いよいよ2020年も終わりを迎えようとしています。

新しい時代『令和』に変わり、これからの時代の中心として活躍していく君たちに伝えたいこと…それはこれから先に何が起こるかわからないから、しっかりと考えて準備をしていこうということです。

みなさんは、無意識のうちに何かが起こると『ってことは…?』と考えて行動しています。例えば、今使っているノートがもう少しで終わってしまう。→『ってことは…』新しいノートを準備しなければならない。もっと極端な話をすると、お腹が減った→『ってことは…』ご飯を食べる。といったようにこんな感じで日常生活の中で『ってことは…』を使っているのです。

ただ、ここで重要なのは「無意識のうちに」というところです。普段の生活の中で『ってことは…』というのをなかなか意識することは難しいかもしれません。ただ、これから先何が起こるかわからない時代です。『ってことは…』を普段から意識し、その先を考えることが出来る子が、これから先の時代に大きく活躍できるのかもしれません。

未来のことは誰にもわかりません。ただ、未来のことを予測し、しっかりと準備をした人に栄光がやってくると思います。これで先生の朝礼は終わります。『ってことは…』本日の授業もしっかりとがんばって行きましょう!

12月も半ばとなり、全国的にとても寒くなってきました。まさに冬といった風情ですね。12月は1年の中でも大きな行事が2つある月でもあります。1つ目は大晦日。2つ目はそう、クリスマスですね。皆さん、とても楽しみにしている行事だろうと思います。

さて、先生は毎年この季節に楽しみにしている行事が1つあります。聞きなれない人も多いかと思いますが、実は毎年クリスマスのあたりで開催されている「クリスマスボウル」という大会があります。この大会はアメリカンフットボール、通称アメフトの高校生全国大会の決勝戦の舞台なのです。高校生の大会でも珍しく、関西の優勝校と関東の優勝校が対決する、まさにスポーツ界の関ヶ原の戦いといった舞台です。

中でも2018年の試合、「立命館宇治(京都)vs佼成学園(東京)」はまさに圧巻の試合。第3クォーター終了時の点差は33-14。佼成学園は大差をつけられ、もはや優勝は絶望的な展開となっていました。しかし、彼らはあきらめませんでした。最終第4クォーター、残された時間が少ない中最後の猛反撃を始めます。なんと、相手のほんのわずかなミスを突いてそこから3回連続のタッチダウンを決め、最後の最後、佼成学園は実に19点もの点差を詰め、大逆転の優勝を果たしたのです。最終スコアは33-39となりました。

皆さんも、特に受験生はこの時期なかなか思うように伸びずに苦しんでいる人もいるかもしれません。しかし、あきらめなければ必ず逆転のチャンスは訪れます。何度打ちのめされても決してあきらめない、不屈の精神をもって生きていきたいですね。

先日、テレビを見ていると、折りたためるスマホ(スマートフォン)を使っている人がいました。驚いて調べてみると、どうやら数年前からあるらしく、最近、縦に折りたためるスマホも発売されたそうです。スマホが折りたためると何がいいのか?まずはかっこいい!(とわたしは思う…)そしてコンパクトになるため持ち運びやすいですね。あとはセルフィー(自撮り)に便利らしいです。このスマホは半分だけ開いた状態で固定できるので、机に上に卓上スタンドなし設置できます。しかも、手をかざすだけでシャッターが切れるという機能付き、いや~、本当に技術の進歩はすごいですね。

 この発見を誰かに話したい。そう思い、知人に自慢げに話をしました。その結果・・・「そんなんいらんし!」と瞬殺です。悲しくなって海に行って泣こうかと思いましたが、よくよく考えるとガラケー(ガラパゴスケータイ)のときも同じだったことを思い出しました。皆さんがイメージするガラケーってどんなかたちでしょうか?おそらく、折りたためるかたちでしょう。しかし、ガラケーもはじめは折りたためるものはなかったですし、折りたたみガラケーが発売されたときは、「何のために折りたたむの?故障が増えるだけじゃ?」と否定的な意見が多かったです。きっと技術の進歩に人の考え(どんなに便利になるのか)が追いついていなかったのでしょうね。

 新しいものを作り出すためには想像力が必要です。また、新しいものを受ける入れるためにも想像力が必要です。そして、新しい技術を使うためには、正しい心が必要だと思います。君たちの未来には、今、想像すらできないものがたくさん生み出されるでしょう。その新しい技術、新しい文化とともに生きていけることをうらやましく思います。この技術革新の時代に生まれたことを幸せに思い、君たち自身も成長していって下さい。技術の進歩とともに、人の心も成長しなければ、決して幸せな未来は来ないのですから。

