いよいよ受験シーズンが始まりました。受験生の多くが、「勉強のこと」や「進路のこと」でアレコレ悩んでいると思います。

「若者のライフスタイルに関するアンケート調査」というものがあり、それを見ると、20歳前後の男女を対象に「今、悩んでいることは何ですか。」という問いを投げかけたところ、「お金のこと」「今後の未来のこと」「仕事・就職のこと」「恋愛・結婚のこと」といった回答が上位を占めました。若者でなくても、「人間関係」「自分の性格」「将来への不安」…、数え挙げればキリがありませんが、古今東西、老若男女問わず、「悩み」というのは尽きないものです。

こんな逸話があります。時は1,200年初頭。坂東(今の関東地方)に若い貴公子がいました。
彼は若くして人の上に立つような高い位に就きましたが、諸々のままならぬ理不尽な環境に苦しみ、日々、孤独に思い悩んでいました。
そんなある日、偶然に、身なりがたいそうみすぼらしい、占いを生業とする老婆に遭遇しました。
彼女は初めて会ったそんな彼に対し、突然こう告げたのです。

『お前の悩みは、どんなものであっても、それはお前一人の悩みではない。はるか昔から、同じことで悩んできた者がいることを忘れるな。この先も、お前と同じことで悩む者がいることを忘れるな。お前一人ではないのだ、決して。』

それを聞いた彼は、取り巻く状況はまったく変わらないことがわかっていながらも、どこか吹っ切れたように、しっかりと前へ進んでいくことを決意しました。
悩み事は、先人も後に続く者も必ず抱える大きな荷物、そう、自分だけに降りかかるものではないのです。

勉強が辛くて、迷い悩んでいる受験生の皆さんには、そんなことを頭の片隅に置きながら、今できることをすべてやり切ってほしいと、切に願います。

「人事を尽くして天命を待つ」

1月も後半になり、各地で大雪のニュースが流れていますが、皆さんはお家でどのように勉強していますか。もしかして、こたつに入りながら勉強していないでしょうか。実はこたつで勉強することは、とても危険なことなのです。

よくこたつでうたた寝をすることがありますが、眠くなる理由があります。それは、室温が20度~30度でも、こたつの中が40度近い温度になることと、人間は頭より手足が温かい方がリラックスすることが関係しています。つまり気持ち良くなってしまうのですね。

でもそこで寝てしまうと、

  • 短い睡眠で生活のリズムが崩れる
  • 水分不足になる
  • 低温やけどをする
  • 体調を崩して風邪をひきやすい

というように、あまり良いことはありません。

ですから勉強する時はできるだけ自分の部屋で(机で)やるようにしましょう。どうしてもこたつでしなければならない場合は、

  • 時間を決めて集中して勉強する
  • 時々立ち上がって、こたつから離れるようにする

といった工夫が必要になります。

冬の寒さはこれからが本番です。勉強を工夫しながら、この冬を乗り切りましょう!

今年の干支は何でしょうか?
そう聞かれると大半の人は「卯年です」と答えるのではないでしょうか。
しかし、その答えは、半分正解、半分不正解です。
そうです。正解は癸卯です。
はつ?何?と読み方から分からない人の方が多いと思いますが、
“みずのと・う”です。

干支というのは、十干(じっかん)と十二支の組み合わせ、十干十二支を略した言葉です。
あまり聞きなじみがないと思いますが、十干は、中国の古代思想から考えられたもので、甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)という10個の要素で構成されています。
日本独自の読み方では、きのえ、きのと、ひのえ、ひのと、つちのえ、つちのと、かのえ、かのと、みずのえ、みずのと、となります。えは兄、とは弟ですね。
十干が10通り、十二支が12通りあるのでその組み合わせは60通りです。算数で習う最小公倍数の考え方ですね。
60通りですので一巡りに60年かかります。そう聞いて、あっ、と思った鋭い人もいるかもしれませんが、60歳で還暦のお祝いをしますね。
この還暦というのはこの干支がもとになっている考え方です。
生まれた年に還るから還暦なのですね。

また、甲子園や戊辰戦争、辛亥革命などの言葉もここからきています。
名前が、いつできたのか、いつの出来事なのかを表しているのです。
ちなみに陰陽五行説では、癸は水、卯は木を表し、水生木の年となり、癸卯の年は、これまでの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍するような年になると考えられているそうです。
干支に少しでも興味を持った人はぜひ自分の干支も調べてみてください。

2023年が、癸卯が示すような、皆にとっての飛躍の年になればと思います。
しかし、願うばかりでは飛躍の年になるかはわかりません。
癸卯が、本当に皆にとって飛躍の年になるように、待つのではなく、目標を立て、必要なことに一つひとつ取り組んでいきましょう!
2023年が皆にとって飛躍の年になりますように!

寒い季節になりました。この冬、皆さんの街に雪は降りましたか?

