです。昔の人は、経験が示すような、地球が平らであるという常識のなかで生活していましたが、今ではこれが誤りであるということはよく知られています。木が火に燃えている場面の経験と鉄が炎の中でも燃えないという経験から、先程のような「鉄は火に強い」という常識が形作られますが、少なくとも建築のための構造材という観点でみれば、この常識は誤りであることになります。今皆さんがアタリマエだと思っていることでも、実情にてらしてみれば全く筋違いだということも数多くあるのです。

「常識」の力は非常に強く、ここから抜け出すことは非常に困難です。なにしろ今まで当然だと思っていたことを捨てるのですから、かなり意識的にでなければできません。時には痛みや不安、苦しみ、ストレスを伴うこともあります。しかし、古い「常識」が誤りであったとすれば、そこから一歩踏み出して、新しい事実を受け入れること、これこそが前進なのではないでしょうか。

勉強でも事情は同じです。みなさんはこれまでに、宿題のやり方、分からないことが出てきたときの自分の対処法、学習のスケジュールの立て方について、さまざまな常識を身につけてきたはずです。しかしその常識が通用しなくなったら?たとえば、今までの習慣で行ってきたやり方でテストの点が思うように取れなくなってきたら?そのときには、これまでの常識、これまでの習慣、やり方を見直し、時には思い切って壊してしまうことも大切です。

もちろん壊しっぱなしではいけませんね。作り直す、建て直す作業が必要です。建て直すときにどんな素材を使えばよいのか、どのようなやり方がよいのか。これは一人一人異なります。一番大切なのはみなさん自身がどうすればよいかを考えることです。ただ、どうすればよいのか困ったときには、必ず先生に相談してくださいね。

生後間もない赤ちゃんが何故笑うのでしょうか。
実は、生まれてすぐの赤ちゃんは「楽しい」とか「嬉しい」といった感情は持っていません。けれども自然と笑顔を作ります。
これはお母さんに可愛がって育ててもらうための本能的な笑顔なのです。
そして、赤ちゃんは本能的に「笑う」事によって周囲の人が笑顔になり、優しくしてくれる事を体験して「この表情をすれば優しくしてくれる」と学び、笑顔を繰り返すようになる、と言われています。

また、治る確率が非常に低い難病の患者に、コメディ映画や漫画を見せて笑顔を引き出させて完治した例もあります。
この結果、笑いには「インターフェロン(ウイルスに感染した時にそれを壊す為に体内で作り出されるたんぱく質の一種)」の分泌量を増加させる」効果がある事が実証されています。

このように、笑いは不快さへの耐久力を高めます。

「一笑一若一怒一老」
中国にあることわざです。
人間は一度笑うと若返り、一度怒ると年を取る、という意味です。
それくらい笑いの効用が大きい、ということです。

みなさんは心の底から笑えていますか。

夏休みが終わりました。まだまだ厳しい残暑が続きますが、体調面に気をつけて学校行事盛りだくさんの2学期を上手に過ごしていきましょう。

さて、今日皆さんと考えていくテーマは「新しい自分の発見」です。


この絵を見たことがありますか。この絵は見方によって2通りの絵に見えます。黒い部分に注目すると、人間の横顔が向かい合ってシルエット(影絵)になっている絵が見えます。反対に、白い部分に注目するとカップが見えます。この絵が人の横顔に見えるとき、白い部分は「地」(背景)となり、向かい合った人の横顔がシルエットの「図」となって浮かび上がってきます。そして見方を変えると、黒い「地」の上に白いカップが浮かび上がり「図」として見えてきます。今まで作られていた図が壊れ、新たな図が作られた瞬間を「気づき」といいます。元の図が崩壊しないと新たな図は創造されません。図の崩壊と形成がスムーズにいくほど「気づき」に柔軟だといえます。

