160920気がついたら秋の気配がし始めてきました。今年の夏はどうでしたか?様々な経験をしたと思います。楽しいことや苦しいこともあったでしょうね。夏といえばお祭り。お祭りの楽しみといえばたくさんの屋台ですよね。
昔、先生が必ずねらっていたのは「金魚すくい」でした。たくさんすくっては、家で飼っていた記憶があります。その中で1匹だけ、10年以上生き延びた金魚がいたことを思い出しました。

やってきたばかりの金魚は、エサを入れると、ものすごい勢いで食いついてきます。金魚すくいの屋台のおじさんは、エサなんかくれませんからね。ところが、数日、数週間経つと、エサに反応しなくなります。いつでも好きな時に食べればいいと、ぐうたらな金魚になってしまうのです。

1か月後、別の祭りで取ってきた金魚を入れます。エサを入れるとどうなるか。新たに入れた金魚は、われ先にエサに飛びつきます。当然です。で、面白いことに、ぐうたら化した金魚もそれに釣られて、うそのように動き出します。そうやってどんどん大きく、大きく成長した金魚は、鯉のように大きくなりました。

最初は小さな金魚鉢に入れて飼っていたのですが、あまりにも大きくなるものですから、どんどん大きな入れ物に入れ替えていきました。金魚鉢が水槽に、水槽が最後には池になりました。
「ここまで長生きしたんだから、池を作ってやろう!」と父が言って、なんと庭に池が作られました。

父が「金魚鉢の法則」というものをその時話してくれました。
金魚は金魚鉢の大きさによって体型が変わると言われています。小さな金魚鉢では、小さな金魚のまま。大きな金魚鉢では、大きな金魚へと成長する。だから、この金魚には池が必要だと言うのです。

当時は「ほんとかなぁ…」と疑っていましたが、金魚だけに限らず、これは人間にも当てはまるような気がしています。

夏に講習会や合宿、様々な経験をみなさんはしてきました。講習会が金魚鉢としたら、合宿は池でしょうか?これから2学期に行われるオープン模試や全国統一小学生テストはもっと広い湖や川かもしれません。みなさんにはもっともっと大きなフィールドがあります。どんどん大きくなって、大海へと泳ぎだしてほしいと思います。

逆に金魚鉢の中に入ったままで、ぐうたら化した人はいませんか?そういう人は周りをよく見てみましょう。Ⅱ期から入った新たなメンバーが、がんばっていませんか?エサをばくばく食べるように、負けないようにがんばりましょう!!

160912「当たり前のもの」は、当たり前のものですから、普段、意識することはあまりありません。ただ、「当たり前のもの」が当たり前ではない体験をすると、あらためてその大切さに気づかされます。

夏合宿に参加して、あらためて保護者の方のありがたさを感じた人も多いのではないでしょうか。
ありがたみを感じるよりも、あまりに当たり前になりすぎていて、「何でこんなことを自分でしないといけないんだ」、「何でこれがないんだ」、「家と料理の味付けが違う、量が足りない」と不満や苛立ちを感じた人もいるかもしれません。
それは、裏返せば保護者の方のおかげで日常がいかに恵まれているかということの証明です。

先生も、例えば、水道が突然、使えなくなるといったことが起こると、「あぁ、いつも蛇口をひねるだけで水が出るなんて、なんて水道ってありがたいんだ」と思う前に、「何で出ないんだ。まったく」と思ってしまいます。
蛇口をひねれば、きれいな水が必要なだけ出てくるということが、あまりにも当たり前になってしまっているからです。
しかし、あらためて考えてみれば、「当たり前のもの」というのは、長い年月をかけ、様々な人たちの努力によって「当たり前のもの」になったものや、様々な人たちの貢献によって「当たり前のもの」として維持されているものなのです。

保護者の方だって、みんなと同じようにやるべきことがたくさんあり、色々と大変なことがある中で、みんなのために様々なことを行ってくれているのです。

水道にしたって、古くは紀元前2,500年ごろに栄えたモヘンジョ・ダロにはすでにあったといわれていますが、様々な人たちの知恵と努力の結果、今の形になったのです。そして、様々な人たちが、日夜、維持に努めてくれているから、いつでもきれいな水が出るのです。