皆さんにとって、雪ってどんなものでしょうか。
雪合戦ができる、かまくらが作れる、なんてわくわくするでしょうか。
寒いのが苦手、すべって危険だから外にも出られなくていやだなあと思う人もいるでしょう。
ここで「雪」にまつわる言葉について3つ紹介します。

~ 風花を待つべく青空のととのう ~
今回の冬期講習会のポスターにもなっている、夏井いつき先生の俳句です。
この風花(かざはな)という言葉をはじめ、六華(りっか・ろっか)・銀花(ぎんか)・寒花(かんか)・瑞花(ずいか)など、「雪」は「花」に例えられることが多いのです。
「雪月花」という言葉があるように、美しい自然の風情(ふぜい)を感じるのは、昔から日本人独特の感じ方なのではないでしょうか。

~ 蛍の光 窓の雪 ふみよむ月日 重ねつつ ~
卒業式などでよく歌われる「蛍の光」の歌詞ですが、「蛍雪の功」という故事成語がもとになっています。
昔中国に、車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)という二人の青年がいました。
夜に本を読むための灯火の油さえ買うことができないほど貧しかったのですが、車胤は夏の夜に蛍を数十匹つかまえて、その光で本を読んで勉強し、孫康は冬の夜に窓辺に雪を積み上げて、その明かりで勉強し続け、のちに二人とも立身出世したということです。
「雪」は「努力」の象徴と言えるのです。

~ 雪の深さに 埋もれて耐えて 麦は芽を出す 春を待つ ~
美空ひばり「人生一路」の歌詞の一節です(作詞:石本美由起)。秋にまいた麦が厳しい冬を乗り越えるのは大変なことです。「雪」は大自然の「厳しさ」の象徴です。
その雪に負けない強く育つ麦にするために、農家の人々は一度わざと麦を踏みつけます。この「麦踏み」を行った麦は、雪に負けない力「耐寒性」を身につけ、春には大きく実るのです。

皆さんはこの冬休み・講習会の期間にたくさんの厳しさを乗り越えるために、多くの努力をしてきたことでしょう。
それは必ず皆さんの力になります。春には素晴らしい成果が花開くことを、先生たちは祈っています。

11月末から、サッカーのワールドカップがはじまり、日本代表の快進撃もあって、かなり盛り上がっていましたね。
これが掲載される頃には、優勝国も決まっているでしょう。

昨年はオリンピック、今年はサッカーのワールドカップと、世界規模のスポーツイベントが開催されました。
そして、来年の夏には、フィリピンをメイン会場にして、インドネシア、日本(沖縄)との共催で、バスケットボールのワールドカップが実施されます。
小・中・高とバスケットボールにはまっていた先生としては、楽しみでしかたありません。

皆さんは、どんなスポーツが好きですか?

野球?サッカー?テニス?卓球?いろんなスポーツがありますが、好きになると実際にプレーし、憧れの選手が出てきたりして、「その人みたいになりたい!」と思う人も多いのではないでしょうか。

先生にも、当然のように憧れのスター選手がいました。
その当時、「バスケットボールの神様」と言われたマイケル・ジョーダンというスーパースターがいて、バスケをやっているほとんどの選手がお手本にしていました。
しかし、その当時チビだった先生は(小6で142CM、中3で155CM)、別の選手が大好きで、そのプレーを必死にマネしていました。

その選手は、マグジー・ボーグス(本名:タイロン・カーティス・ボーグス)という選手です。バスケットは身長が高いと有利なスポーツです。
NBA(アメリカのプロバスケットリーグ)の平均身長は190CMくらいなのに対し、この選手は160CMしかありません。
しかも、「シューズを履いて」です。NBA史上最も小さい選手です。

はじめチームは、話題づくりのために彼を入団させたのですが、あっという間にチームの中心選手となり、14年間レギュラーで活躍していました。
何よりすごいのが、その身長で213CMもある選手のシュートをブロックするわ、ダンクシュート(ボールをゴールに直接叩き込む)はするわで、身長差を感じさせないプレーをしていたのです。

この身長ですから、周りからは「やれるわけがない。無理に決まっている。」と言われていました。
初期のころは、インタビューもヒドイもので、身長をバカにするようなことも言われていました。
しかし、彼はこう返したのです。「別に。小さければ、高く飛べばいい。」と。
そしてこうも言っています。
「小さいことをああだこうだ言っても、ルールが変わるわけじゃないし、急に身長が伸びるわけでもない。だったら、それを凌駕するよう練習すればいいだけさ。」と。
チビだった先生は、その言葉を真に受けて、必死に練習したものです。おかげでチームメイトにも恵まれ、全国大会も経験できました。

皆さんはどうですか?
変えようもない事に文句を言い、努力する手を止めてはいませんか?
自分の力で「周り」を変える事は非常に難しい。
でも、自分の力で「自分」を変えることはいく分簡単です。
もうすぐ冬休み。講習会も始まります。自分のできることを、四の五の言わずに、最大限やってみましょう!