例えば、(ペットボトルをかざして)これは何ですか?(「ペットボトルです」)これは何ですか?(「ペットボトルです」)これは何ですか?(「…?」)これは?(「花をさすと花瓶になります」「笛として使えます」「バット?」)そうですね。ペットボトルという「図」を崩壊させれば、次々と新たな「図」を創造することができます。それは気づきが柔軟だということです。言い換えると「可能性」のことです。「ペットボトル」がペットボトル以上の可能性を持ち始めたといえます。

このことを皆さん自身に置き換えてみましょう。皆さんは自分のことをどういう人間だと思っていますか。消極的だとか、集中力がないとか、勉強ができないとか決め付けていませんか。自分自身にある他の部分、他の可能性を閉ざしてしまっていませんか。また、周りの人を「この人はこんな人だ」とか、「この人にはこんなところがある」というように決め付てしまっていませんか。その人の他の余地に触れていく機会を閉ざしていませんか。

自分自身に対して、また自分の周りで起こる事に対して、図を創造しては、問いかけ、崩壊させ、また新たに作っていくことを繰り返していってください。それが自分を深めることになり、新しい自分の発見につながります。

現存する金閣は2代目。初代は残念ながら昭和25年に焼失してしまっていますが、それでも500年を超える間、風雨にさらされながらも光り輝いていました。

もちろん、金閣は純金で出来ている訳ではなく、木造の建築物の上に金箔を貼っていることはみなさんも知っていますね。

では、その金箔をきれいに剥がせたとすると、その下はどのようになっていると思いますか。

答えは、真っ黒の「黒閣」の姿になります。金箔の下地には真っ黒の漆が一面に塗られているのです。金ぴかの金箔の下に真っ黒の漆。この正反対の組み合わせが「美」としても「機能」としても最高の組み合わせであるのです。
「美」としては、下地の黒が金箔に赤みを帯びた最高の光沢を与える。
「機能」としては、漆が木材の腐食を防ぎ、そして金箔がその漆の弱点である紫外線を遮ることで、建物を守り続ける。

このことから私たちは多くのことを想像できます。

見えないところの下地の大切さ。また、それを仕上げる職人のプライド。
最高の組み合わせを見つけるために必要とした、人の苦悩・喜び、発想の転換、粘り強さ、それらを支える人たち…。

みなさんの将来においても同じです。
是非とも、光り輝き続けるものを作り上げて下さい。

「加圧トレーニング」ってどんなトレーニングだと思いますか?
初めてこの言葉を耳だけで聞いた時、カタカナの「カーツ」だと思いました。「カーツ」というトレーニング方法の名前だと思っていました。きちんと確認してみると、圧力を加えるという意味で、「加圧」という漢字で書くのだと分かりました。

このトレーニングは、普通にトレーニングするよりも、もっと圧力や負担をかけて行います。ですので、普通に行う以上に、きつかったり、大変だったりします。ある制限を付け、負担をかけてトレーニングするので、軽い力でも大きな力をかけた時と同じくらい筋力が鍛えられます。おまけに成長するための情報となる成長ホルモンが、普通の10倍も体の各器官に届きます。マラソン選手が酸素の少ないところでトレーニングを行ったり、運動選手がおもりをつけて素振りをしたり、似たようなトレーニングは他にも色々あります。運動部に入っている人の中には、「やったことがある!」という人がいると思います。

このトレーニングのいい点は、短期間・短時間で力をつけられるということです。普通に行うよりもたくさんの力がいるので、またあえて苦しい状況の中で行うので、短期間でかなりの力をつけることができます。速読を行っている人も、似たような経験・効果を実感していると思います。自分が読める3倍ものスピードで読むことで、いつのまにか読むスピードが引き上げられていきますね。