今日は、先生が小学生の時の思い出をお話ししようと思います。

小学校生活の楽しみのひとつは、何と言ってもやっぱり「給食」ですよね? 先生が通っていた小学校では、学期の終わりに「セレクト給食」というものがありました。「セレクト給食」とは、数種類のメニューの中から、好きなメニューを各自選ぶことができるという、夢のような給食の日のことです。

 しかし、小学6年生の2学期に不思議なことが起こりました。12月の給食献立表が配られたのですが、例年であれば「セレクト給食」の日と思われるところが「シークレット給食」という謎の表記になっているではありませんか!!

 小学校の先生たちも詳細を教えてくれませんでした。学校中がこの「シークレット給食」のメニューは一体何だろうかという話題で盛り上がりました。先生のクラスでも帰りの会というホームルームの時間は毎日この話題でああでもない、こうでもないと意見が飛び交いました。学校中で似たようなことが起きていたようです。

 その給食が実際には何だったのか、特別のものだったか、そうではなかったか、今となっては忘れてしまい、もう思い出すことができませんが、クラスのみんなとメニューについて様々な想像をし、ワクワクしていたことははっきりと覚えています。

 これから先に起こることを想像するというのは、ドキドキワクワクする感じがしますね。未来と言うと少々大げさかもしれませんが、10年後の世の中は、10年後の自分はどうなっているだろうと想像するのも良いかもしれません。また、1年後の自分、1カ月後の自分…というふうに少し先の自分を楽しく想像しながら、今年の冬を頑張っていきましょう!

みんなは「タイムマシン」についてどういうイメージを持っていますか?

先生はタイムマシンが出てくる作品がジャンルを問わず好きで、ちょこちょこ見たり読んだりしています。 全部が全部面白いわけではないところがポイントです。「それで最終的にちゃんともと居た時代に戻るのはおかしいだろ」と突っ込まざるを得ないものがほとんどです。

その中で、「サマータイムマシーンブルース」という映画が一番のおすすめです。大学生が主人公の作品で、くだらないことが理由で大変なことになっていく。という内容です。タイムマシンものではありがちな矛盾がほとんどなく、いろいろな所に伏線が張られていて、見終わった後にもう一度見たくなります。

さて、そういった作品で大きなテーマになっているのが、過去と現在と未来はつながっていて、過去を変えると現在が変わるということ。つまり、現在の自分の行動次第で未来は変わるということです。

みんなも、テスト前や入試前に「タイムマシンがあれば…」なんて思わないでいいようにしっかりがんばりましょう!

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秋の深まる11月の今の時期になると、モミジ、カエデ、ハゼなどの葉は、真っ赤に色づき、野や山を美しく彩ります。長崎の紅葉スポットでは雲仙の仁田峠や轟峡が有名ですよね。みなさんも一度は紅葉を見に足を運んだことがあると思います。

しかしこれらの葉も、春から夏にかけては、緑色をしているわけです。木や草の葉が緑色をしているのは、葉の中に葉緑素という緑色の色素が含まれているのは、皆さん学校でも学習して知っていると思います。

しかし、緑色をしている葉にも葉緑素のほかに、カロチノイドという黄色い色素が含まれています。ただこれらの色素は、葉緑素に比べると分量がかなり少ないので、黄色は隠れてしまって、葉は緑色に見えるのです。

ところが秋になると、気温が低くなって葉の働きが弱まり、葉緑素は壊れてしまいます。そして、黄色い色素だけがあとに残り、イチョウ、ポプラ、クワなどは黄色い葉になるわけです。

モミジなどの赤い葉でもやはり、葉緑素が壊れて黄色い色素が残ります。しかし、赤くなる葉には、黄色い色素が残るだけでなく、別にアントシアンという赤い色素がたくさんできてきます。それで、モミジなどの葉は赤く色づくのです。

葉では昼間日光が当たっているときには、みなさんご存じの光合成が行われ、二酸化炭素と水から糖分がつくられます。そして、この糖分は茎や根などに送られていきます。

ところが、秋になって寒くなってくると、木は葉を落とす準備を始め、葉と枝とを切り離す仕切りを作ります。この仕切りができると、糖分の通り道が塞がってしまいます。そこで糖分は葉に溜まっていきます。この溜まった糖分から、たくさんのアントシアンが作られ、葉は真っ赤に色づいていくのです。

