150706君たちは電車に乗りますか?
先生は 少し前に滋賀県を走る「信楽高原鐵道(てつどう)」という電車に乗って、信楽という所まで行きました。たぬきの焼物で有名な町ですね。

信楽高原鐵道は、のんびりとした各駅停車のローカル線です。経営難や事故などが原因で、幾度となく廃線の危機に瀕してきました。ですがそのたびに地元の人々の努力によって、危機を乗り越え、今現在でも住民の大切な移動手段として走っています。 車掌さんも終点の信楽駅の駅員さんも、親切で温かい人たちでした。(信楽焼のたぬきもいっぱいお出迎えしてくれました)
そんな地元の人の大切な足として守られてきた電車ですから、当たり前のことですが、よそから来た先生は、失礼のないように、マナーを守ってちゃんとして乗らなきゃ、という気持ちにさせられました。
 
電車にはいろんな人が乗ってきますね。いつも見る顔もありますが、知らない顔もたくさんある。でも、みんなが同じ電車に乗り合わせた、同じ時間を共有する者同士です。いかにその時間を良いものにするかは、一人ひとりにかかっています。
君たちも、電車の乗客のようなものだと考えてみましょう。ティエラの講習会や合宿を電車だとすると、それを走らせるのは君たちです。
講習会では、普段の仲間だけでなく一般生の人たちもたくさん教室にきます。君たちが率先して「16のきまり」を守り、先輩としてしっかりと見本を見せれば、新しい仲間たちも負けずに頑張ろうと思うでしょう。
また合宿では、他の県や地域の初めて会う人たちと一緒に行動します。一人ひとりが一生懸命になり、自分にできることを考え、みんなを思いやれば、全員が笑顔の合宿になるでしょう。 しかし、どんな場面でも、自分が楽をすることだけ考えて努力を怠れば、たちまち君たちの電車は故障して止まってしまうでしょうね。
 
みんな同じ目的を持って、この夏、講習会や合宿に参加します。その目的とは、「成長した自分に出会うこと」しかないでしょう。それは、自分一人で得られるものではなく、仲間との切磋琢磨や協力によって得られるものです。「成長した自分」という駅に着くまで、ときには急な上り坂や思わぬトラブルがあるかもしれませんが、同じ電車に乗り合わせた者同士、一人ひとりが努力すれば、電車はきっと順調に走っていくはずです。
この夏、君たちの「成長したい」という思いと努力で、みんなの電車が今まで見た中で一番素晴らしい風景の駅に到着するよう、願っています。

150629日本の漢字の難しさや矛盾をネタに、「Why Japanese People!? Why!?(なぜなんだ日本人!?)」と絶叫する、厚切りジェイソンがテレビで人気ですね。
先生のアメリカ人の友だちも「日本の漢字を学ぶのは本当に大変だ」と言っています。「英語はアルファベットだけなのに、なぜ日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字があるの」とも言っています。
日本の漢字が難しいと言われる理由の一つが、同じ読み方でも意味によって異なる漢字を使うことです。
例えば、話をきくの「きく」ですが、意味によってこのように漢字を使い分けます。

■話を訊く・・・上の者から下の者に問う。
■話を聞く・・・音声を自分の耳から受け入れる
■話を聴く・・・自分から熱心に耳を傾ける

同じ「きく」でも意味によって色々な漢字を使いますね。みなさんは普段の生活の中で様々な「きく」場面があると思いますが、それは、どの「きく」になっているでしょうか。すべてのことを、ただ無意識に「聞く」だけになっていませんか。

7月になりました。夏のティエラと言えば「講習会」と「合宿」です。普段の勉強とは違う、短期間での集中的な勉強が多くなります。大変な勉強の中で、みなさんにはぜひ、「聴く」姿勢を大切にしてほしいと思います。
講習会中は、先生の話に耳を傾け、しっかり聴いてください。そこに「集中力」と「積極性」が生まれます。合宿中は、班のメンバーの意見をお互いにしっかり聴きましょう。信頼関係を築く基本です。
講習会と合宿には、はじめてティエラに来る一般生もたくさんいます。その人たちに「ティエラの生徒は、授業にのぞむ姿勢から違うな」と思わせるぐらいの、最高の「聴く」姿勢を見せてください。この夏で、ワンランク上の自分へと大きく成長しましょう。