ちなみに、先生の家は、小高い山の頂上付近にあるのですが、家の近くには、室町時代に作られた石造りの水路があります。その水路は、常にきれいな水を懇々と流し続けています。先生の家の周辺では、二世代前まで、実際に生活用水としてその水を使っていたそうです。数百年たっても実用に耐えうる石造りの水路を、機械など無い時代に、数kmつないだ人たちの行いには頭が下がります。

みんながいずれ直面する受験にしたって、生まれや育ちにかかわらず、全ての人が平等に様々なものを学び、自由に職業を選択できるように、先人たちが知恵を絞って生み出したシステムということもできると思います。

さぁ、Ⅱ期の日常が始まりました。「当たり前のもの」に感謝することは中々難しいことかもしれませんが、だからこそそういったことに感謝する気持ちを少しでも持てれば素敵なことだと思います。
また、感謝できる人は、感謝される人でもあると思います。自分がかかわる「当たり前のもの」が、誰かの大切なものになっていると思えれば、日常の何気ないこともがんばる力がわいてくるんじゃないかなと思います。

160905こんにちは。夏休みも終わりましたね。
みなさんは夏期講習会中、宿題のプリントや小テストのプリント、漢字・英単語テストのプリントなどたくさんのプリントをもらってきたことと思います。
そのプリントを切り貼りしたノートを積み上げるとかなりの高さになると思います。その高さこそ、皆さんがこの夏、努力した賜物です。その高さに比例して、自信も積み上げてくださいね。

さて、その講習会中に大量に配られたプリント類は「紙」でできていますが、皆さんはその「紙」の凄さを知っていますか?
紙の歴史は非常古く、紀元前150年頃のものが現在の紙の元となった最古の紙だと言われています。今から2200年近く前に紙は発明されているのですね。

それでは、実験をしてみましょう。皆さん手元になんでもいいので紙を準備してください。そして、それを今から100回折りたたんでください。

今、紙を一生懸命に折り出した人は、せっかく折り出しましたがやめたほうがいいです。やれと言っておきながら、やめたほうがいいとはどういうことだ!と立腹した人もいるかと思いますが、実際には100回折りたたむことは不可能なのです。
紙1枚の厚さを0.05mmとすると100枚「重ねた」だけなら5mmにすぎません。しかし、紙を100回「折りたたむ」とその厚さはなんと約67億光年(0.05mm×2の100乗)となります。67億光年というのは光が1年間に進む距離を1光年としていますので、光の速度をもってしても67億年かかるという距離です。

もう一度、目の前の紙を見てみましょう。見方が変わりますね。敬意こそ払います(笑)

皆さんは紙を「積み上げていく」学習ではなく、紙を「折りたたむ」学習を行って下さい。そして、視野の広い、発想力の豊かな大人になって欲しいものです。
1つの側面からのみ物事を捉えるのではなく、1つの事象から気になりだしたことを次々と調べ、学び、咀嚼して行くことで、その知識は何倍にも生きた価値のあるものへと変貌していきます。

皆さんたちの学習に置き換えれば、1つの問題ができればいいのではなく、問題を解く際に気になったことは参考書や辞書を使って調べ、今であればインターネットを使って調べ、またそこでわからないものに出くわしたら更に調べ…という具合に「深めて」行くのです。それが人の知的欲求を満たしていくものだと考えます。

勉強の秋!
「やらなければいけない」宿題としての勉強ではなく、「自分を一回り大きくするための勉強」として宿題と向き合っていってくださいね。

160829暑かった夏も終わりに近づいていますが、厳しい暑さが続いています。
夏のお楽しみといえば、花火大会もそのひとつですが、先生の住んでいるところでも、先日花火大会が行われました。
様々な色彩で夏の夜空を彩る花火は、暑さを忘れさせてくれます。

でも、なんで、花火はあんなに色鮮やかなのでしょうか?
火の色といえば、赤やオレンジを思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、実際は、赤や青、緑に黄色、紫と様々な色の花火が上がっています。

花火には、その色のもととなるものが火薬に入れられているんですね。
なんだと思いますか?