これから植物たちは、春の芽吹きのために、葉を落とし厳しい冬を乗り越えていきます。君たちもこの冬、新型コロナやインフルエンザなどのウィルス感染に注意しながら学習面でもしっかり準備し、この冬を乗り越えて、春にすばらしい花を咲かせてほしいと思います。

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みなさんは、ずっと持ち続けたいと思う興味のあることや好きなものはありますか。もちろん、成長するに従って、新しいことに興味を持ったり、別のことが好きになったりすることもあると思います。先生は、幼い頃から今での興味あることの中に、「動物」があります。小学生のころには。「シートン動物記」は何度も読みましたし(先生の弟はなぜか「ファーブル昆虫記」派でした)、「野生の王国」というテレビ番組も大好きでした。今でも、そういった動物に関するドキュメント番組はよく観賞します。

今年、先生が「動物」について読んだ本の中に、「カメの甲羅(甲羅)は○○○○~人体で表す動物図鑑~」というものがあります。この「○○○○」は、書籍名にはもちろん正しく明記されていますが、何だと思いますか? 正解は「あばら骨」だそうです。人間の体をカメに変化させたイラストも描かれた表紙に興味がふつふつと湧き、一気に読んでしまいました。

読んでいくと、いろいろな驚きがありました。コウモリの翼は手のひらが変化したものであること、トカゲ人間になるとしたら足は真横に伸びることなどなど。興味のある人はぜひ読んでみて欲しいと思います。

それぞれの動物は、さまざまな環境の中で、その環境に適するように自分の体を変化させてきました。その環境に適応できなければ、子孫を残すことができないからです。みなさんも、今後、いろいろな環境の中で学習していくことになります。そして、それぞれの環境の中で、自分を変化させなければなりません。「変化」は「成長」へとつながっていくものです。1ヶ月半後の「冬期講習会」も、みなさんが「変化」できる環境です。「弱み」だけでなく、「強み」までも「成長」できる「冬期講習会」にして欲しいと思います。

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秋なので読書の話、最近、大物バンド(Buc……)のボーカルの息子が芥川賞を、という話題もありましたので芥川の名作“藪の中”の紹介を……、や、√(ルート)が、数直線上には点を取れない、といいながら長さが表せる不思議等、色々考えましたが、先生からは、来年度からいよいよ中学校の指導要領が変わり、この10月から教室によっては“速読聴英語”が受講可能になったということで“英語に親しもう”という話をさせてもらいます。

皆さんも既に聞いていることと思いますが、来年度から中学校の英語の授業は原則、英語で行われることになります。求められる技能も、4技能(聞くこと・読むこと・書くこと・話すこと(やり取り))から4技能5領域(+話すこと(発表))に拡大されます。中学校三年間に覚えるべき英単語の数も1,200語から1,600~1,800語になります(ちなみに能開は今でも1,900語以上です。さすが能開です)。そう聞くと大変と思う人もいるかもしれませんが、英語は言語ですので勉強すれば学力をつけることと同時にコミュニケーションの幅を広げることが出来ます。日本人は、文法は得意だが会話が……、と、よく言われますが、新しい指導要領によって少しはその状況も改善されるかもしれません。

という先生も、外国の方の英語は何とか聞き取れる(だいたい)のですがすぐには(または永遠に)返す言葉が出てきません。先生は、実際に突然、英語で話しかけられた経験が何度かありますが(休みの関係もあり海外には一度も行ったことはありませんが……)大体上手く話せませんでした。

一度目は関ヶ原(大海人皇子が桃を配ったり、天下分け目の戦いが行われたりしたあの関ヶ原です)で誰の陣地から回ろうか、まずは松平忠吉・井伊直正隊から、藤堂高虎・京極高知隊は中学校か、と、地図を見ているときでした。How long does it take to go around?(多分)と、オーストラリア人っぽい(先生のイメージ)中年の女性から声をかけられました。あせりながらも先生は距離が書かれた案内版を指差しました。先生の英語力を察したのか、あとは自分で確認してくれていました……。ちなみに先生はそのあと各陣地跡、平塚為広(平塚らいてうの先祖)終焉の地、島津豊久・長寿院盛淳が捨てがまった烏頭坂等々を訪れて楽しみました。