150622100回叩くと壊れる壁があったとする。みんな何回叩けば壊れるかわからないから、90回まで来ていても途中であきらめてしまう。

これはテニスプレイヤーの松岡修三さんの言葉です。松岡さんといえばいつも熱いメッセージを語る個性的なキャラクターの存在です。最近は1日1つのメッセージを載せた日めくりカレンダーが有名ですね。なかには熱血漢すぎて、ちょっと暑苦しいなと苦手に思っている人もいるかもしれません。

でも、この「100回叩くと…」という言葉は、ある意味で真実ではないでしょうか。人は一生懸命努力する中で、なかなかゴールが見えずに不安になったり、あきらめてしまうことがあります。勉強やスポーツでも、特訓の成果がなかなか現れず、やり方が間違っているのでは? 自分には無理なのでは?と思ってしまうのです。

それは多くの人が同様に感じる不安です。今年の春の合格インタビューでも、先輩たちは入試前の苦しい時期にそう感じたと話していました。でもその不安を乗り越え、がんばり続けた人こそが、勝利や合格といった成果を手にすることができるのだと思います。

もちろん不安を乗り越えるためには、努力を続けることが必要ですが、友だちと励まし合ったり、先生に悩みを相談するなど、ひとりで孤独にならないことも大切です。7月になるといよいよ夏休みが始まります。この夏は、100回叩き切るぐらいの決意で、粘り強く目標にチャレンジしてみてはどうでしょうか。

150615担当する生徒と話をしていると、よく耳にする言葉があります。
「○○するなんて【無理】」
「【どうせ】自分には○○なんて出来ない」
「○○さんは【特別】だから、私とは違う
「○○は【嫌い】だから

こんな言葉が出てくる人はいませんか?
本当に無理ですか?本当に○○さんだけが特別なのですか?

先生が今でも後悔していることがあります。
学生時代に漫画の影響を受けて、将来「医者」か「考古学者になりたいと思うようになりました。そのことを当時の担任の先生に伝えたところ、「お前、その成績で本気で言っているのか?そんなの無理に決まっているだろう!」と言われてしまいました。そのための準備は何もしていませんでしたし、本当に思い付きだったため、まったく到達できるレベルではなかったのは事実です。

ですが、正直落ち込みました。「【どうせ】自分には【無理】なんだ」と思いました。
結果はというと…、分かりますよね。結局はあきらめたのです。
行動する・しないどころか、想いを表現することを恐れ、言葉にすることすらできませんでした。
それから年月が経ち、新たに持った目標である先生になることができました。

振り返って、もし学生時代に、先生が医者や考古学者になるために、小さなことでも、何か準備や行動を始めていれば、その後の人生は変わったかもしれません。
人が何かを成し遂げるには、まとまった時間をそれに掛けるのが一番いい方法だと思いがちですが、実は毎日少しずつ努力することこそが、成功への第一歩です。誰にでもできる小さなことを長い間コツコツ続けられる人が、いずれ大きな目標を達成できるのでしょう。これを実行できるかどうかが大きな分かれ目だと、今になってようやく感じることができました。

まだまだ皆さんには、積み重ねることのできる時間がたくさんあります。
「嫌だとか「苦手だ、「やりたくない」と思っていることにこそ、挑戦して欲しい。
人が後悔することの75%は「やったこと」ではなく、「やらなかったことに対するものだそうです。

失敗を恐れず、とにかく挑戦して欲しい。たとえ一度や二度、失敗したとしても、少しずつ成功に近づくのですから。

150608『ビリギャル』という映画が話題になっていますね。勉強がとても苦手な女の子(ギャル)ががんばって慶應義塾大学という、難しい大学に合格したという「大逆転」のお話です。先生も本は買って読みましたし、映画も見に行こうと思っています。 

そこで「大逆転」で思い出す、ある男の子のことについてお話します。その男の子は小5まで太っていました。そしてスポーツが苦手で足もおそく、運動会が嫌いでした。 

ところが、中学校、高校では、クラスで2番目か3番目に足が速くなり、ずっと運動会ではリレーのメンバーに選ばれ続けるようになりました。 

では5年生から6年生にかけて何があったのでしょうか? 