実は、金属なんです。
「え?金属って燃えるの?」と思うかもしれません。

金属は燃えます。(燃えない金属もありますが。)
リチウム・ナトリウム・マグネシウム・アルミニウム・鉄・カリウム・カルシウムなどは燃えやすい金属なんです。

しかし、燃えやすい物質である鉄であっても、ある程度分厚くなればまず燃えませんし、アルミ箔でも小さく丸めればそう簡単には燃えなくなります。金属というのはほんの少しまとまっただけで燃えにくくなるのです。

逆に、燃えやすい状態というのは、粉末状であったり、薄く伸ばされている状態の時です。砂鉄やアルミ箔は燃えやすい状態と言っても良いですね。

また、金属は「水に入れても燃える」というのが非常に面白いところです。
燃えるのには酸素が必要だというのは常識ですが、水はH2O、つまり酸素を含んでいる物質です。金属はこの水を分解して酸素を奪って燃えられる変わった物質なのです。

はっきり言って、燃えやすい状態の燃えやすい金属は「油より燃えやすい」のです。

さて、金属を燃やしたら、炎の色は赤だけでなくさまざまな色になります。ナトリウムなら黄色、銅なら青緑というように、金属の種類によって違っています。
このように、金属を燃やしたときに、その金属の種類によって決まった色を放出することを「炎色反応」といいます。
花火は、この「炎色反応」を利用しているんですね。
よく考えられたものだと思いませんか?

そういえば、虹の色の数を「7色」と決めたのは、あのニュートンだということを知っていましたか?
ニュートンといえば、リンゴが落ちるのを見て発見したという「万有引力の法則」が有名ですが、光の研究でも有名なのだそうです。

ティエラでこの夏、猛勉強している君たちの中に、将来、もしかしたら、新しい花火の色を作っている人がいるかもしれません。花火に限らず、ニュートンのように様々な分野で、世界に役立つ大きな発見をしてくれる人が出てきて欲しいと思います。

160822長崎に住んでいない人が聞くと、「なんて不謹慎な!」「そんなことしていいの!?」と思うかもしれませんね。

しかし、長崎ではとても普通のことで、『精霊流し』(盆の終わりの15日の夕方に、精霊(御先祖さまの霊を送り返すため、供物をわらや木で作った舟に乗せて川や海に流す行事)ともなると、車道で堂々と爆竹だってやっても怒られることはありません。

なので、先生も昔お盆になると、よく知らない親戚のおじさんから「花火代」といってテッシュペーパーに包まれたおこづかいをもらったものです。

全国的には、ナスとキュウリを牛と馬に見立てて作る「精霊馬」や「精霊牛」が有名ですね。
いずれにも意味があり

「花火」・・・お盆に帰ってきていたご先祖さまが、帰り道をまちがえないよう、寂しくないように送り出すため
「精霊馬」・・・足の速い馬として見立てられ、あの世から早く家に戻って来られるように
(キユウリで作る)
「精霊牛」・・・遅い牛として見立てられ、少しでもこの世から帰るのを遅らせるように
(ナスで作る)

というように、ご先祖さまの魂をいたわる気持ちが込められているのです。

さて、時として人は目に見えないモノに礼を尽くしたり、大切にしたりします。

友だち同士の友情。親子間の愛情。夏合宿での気づき。講習会で作ったノートへかけた努力…
本当に大切なモノは、見えないことが多いようです。

長かった夏休みも、あと少しで終わります。
「能開の2学期は、8月から!」
この夏にキミたち一人ひとりが経験した大切なことを胸に、2学期も頑張っていきましょう!!