二度目は台風の接近する中、伊勢神宮を訪れ、おかげ横丁でお伊勢参りの歴史を学び、伊勢うどんに驚き、お土産を見ていたときです。先ほどまでは晴れていたのですが突然、雨が降り出しました(台風が迫っているから当然といえば当然です)。レジを見るとイギリス人っぽい(先生のイメージ)中年の女性がレジの店員さんに、なんたらupside down なんたら、と、一生懸命説明していました。店員さんがおろおろしていたので、雨も降ってきたのでビニール袋を二重にしてほしい。そして、中身が雨にぬれないように内側のビニール袋をさかさまにしてほしい、と言っていると思いますよ、と、伝えました。店員さんがその通りにするとその女性は、Thank you!と、笑顔で先生の方を見ました。そこまでは良かったのですが、先生に英語が通じると勘違いしたその女性が色々と英語で質問をしてきました。かろうじて聞き取れたのは、entranceという言葉だけ……。伊勢神宮全体の入口なのか、境内の入口なのか、おかげ横丁の……、先生はSorry.と笑うしかありませんでした(そもそもどこがどこかもよく分かっていませんでしたが)。ちなみに先生は、その後、台風に傘を壊されびしょ濡れになり、何とか乗りこんだ名鉄は立ち往生し、と色々ありましたが最終的には名鉄が用意した臨時バスでその日のうちに四日市にたどり着くことができました。

三度目はなんと校舎で生徒たちを送り出したあとのことです。坊主頭のフーリガンみたいなおしゃれな刺青の入った外国の方がビール片手に、Hotel?と、入ってきました。先生は、色々な意味で慌てて、No,hotel.(いいえ、ホテル).と、笑顔で答えました。そのフー、男の人は、笑顔でOh~.とかなんとか言いながら帰っていきました。本当によかったです。四……、先生の話はここまでにしておきます。

皆さんはこれからより英語に親しむことにより、先生のようなシチュエーションに陥ったときもきっと知性あふれる返答ができるようになると思います。また、先生の知り合いの中には外国で短期間ですが働いた経験があったり、ピラミッドの上の星空を見たいと突然エジプトに行ったり(ちなみにその人の彼氏は「ムーミンに会いに行く」と同時期に北欧へ旅だったそうです)、好きなサッカーチームを応援するため電車でヨーロッパをめぐって絡まれたり、グアムに行って調子に乗って怖い目にあい帰るまで一歩もホテルから出なかったり、という人たちもいます。自分のコミュニケーションの幅が広がると思って、できるだけ前向きに英語の学習をがんばってほしいと思います。

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みなさんは、日々学校や能開でテストを受けていると思いますが、みなさんにとって「テスト」とはどんなものですか?
自分の力を試せるからワクワクする人もいれば、点数が悪かったらどうしようと不安になる人もいるかもしれません。今日はその「テスト」についてお話をしたいと思います。

ちなみに、みなさんは人以外にも「テスト」があることを知っていますか?
実は皆さんの身の回りにあるもののほとんどが「テスト」を受けているんですね。

例えば、皆さんの家にもあるパソコン(ノートパソコン)です。パソコンはどんな状況でも正常に動くようにいろいろなテストを受けます。気温60度を超える暑さや、マイナス29度になる寒さに耐えられるかどうか、またいろんな向きで落としたり、衝撃を与えたりしても耐えられるかなどです。自分が同じようなことをテストされたらと思うとこわいですね(笑)

他の物だとフライパンもさまざまなテストを受けています。フライパンを使っていて困ることは、料理していて焦げ付いてしまうことです。その焦げ付きをしないように、フライパンを何万回もフライ返しで擦った後、焦げ付かないかテストをしたり、フライパンで牛乳を焦げるまで熱して、するっと剥がれるかをテストしたりとさまざまなテストを受けています。

なぜパソコンもフライパンもそのような「テスト」をしないといけないのでしょうか? それは使う人に「確実に安心して使える」モノを届けるためです。

パソコンであれば、家の中だけでなく、外で使う人もいますし、暑いところ・寒いところで使う人もいるでしょう。持ち運びしているときに落としたりすることもあると思います。フライパンであれば、毎日家族のために料理作る人は、美味しく作るために焦げ付かせないようにしたいでしょう。このように使う人に確実に安心して使ってもらうために、さまざまな「テスト」を行っているんですね。

それでは、みなさんが「テスト」を受けることはどういう意味があるのでしょうか?
先生は「自分の学習で身に付けたものが、確実に使えるようになっているか」確かめるものだと考えています。

みなさんはいつか入試という大事な「テスト」を受けていくことになります。そこでは、自分の力を頼りに突破する他はありません。そのためには、通常テストやEXオープン模試で日々「自分の学習で身に付けたものが確実に使える」かを確認し、出来ていなければそのたび復習していくという積み重ねが大事になってきます。その積み重ねが確かな「自信」へとつながっていきます。

みなさんも「確実に確かなもの(自信)」を得るために、1つ1つのテストを大事にしていきましょう!