最初は小さなきっかけでした。5年生の時の徒競走であいかわらず最下位になった彼は、「最後の運動会では最下位になりたくない」と思い、走る練習を始めたのです。高校時代に陸上をやっていたお父さんに走り方と練習方法を習い、速く走るための走り方を身につけるために練習したのです。 

そして6年生の運動会。小1から小5までの最高順位は6人中5位だった彼が、6人中3位になったのです。 

6人中3位では、まだまだ「普通」ですね。しかし、そこで彼はとても大切なことを学びました。それまで足が遅いのは生まれつきで、「自分は足が遅い人間だ」と思っていたのです。1番にはなれなかったものの、「正しいやり方」で練習すれば「普通」にはなれるということを学んだのです。 

その後彼は、どんなスポーツでも同じように、「できないのは何かが足りない、何かが間違っているから」と考え、工夫して練習するようにしました。結果、足はどんどん速くなり、中学生になると、クラスでも2番目から3番目に足が速くなりました。所属していた少年野球チームでもキャプテンになり、「スポーツが苦手な男の子」から「スポーツマン」に大きく変わったのです。 

実は勉強でも、方程式が解けるようになったり、歴史上の人物の名前を覚えたりすることも確かに大切なのですが、もっと大切なことがあります。それは「勉強のやり方」を覚え、「続ける」ことです。 

①「できない」 
  ↓ 
②「できるようになりたい」 
  ↓ 
③「自分には無理」 
  ↓「才能がない」「忙しい」「時間がない」 
④「解決できない」 

ではなく、 

①「できない」 
  ↓ 
②「できるようになりたい」 
  ↓ 
③「できるためにどうすればいいのか?」 
  ↓「考える」「調べる」「聞く」「教わる」 
④「行動する」 
  ↓「練習する」「繰り返す」「あきらめない」 
⑤「解決する」 

にする「過程」を学ぶことが重要なのです。 
②までは誰でもたどりつきます。ポイントは③と④です。慣れないうちは③はとてもめんどうで、つかれるかもしれません。その結果④が難しくなります。 

だから、何でもいいのです。1回⑤までを経験してください。「無理!」と思っていたことで⑤を経験すると、人間は変わります。⑤を経験すると、③や④が「たいへん」だけど「いや」ではなくなります。
近づいてきた夏休みは、⑤を経験するための時間がたっぷりとれる時期です。「自分は頭が悪い」「こんなのできるわけない」と思っている人がいたら、ぜひ挑戦してみてください。

150601テスト本番で力を発揮することはなかなか難しいものですが、みなさんは「本番力」について考えたことがありますか?
「本番力」があると思う人を想像してみてください。どんなイメージを想像しましたか?きっと自信たっぷりのオーラを出している人はないでしょうか。

では一歩踏み込んで「その自信はどこから来るのか」を考えてみましょう。

みなさんが知っている戦国武将の上杉謙信が遺したと言われる「上杉家家訓」の中に「心に誤りなき時は人を畏れず」という言葉があります。これは「心にやましさがあれば戦では勝てない。やましさがなければ勝てるという意味です。
「義は我らにあり」と戦った謙信らしいですね。

さて戦国時代から現代の受験に移って考えてみると、受験本番で「心にやましさを持たない」ことはかなり重要です。なぜなら受験は入試の日だけ頑張ればいいというものではなく、入試前日までの努力が物を言うからです。
その努力の積み重ねがあるかないかで、自信が持てるか持てないかが分かれます。「もっとやっておけばよかったなあ」などと本番で心にやましさがあれば良い結果が出るわけがありません。
つまり「本番力」のある人とは「確かな努力を積み重ねた人ということなのです。「本番力」は決して生まれつきあるものではありません。だからこそ努力が必要なのです。

具体的にどのように努力すればいいのでしょうか。
それはまず「計画通りに勉強する」ことから始めてみてください。一カ月でも計画通りにできれば結構自信が持てるものです。大きな計画から小さな計画へ、今年何をするか・夏に何をするか・夏までに何をするかを考えてみてください。
この時期には夏と夏までの計画を立てることが重要です。まずは次のテストで何点とるために何をするかを決めましょう。
是非、これから強い本番力を身に付けてください。

150525突然ですが、先生は中華料理屋さんのカウンターでラーメンを食べることが大好きです。
おいしいラーメンを食べることはもちろんなのですが、その注文したラーメンが来るまでの間もワクワクします。