1608088月6日、ついに始まりましたね(前日の5日にはサッカーの予選がすでに始まってはいますが)。4年に1度の世界最大のスポーツの祭典、オリンピック。世界中の人が選手たちのがんばりに大きな声援を送ることでしょう。
オリンピックでは、毎回感動のお話が残されていますが、その中の一つを皆さんに紹介します。

マラソンはオリンピックの花形競技の一つです。現時点での世界最速記録はケニアの選手が出した、2時間2分57秒というものです。単純に計算すると・・・
100メートルを17.5秒、50メートル走を8.75秒で42.195キロを走ったことになります。時速にすると20.6km。これは自転車を全力でこいでいるときと同じくらいのスピードです。それを、2時間あまり保っていくわけですから、すごいですね!
さて、逆に世界「最長」記録も存在します。それは・・・「54年8ヶ月6日5時間32分20秒3」
この記録は、日本人が持っています。その選手の名は金栗四三(かなくりしそう)さんといいます。

彼は1912年のストックホルム大会にマラソン代表として参加しました。しかし、日本からの長旅やスウェーデン特有の環境(白夜といって夜でも明るい)、迎えの車が来なかった、しかも当日は40度という記録的な暑さだったなどの不運に見舞われ、途中で気を失ってしまいました。それを見かけたスウェーデンの農家の人が彼を助けて介抱してくれるのですが、彼の意識が戻ったのは翌日の朝。彼は悔しい思いを抱えて宿舎に戻りました。

しかし、彼はこのあと2度オリンピックに参加するなどの努力を見せ、引退後は後輩たちの指導に力を注ぎます。

スウェーデン大会から約50年たったある日、彼の家に1通の手紙が届きます。宛名は「スウェーデンオリンピック委員会」。何かと思って開いてみると・・・
手紙の文面は、「あなたはマラソンで行方不明になったままなので、ゴールをしに来てください」
彼が気を失って倒れてしまった50年前の大会で、彼は棄権届けを出しておらず、公式記録としては「行方不明」となっていたのです。スウェーデンオリンピック委員会がオリンピック開催55周年の行事をすることになって当時の記録を調べていたら、「行方不明」になっていた選手がまだ生きていることがわかり、連絡をしてきたのでした。
75歳になっていた彼は52年ぶりにストックホルムに赴き、ゴールテープを切りました。ゴールを果たした瞬間、「日本の金栗が只今ゴール。タイムは54年8か月6日5時間32分20秒3…。これで第5回ストックホルム大会の全日程は終わりました」とアナウンスされ、金栗選手の姿はスウェーデンの公共テレビで放送されたのです。

先生は、このお話を知ってとても感動しました。
一生懸命に一つのことをがんばり続けた金栗さん。そして、そのことをしっかりと評価してくれたスウェーデンのオリンピック委員会の計らい。
君たちは、この夏、オリンピックの選手たちとともに「熱い夏」をすごしていると思います。
多くの皆さんは合宿に参加し、多くの経験を積んでくることでしょう。その一つ一つは君たちにとって大きな財産になります。そしてそれは、君たちの心の中にしっかりと刻み込まれるはず。
そう言いきれるよう、自分自身の最大の力を発揮して、この夏を乗り切ってください。期待しています。

1608018月になりました。みなさんは夏期講習会で、学習総量の自己新記録に挑戦しているところでしょう。
受験生は特にこの『夏』が勝負です。
努力の量では他の受験生に負けないつもりで、限界をつくらずどんどん取り組んで、大きな成長をして欲しいと思います。

成長するためには、自己実現をしましょう。
自己実現とは、目標を決めて、それを達成することです。

自分の夢・志を達成するために、この夏の目標を決めて、
それを達成する経験して下さい。挑むべき目標はたくさん作っていいです。
暗記テスト全日程満点や宿題の字を丁寧に書くなどでもいいでしょう。
ノートコンテストで入賞を狙うなんて目標もいいかもしれませんね。

成長のためにはいろんな目標を持つことです。
そして、たくさんの達成経験をして下さい。

夏休みは大きく成長できる可能性があります。
学校がある時期には出来ない目標も、夏休みには設定できます。

自己実現を数多く経験し、今までで一番成長した夏にしよう。

160719皆さんは日本から遠いウズベキスタンという国に、日本人が建てた「ナボイ劇場」という建物があることをご存知でしょうか。ウズベキスタンは中央アジアにある小さな国です。その首都タシケント市にあるのがナボイ劇場で、今でも多くの市民に親しまれています。

第二次世界大戦が終わった時、満州(今の中国)で捕虜となった日本兵を、ソ連(今のロシア)はシベリアなどで森林伐採や鉄道建設のために強制労働させました。そして、そのうちの一部の日本兵に対し、戦争で工事が中断していたナボイ劇場を完成するように命じたのです。