この夏の講習会や合宿も、そういったトレーニングです。普段はできない圧力や負担をかけて行うトレーニングです。普段なら1週間後の授業までに進めればよい宿題は、講習会だと翌日までに普段以上の量を進めます。合宿では、自由に休憩が取れないという制限の中で、集中力を持続させます。いつも以上の量、いつも以上の勉強時間、これまでにやったことのない量、これまでにやったことのない勉強時間。その中で勉強量が増え、忍耐力がつき、集中力がつきます。勉強を進める上での筋肉が一気につけられます。成長するための情報は、みなさんの心からも意識として伝えられます。姿勢を保つようにと、背中へ。素早く動かすように、と鉛筆を持つ手へ。文字を注意深く追いかけるように、と参考書を見る目や脳へ。

夏につけた力を持続させるには、その後も自分で自分に圧力や負担をかけることです。力がついても楽をしてしまえば、その力は消えていきます。演習をいつもより短い時間で解くことや、宿題が早く終えられるようになった分、何かプラスしてできることをやってみる。自分をちょっと苦しい状況に置いてみる。自分にちょっと課題を多く与えてみる。そうして、常に成長する自分を、夏が過ぎても発見してほしいと思います。

もう8月になりましたね。皆さんはどんな夏休みを過ごしていますか?
夏休みに入って電車で出かけた人も多くいるかもしれません。
先生もこの間電車に乗る機会がありました。

先生が乗る電車は、一番前の車両が終点の三宮駅(一番利用者が多い駅)の改札に近いので、その車両にはいつもたくさんの人が乗っています。「今日も多いなぁ」と見渡すと、部活動帰りの高校生や会社員の方、また若いお兄さんお姉さんなどいろんな人が乗っています。駅が進むにつれてさらに人も増え、ドアの近くに立っていた先生も真ん中の通路に移動しました。

すると、終点まであと2駅のときに、足が少し不自由なおばあさんが乗ってこられました。
誰か席を譲ってあげるのかなと周りを見ましたが、みんな動きません。すると、少し離れた座席でずっと携帯電話を触っていたパンクファッションのお姉さんがすっと立ち上がりました。そして「あの…」とおばあさんに声をかけますが、おばあさんは気づきません。もう一度声をかけるのかなと思って見ていると、お姉さんは何も言わずそこにずっと立ったまま、1つの席が空いている状態で三宮駅に着きました。

皆さんは、こんな時どう感じますか?
先生はとても「もったいない」と感じました。
パンクファッションのお姉さんは、せっかくおばあさんに席を譲ろうとしたのに、結局、
その気持ちがおばあさんに伝わることはなく、誰も座らない席がポツンと残ったのです。

私たちはいろいろな形で自分の考えや意見や想いを伝えることができます。
もちろんファッションや態度でも。
しかし、人に何かをしてあげたい、助けたいと感じた時、どんなに気持ちを持っていても時には『言葉』にしないと伝わらないことがあります。皆さんは、想いを言葉で伝える勇気を持っていますか?

人に何かをしてあげたいと感じた時、その想いを伝えることは何も間違いではありません。
これから講習会や合宿で新しいお友達に出会う機会も多くありますが、「~ すればいいのにな…」と思うだけではなく、ぜひ「~ してみるといいよ」など、自分から声を掛けてみましょう。
きっと新しい自分に出会えますよ。

まもなく7月が終わり8月がやってきます。いよいよ夏合宿の季節です(一部のコースはもう始まっていますが)。夏合宿に参加する人たちの中にも、楽しみだと思っている人や、少し不安に感じている人もいるでしょう。

もちろん合宿に行けば、自分の家のような生活はできません。食事の用意や、お風呂の着替えなど、今まで当たり前にしてくれていたことが、自分でやらなければならなくなります。慣れないことで苦労するかもしれません。でも、人間の生活は少し不便なくらいが、ちょうど良いのです。不便だからこそ、うまくなるように工夫するし、色々と考えるようになります。

たとえば、一日中、何もしなくていい、テレビを見たり、ゲームをしてもいい、となればみんなは大喜びですよね。夢のような快適な生活でしょう。でもそれが何日も続けば、どうでしょうか。たぶん、1週間であきると思います。それは、人間は本来、がんばってみよう、工夫してみようという能力を備えた生き物だからです。そういった遺伝子を持つからこそ、人類はここまで進化して、地球上に繁栄できたのです。