カウンターから厨房を見渡すと、お店のスタッフの手際の良さに注目してしまうのです。メニューにある何種類もの料理を、オーダーの順にレシピを見ることなくささっとつくりあげてしまう。単品で注文するお客さん、セットで注文するお客さん、色々な要望のお客さんに間違いなく対応しているのですから。
お店によっては喧騒の中、ホールスタッフの暗号のような指示でオーダーした料理が出てきたりするのもびっくりします。
さらに、いつ行っても量も見た目も味も変わらない。この人たちはほんとうにプロだなぁと感動すら覚えます。

よくよく厨房を眺めると、具材や道具は全て決まったところに整理整頓されています。そしてそれぞれの料理をつくる手順も決まっているようです。
単品でもセットでも基本は同じ。異なるのは組み合わせや量、使う器などでしょうか。基本の【型】がしっかりとできているので、プロの料理人は無数にある組み合わせに全て間違えることなく対応できるのですね。
お客さんのどんな注文にも応えられるように、しっかりと準備をすることはもちろん、そういう【経験値】を数多く積み重ねているからこそできるのでしょう。

これって皆さんにも当てはまりそうですね。皆さんはテキストやノート、参考書の整理整頓はできていますか?各教科、各単元の基本をしっかりとおさえていますか?
基本の【型】づくりを早期にしておけば、どんな問題も基本の組み合わせなのですから、オーダーにしっかりと対応した答えをつくることができるはずですよ。

もちろん、そのために【経験値=総量】が必要。ゴールデンウィークも終わり、ここから夏休みまでは祝日はありません。日常でしっかりと【型】をつくり、夏休みに【経験値】を積み上げていきましょう。

40年も前から「困難にたじろがないひとりで勉強できる子に」を掲げ、予習型繰り返し学習にこだわってきた能開の大先輩=先生たちの教え子が、何かのプロとして今もこの地球のどこかで社会に貢献しています。
そんな多くの先輩に続けるよう、正しい勉強の【型】を1学期の折り返し地点である今のうちに身につけて、【総量の最大化】の経験を積む夏の準備をしていきましょうね。

そしてこの夏、周りの誰もが驚くような勉強のプロを目指しましょう!
好みの味付けは、それからでも決して遅くはありませんから。

150518先週末は母の日でした。お小遣いでカーネーションをプレゼントしたりたくさんお手伝いを頑張ったりした人も多いでしょうね。
母の日に比べて父の日が盛り上がりに欠ける気がするのは、先生が父性であることのやっかみですかね。せっかくですから、今日は先生のお父さんのお話に付き合ってもらいましょう。

私の父は、今右半身が完全に麻痺していて寝たきりです。言葉も話せません。おそらく私を見ても自分の息子だとは認識できていないと思います。
実は11年前の4月、脳内出血になり突然仕事場で倒れたのです。

慌てて車に乗せ病院に運びました。覚悟をしてくださいと言われ、手術室に入ったのが病院に着いて2時間後。時計は18時を指していました。そこから待合室でただ父の無事を祈るだけの長い時間。父が手術室から出てきたのは夜2時を過ぎていました。

お医者様が私たち家族を呼び出して告げられました。
「脳の出血が止まりません。もしお望みならばもう1度手術をします。ただ、確実には止められないと思います。私たちはできる限りのことをしますのでいつでも声をかけてください。」

話し合って様子を見ることになったのですが、夜が明けた頃 病院の中庭に缶コーヒーを片手にたたずんでおられるお医者様の姿が目にとまりました。
その背中に思わず深々と頭を下げたのを、昨日のことのように覚えています。

結局父は元通りの元気な姿に戻れませんでしたが、今一生懸命生きています。歩けないので太ももも私の腕よりも細く今にも折れそうで、以前の屈強な父の姿を思い出すと思わず涙が出そうになります。

でも、お医者様に父の命を助けていただいてよかったと思っています。お医者様は夕方まで外来の診察をしながら夕方から父の手術に入り、また翌日も外来の対応をされていました。でも、疲れたなんて一言も言わずに、本当に夜通し私の父を見守ってくださったことは一生忘れません。

お医者様に救っていただいた命です。私はこれしか親孝行は出来ないなと思いながら、たまに介護の方と一緒に父をお風呂に入れます。私が息子だとは、決して気づいてはくれないけれど。