工事を命じられたのは500人ほどの部隊で、隊長の永田大尉は24歳でした。彼が考えたのは、隊員たち全員を無事に日本へ帰国させることでした。そしてさらに劇場を、捕虜が作った手抜き仕事と言われるものではなく、日本人はすごいと尊敬されるような立派な建物にしようと考えたのです。

捕虜としての強制労働は苦しく、十分な食事も与えられず、お風呂もまともに入れませんでした。それでも一生懸命に劇場建設に取り組む日本人を見て、地元のウズベク人も次第に敬意を表し、そっと食事を差し入れすることもありました。子どもたちがパンを差し入れした時には、数日後、同じ場所に日本人が木で作った玩具が、お礼の意味で置いてあったそうです。

日本人の活躍もあり、ナボイ劇場は2年で完成しました。ほとんどの日本人も無事に帰国することができました。それから19年後の1966年、タシケント市は直下型の大地震に襲われ、街はほぼ壊滅しました。しかし、その中でナボイ劇場だけは壊れることなく、避難所として大きな役割を果たしました。大地震に耐えたナボイ劇場の話は、日本人の技術の高さや勤勉さ象徴する話として、ウズベキスタンから中央アジアの各国に伝わり、それらの国では今でも親日家が多いそうです。

ウズベキスタンは1991年のソビエト崩壊と同時に独立しました。ナボイ劇場には「日本人の捕虜が建てた」と建設当時に書かれた石碑がありましたが、新しい大統領は「彼らは恩人だ、間違っても捕虜と書くな」と命令して、「日本国民がナボイ劇場の建設に参加し、完成に貢献した」と書き直させたそうです。

7月1日にバングラデシュのダッカで武装グループがレストランを襲撃し、日本人7名を含む22人が死亡する事件がありました。7名の日本人はバングラデシュの発展のために働いている人たちでした。とても悲しい出来事ですが、世界の国々のために働いている日本人がいることや、かつて日本人の働きで多くの人が救われたことがあったことを、私たちは忘れてはいけません。その人たちのおかげで人々が幸せに暮らすことができるのであり、そこから友情が生まれ、世界が平和で安全な世の中になっていくのですから。

160711皆さんは「落語」を聞いたことがありますか?
先生は、普段はあまり聞きませんが、飛行機で旅行したり移動したりするときに、機内放送がついていたら「落語」を聴いてすごしています。
「落語」にもいろんな種類があるらしく、江戸時代から語り継がれてきたもの(古典落語)もあれば、最近になって作られたもの(新作落語)まであるそうです。今日はその中でも「古典」に類する一つの作品を紹介します。タイトルは「千早振る」。大まかな中身は以下のとおりです。

「先生」の異名を持つ岩田の隠居が茶を飲んでいると、なじみの八五郎が訪れてくる。娘に小倉百人一首のなかに入っている、在原業平という人の「ちはやふる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」という和歌の意味を聞かれて答えられなかったため、隠居のもとに教えてほしいと思って来たという。隠居も実はこの歌の意味を知らなかったが、知らないと答えるのはプライドにかかわると考え、即興で次のような解釈を披露する。
江戸時代、人気大関の「竜田川」が遊びに行った際、「千早」という一人の美人に一目ぼれした。ところが千早は力士が嫌いで振られてしまう(「千早振る」)。振られた竜田川は妹分の「神代」に言い寄るが、こちらも「千早さんが嫌なものは、わたしも嫌です」と、言う事を聞かない(「神代も聞かず竜田川」)。
このことから成績不振となった竜田川は力士を辞めて、実家に戻って豆腐屋をすることにした。それから数年後、竜田川の店に一人のみすぼらしい女の人が訪れる。「おからを分けてくれ」と言われ、喜んであげようとした竜田川だったが、なんとそのみすぼらしい女の人は千早だった。怒った竜田川はおからを放り出し、千早を思い切り突き飛ばした。千早は井戸のそばに倒れこみ、こうなったのも自分が悪いと井戸に飛び込み入水自殺をしてしまった(「から紅(くれない)に水くぐる」)。
八五郎は「大関ともあろう者が、失恋したくらいで辞めますか」、「いくらなんでも美人がみすぼらしくなるくらいにまでなりますかね」などと、隠居の解説に首をひねり通しだが、隠居は何とか強引に八五郎を納得させた。やれ安心と思ったところに八五郎が、「千早振る、神代も聞かず竜田川、からくれないに水くぐる、まではわかりましたが、最後の『とは』は何です」と突っ込んだ。とっさの機転でご隠居はこう答えた。
「千早はペンネームで、彼女の本名が『とは(とわ)』だった」