少し大きな話になってしまいましたが、夏合宿に参加する皆さん、不安があってもいい、不便があってもいい、あえてその中に飛び込んでみませんか。勇気を出して新しいことに挑戦してみる、不便な中でも自分なりに工夫してみる、そういった経験をした皆さんは、夏が終わった頃には、きっと成長しているはずです。そしてその経験が、2学期からの皆さんの活動に、大きな自信になるでしょう。

さあ、勇気を持って夏合宿へ!

「天才だ!」さてこの言葉、誰かに言ったことのある人の方も多いと思います。

オリンピックにも出場した卓球の福原愛選手のこと知っていますか?
「天才って便利な言葉だよね。だって、天才っていったら、努力もしないで持って生まれたものだけでやってきたように思われるんじゃないかなぁ」彼女の言葉です。

「天才」という言葉を使うときは、「生まれ持った才能」という意味で使われることって多いですよね。「天才」ということでよく名前が上がる人物に、野球のイチロー選手がいますが、イチロー選手は、小学校時代、年間300日バッティングセンターに通って練習をしていたそうです。年間300日。1週間に6日です。
「なんだ、自分にもできそうだと思った人もいるかもしれません。」でもね、考えてみてください。風邪をひいたり、ケガをしたり、修学旅行があったり、家族で親戚の家に行ったり・・・。練習をできない日もあったはずです。それでも1年に300日練習をしたということは、要するに1年中毎日練習をしたということです。

「天才」=「異常なくらい努力ができる人」といえるかもしれません。
誰しも何事も練習をすればうまくなるのはわかっています。
しかし、「天才」でない人たちは、そこまで実行し続けることができません。そして、自らを守るための言い訳として、「あの人は天才だから・・・」というのではないでしょうか?
スポーツ選手や偉大な発明家のように世界で1番になるほどの人になるのであれば、「世界一の異常な努力」が必要だと思います。

けれど、皆さんの勉強においてどこの中学、高校を目指すにあたっても、「日本で1番の努力」も、おそらくは「県内で1番の努力」も必要ありません。
やるべきことをきちんと、徹底すれば道は拓けます。
最後にもう一人。サッカーの「天才」日本代表、香川選手の母校の生徒に向けた言葉を紹介します。
「努力することが大切。みんなもがんばって。」
さあ、いよいよ勝負の夏休みです。

みんなは次の言葉を知っていますか?

親の寝床と自分の寝床との距離が、離れれば離れるほど、人間は成長する
武田 鉄也

言わずと知れた『3年B組金八先生』です。先生たちの世代は、みんな見ていました。このドラマや『熱中時代』(わからないひとは家の人に聞いてみよう!)を見て先生になろうと思った人も結構います。先生もあの通りになろうとは思いませんが、あこがれたことがあります。学校の先生に聞いてみてもいいかもしれませんね。

この言葉についてですが、今のみんなは思春期(反抗期)をむかえ、お父さんやお母さんに対して素直になれない人も多いのではないでしょうか。でも、ある程度、それは仕方のないことです。みんなが自立していくためには、通らなければいけない時期です。

みんなはだんだんと『親離れ』をしながら自立していくのです。その親との距離が微妙なのですよね。『親からは離れて自由になりたい。』『でも完全に離れてしまったら、自分の力だけでは生きていくことはできない。』そこで離れすぎたり、近づきすぎたりしながら、親との距離感をつかんでいくのです。

そこで先生からのアドバイスですが、一度は離れる経験をしてみましょう。そしてくっつく経験をしましょう。親から離れることで、自由になることの実感や責任の重さを知り、親とくっつくことで、親の存在の大切さを改めて確認できでます。そうした経験の積み重ねが、みんなを自立した『人』として成長させてくれるはずです。

夏休みはそのチャンスですよ。どんどん外に飛び出そう。