孝行したいときに親はなし、という言葉があります。せめて父が私のことを息子と認識できるうちに、好きだった晩酌くらい付き合って話をすべきだったな、と思います。

みなさんは父の日、どんな「プレゼント」をしますか。高価な物でなくてもお父さんに感謝の気持ちを伝える言葉のプレゼントだけで、きっとお父さんは喜ばれますよ。
そして出来れば、私の父を救ってくださったお医者様のように、自分を犠牲にしてでも相手の立場に立った思いやりをもった人に育ってくれたら、お父さんは涙を流すくらい喜ばれるはずです。

お金では買えない「プレゼント」は、きっとお父さんの心を豊かに満たすに違いありません。

150511GWが終わりましたが、皆さんどのように過ごしましたか?
旅行に行ったり、部活三昧だったり、もちろん勉強三昧だった人もいますよね。
先生は、というと全く違った二つの「式」に連続で参加してきました。
それは「結婚式」と「お葬式」です。
どちらにも続けて参加しての感想は、「二つの式は似ている」というものでした。
「めでたい結婚式と悲しいお葬式が似ているって何で!?」「縁起でもない!」と思う人がいるかもしれませんが、「お葬式」を悲しいもの、悲しまなくてはならないもの、ととらえているのは私たちの思い込みです。

世界にはいろいろなお葬式があるそうです。
例えば、ハワイでは、「死」を亡くなったひとの新たな旅立ちの記念ととらえて、フラダンスを踊ったり、スライドショーやビデオの上映などをしたりするそうです。こうなってくると結婚式と何が違うかわかりません。

そうです。先生はハワイ出身なのです。(ウソです。)

しんみりと悲しんだり、歌ったり、踊ったり、大声で泣いたりと、国、宗教、民族の違いなどで「お葬式」のとらえかたは随分違うようです。その全ては「こうあるべきだ」「こうに決まっている」という思い込みでできているのです。

今、君たちの前にある勉強のとらえかたも、君たち自身の思い込みに過ぎません。
自分は面倒な(と思い込んでいる)宿題、でも、楽しんでやっているA君もいるな。
自分は苦手な(と思い込んでいる)数学、でも、よだれをたらしながら喜んで取り組んでいるB君もいるな。
自分は覚えられない(と思い込んでいる)社会、でも、話し出したら5時間止まらないくらい詳しい歴女のCさんもいるな。

A君にも、B君にも、Cさんにもなれる可能性が君にはあります。

どうせなら「自分なら何でもできる!」という思い込みをしませんか?

150427先月、先生の住んでいる石川県に新幹線が開通しました。今まで東京まで4時間かかっていたのが2時間半で、お隣の富山までは今まで40分かかっていたのがわずか18分で行けるようになりました。
これでは本を読んでいるヒマも座っているヒマもないかもしれませんね。先生の家のベランダからも全力疾走する新幹線が見えますが、やはり時速260kmというのはすさまじい速さです。
実はこのくらいのスピードになると、通常では考えられない問題が起こってくるそうです。

例えばブレーキの問題がその1つです。新幹線以外の鉄道では「最高速度は時速130km」と決められています。これは、運転手が障害物を発見したときブレーキをかけて止まれる距離(600m)から計算されているそうです。
では時速260kmで走る新幹線は、ブレーキをかけてから止まるまでに何m必要だと思いますか? 答はなんと「4000m」です。4km先なんて見えるわけありませんから、つまり運転手が何かを発見してブレーキをかけても絶対に間に合わないということですね。

今から50年前に日本で初めて新幹線が開通するときも、技術者はこの問題をどうやってクリアするか色々と悩んだといいます。みなさんは、この問題をどうやって解決したかわかりますか?
実は『ブレーキをかけなくてすむように、線路内に何も入り込めなくする』方法をとったのです。ブレーキをかけても間に合わないのなら、「ブレーキをかけるような状況を作らなければ良い」というまったく逆の発想を思いついたのです。
こうして新幹線は「全線立体交差で踏切を作らない」ように作られ、さらには「新幹線の線路内への立ち入りを禁止する法律(新幹線特例法)」まで作られました。
今では当たり前に走っている新幹線も、このような発想の転換によって実現したとは驚きですね!

目の前に何か困った問題が起こったとき、「正攻法」で原因と改善を図るのはもちろん大切なことですが、どうにもこうにもならないときは「逆転の発想」をしてみるのもよいかもしれませんね。
(間違っても「能開の宿題が終わらない」から、「終わらせなくても済む方法を考える」という逆転の発想をしてはいけませんよ!?)