この作品は江戸時代の中ごろ(今から350年位前)に作られたものらしいのですが、すごいと思いませんか?
江戸時代の庶民は「百人一首」が理解できているから笑えるんだということ。
それと、このお話には君たちに教えてくれていることがあるな、と先生は考えています。
それは、「知識」を身につける方法についてです。二つのことが挙げられると先生は考えます。
一つは、八五郎は意味がわからなかったから「先生」に聞きに行くのですが、当時は参考書などないので、物知りの「先生」に聞きに行きましたね。わからないことがあれば自分で調べることの大事さを言っているのです。君たちには「参考書」という武器を持っているのですから、有効活用してほしいです。
もう一つは、「先生」は「千早振る」の和歌を知らなかったけれども、「知らない」と言いたくなかったから、自分で考えたストーリーを語り始めるところ。すぐにストーリーを語り始めるのもすごいですが、それよりも大事なのは、なぜ「先生」は知らなかったのか、ということ。それはいままでに「千早振る」に接したことがないから。つまり経験がなかったからです。
自分で調べるということと経験をつむことの二つによってしっかりとした知識になっていくのです。参考書を使って調べ、何度も繰り返すという経験が君たちを強くしていくのです。
君たちはこれから夏期講習会に突入していきますが、まさに能開の勉強はこの二つを鍛えていくものです。それを実践するのが講習会です。自分の知識をよりしっかりしたものにするためにも、全力で取り組んでいきましょう!

160704「私は、今日から英単語を毎日10個ずつ覚える。」
「僕は、部活が終わったら必死に勉強する。」

皆さんは、こんな決意をしたことがありませんか?

その決意通りに頑張れるひと、そして頑張れないひとがいます。
その差はどこにあるのか?また、どうすれば頑張れるのか?
今日は、頑張るためのヒントをお話したいと思います。

昔、某大学の学生が卒業論文のために「ダイエットのポイント」を研究したそうです。
そのために行った実験の一つが次のようなものでした。

まずは、ダイエットしたいが、甘いものが大好きという人を50名集めました。そして、ダイエットを始める日を、次の3つから選んでもらったそうです。
①今日からはじめる  ②明日からはじめる  ③1週間後からはじめる

ダイエットの方法は、いたって単純で「甘いものを我慢する」。ただそれだけです。

目標を-5kgと設定し、ダイエットスタート!結果は以下の通りです。

①今日からはじめる・・・22人が選択し、15名が成功、7名が途中で断念。
②明日からはじめる・・・17人が選択し、5名が成功、12名が途中で断念。
③1週間後からはじめる・・・11人が選択し、全員が途中で断念。

③を選択した人の中には、ダイエットを始めるまでの1週間で、甘いものを食べまくり、逆に5kg太ってしまった人もいたそうです。

なぜこのような結果になったのか?実験をした学生さんは、人の記憶に関係があると結論づけました。

人の記憶は、時間とともに薄れていきます。それは、『決意』『ヤル気』も同じです。
どんなに『ヤル気』があっても、なにもせず時間が過ぎれば『ヤル気』は薄れていきます。

「思い立ったが吉日」という言葉がありますね。「何かをしようと考えたら、その日を吉日として、すぐに始めるのがよい」 という意味です。

スタートする日を1日でも遅くすると、成功する確率はぐんと低くなります。

もうすぐ夏休み、これからの頑張りを決意している人が多いのではないでしょうか。
特に受験生の皆さんは、『ヤル気』満々の時期でしょう。
成功するコツは、すぐに行動に移すことです。今日、行動に移すことです。

“「思い立ったが吉日」生活”始めてみて下さい。