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今日10月19日は、アメリカ海軍の提督、アーレイ・バーク海軍大将の誕生日です。アーレイ・バークは太平洋戦争時に大きな戦果を挙げる活躍をしました。「31ノット・バーク」という異名を得たことでも知られています。

さて、このバーク提督、日本に来る前は大の嫌日家として知られており、公式の場で日本のことを大嫌いだと公言することもたびたびありました。しかし、ある出会いをきっかけにして大の親日家に変わります。

GHQの高官として帝国ホテルに寝泊まりしたのですが、最初、日本人ボーイが荷物を持とうとすると、「触るな。おれに一切かかわるな。」とののしったくらいです。ある日、殺風景な自分の部屋に、多少なりともうるおいを与えようと、店で買ってきた花を一輪、コップにさしておいたことがありました。

夜、帰ると、それが小さな花瓶にさしてあったのです。バークは激怒し、すぐフロントに降りて行って、「勝手なことをするな。」と怒鳴り込みました。しかし、帝国ホテル側は、なにも指示を出していない、と言うばかり。

やがて、花瓶には、新しい花がさしてあるようになりました。またこれで怒ったバークは、ホテルに激しく抗議しました。「誰が、こんなことをしているのか、犯人を探し出せ」結局、それはバークの部屋を担当していた帝国ホテルの女性従業員であることが判明したのです。バークはこの日本人女性を呼び出し、厳しく問いただします。

「なぜ、こんな余計なことをした?」

「花がお好きだと思いましたので。」

彼女は、自分のわずかな給料から、ときどき花を買っては、バークの部屋に活けていたことがわかったのです。

バークは、一応納得し、それではその対価を自分は払わなければならないといって、金を押し付けました。しかし、彼女は頑として受け取らなかったのです。彼女いわく、宿泊客に、気持ちよく過ごしてもらいたいというだけのことだからお金はいらない、と。バークには、これがまったく理解できませんでした。いわゆるアメリカのチップという習慣くらいにしか理解できなかったのです。さらにバークは、彼女の身の上を聴いて驚きます。

彼女は戦争未亡人だったのである。夫は海軍の駆逐艦の艦長で、アークも参加した戦闘で戦死していました。バークは、さすがに心が揺れ、「それは申し訳ないことをした。わたしがご主人を殺したのかもしれない。」

しかしその女性は、はっきり言ったそうです。「あなたがなにもしなかったら、夫があなたを殺していたかもしれません。誰が悪いのでもありません。」バークは、深く考えさせられてしまいました。「自分が、心の底から日本人を憎んでいる一方で、この女性はその立場を超えて、自分をもてなしている。この違いは、一体何なのか?」

のちに、バークは述べています。「彼女の行動から、わたしは日本人の心意気と礼儀というものを知った。日本人の心には、自分の立場から離れ、公平に物事を見ることができる資質があるのだ。」この帝国ホテル滞在中、バークはさまざまな、日本人のその心意気に圧倒されていくことになりましたが、それはまた別の話。

いくつもの逸話を経て、バークは次第に日本人への憎しみが消えていき、むしろ、敬愛の念を抱き始めていったのです。バークは、一刻も早く米軍による日本の占領を解き、独立を回復させるよう、GHQとアメリカ政府に訴えたのです。

朝鮮戦争がはじまると日本海軍の再建も説き、1954年に海上自衛隊が設立されることになります。1961年、彼は海上自衛隊創設に力を尽くした功績で、日本から勲一等旭日大綬章(日本でもっとも価値の高い勲章)を贈られました。

1991年、バークは96歳で亡くなりました。各国から数多くの勲章を授与された人物でしたが、葬儀のときに、彼の胸につけられたのは日本の旭日大綬章ただ一つだけだったそうです。それは、バークの遺言だったのです。そのため、ワシントンの海軍博物館にあるバーク大将の展示コーナーには、日本からの勲章だけ、一つ抜けたままになっています。彼にとって、他のどの勲章より、日本で天皇から下賜された旭日大綬章が生涯の栄誉と思っていたようです。

先生は、このお話を最初に聞いた時、「相手を思いやる気持ち」がかたくなな心を溶かすことがあるのだな、と思いました。帝国ホテルの女性のように、ちょっとした心遣いを大事にしたいですね。