そうすれば、2022年をいい形で締めくくれますし、2023年を最高のスタートがきれて、いろんなことにチャレンジできるようになっているハズです!

中学入試が始まりました。早朝とはいえまだあたたかい(?)日でもあり試験会場の入場も予定の5分まえでした(寒いときはもっと早めの入場もありました)。

6年生の緊張した顔、はずかしそうな顔、友達をみつけてほっとした顔、うつむいた顔、様々な顔、顔。毎年のことながらどの顔も実は魅力的で、全員応援したくなります。
(もちろん一番応援は能開生ですが…)

教室に送り出したあとも立ち去らず、じっと入り口を見つめる保護者の方も何人かあります。校舎の中の我が子が見えているみたいです。

私も、「自分のベストの答案を作ってこよう。」「100点はいらない、6割~7割を目指して頑張ろう」。
うなずく生徒をおくりだします。

どの生徒も(あたりまえのことなんでしょうが)振り返りません。
まっすぐ試験場へ進んでいきます。その後ろ姿に明らかに成長した彼らが見えます。
うれしくなります。
少し寂しい気もしますが。
受験生諸君、おそれずまっすぐに志望校に向かっていってください。

ちなみに、初めて試験場へ行った受験生の感想に多いのが…
『頭のよさそうな人ばかりだ…』です。

でも大丈夫。 君も周りからそう見られています。
全力で戦ってきてください。

みなさんは今までで「もうあかん、ダメだ」と思ったことは何かありますか?
人生経験がまだ少ないので思い当たることはないかもしれません。
中には「私の辞書にあきらめるという文字はない」という人もいるかもしれませんね。

先生にはそんな経験が3つあります。今回はそのうちの1つ、「大学時代のテニスの試合」についてお話しましょう。
 
大学4年、最後の九州インカレ(九州地方の全大学の大会)が宮崎大学で行われました。
試合会場までは友達のカローラ(トヨタ車)で向かいました。当時はほとんど整備されていない国道
(片側1車線でギリギリ対向車とすれ違えるほどの道幅で、左側は崖で落ちたら明日の朝刊に載るというレベル…)
を軽やかに走り抜け、「数時間」かけて会場入り。試合前からとてもハラハラしました(笑)。

大学最後の試合ということもあり、先生を含む出場選手6人は気合い十分!
ドテラ(ちゃんちゃんこみたいなヤツ)着て目立とうぜ!ってな感じで試合に臨みました。
ただ目立つだけではなく、もちろん試合には勝つつもりです!目指すは「打倒、F大!」

大学の試合には、高校までにない殲滅戦(せんめつせん)というものがあります。
分かりやすく言うと「ダブルス3チームによるサバイバルマッチ」で、自分のチームが全員負けるまで
試合が行われる形式です。1チームでも強いチームがあると、相手の1番手・2番手・3番手、全てに勝つことが可能です。

試合は、コートを2面使って同時進行で行われます。
こちらの1番手が相手の2番手と試合をしている横で、先生たち3番手と相手の1番手が試合です。

相手はにっくきライバルのF大の1番手。先生たちと比べると、レベルは格上。
ゲームカウント 0-3(1ゲーム4点先取)、さらにボールカウント 0-3。
あと1点取られると、はい試合終了という状況。どうあがいても、レベルも流れも明らかにF大。

そこで先生は、前衛の竹田君と最終確認。
「となりではうちが勝っている状況だから、何とか相手を少しでも疲れさせよう。」⇒遅いけどね(笑)
 
1つの失点も許されない大舞台で、開き直ったこともあって、1点を取りました。
しかし1点とっても、ゲームカウントは0-3・ボールカウントは1-3になっただけ。
が、しかし、But!そこからさらにポイントを重ねボールカウントを3-3にします。
とりあえず相手のマッチポイントを一旦回避した形に。
ところが、さらに連続ポイントを取りそのゲーム奪取。ゲームカウントを1-3としました。
その先は…あれよ、あれよという間にゲームカウント3-3のファイナルゲームまで行き…

結果は、ゲームカウント0-3からの「4-3」で超絶大逆転勝利!

思えば相手は「もう決まった」という過信・慢心があったのではないかと思います。
相手のF大の1番手は、きっと心の中で「あと1点取って試合は終了する、よし次は隣のコートの1番手とだ…」
なんて具合に意識が次に向かっていた…かどうかはわかりませんが、結果から見ればそうとられても仕方がないでしょう。
まさか、その後に逆転負けが待っているとは、微塵も思わなかったでしょうね。

みなさんも前回のオープン模試のような様々なテストで、A判定だ!B判定だ!と、
気を抜いてはいませんか? 逆に判定がよくなかったからと落ち込んでいませんか?
そのテストは過去のもの。過去を振り返らず、今から入試当日までできることだけを考えて、
全力でやり切って、本番当日に「自己ベストのパフォーマンスを出す」ことを考えることをオススメしますよ!

追伸
宿舎に帰ってからは、4年から1年までの全員から大絶賛!
人生初のヒーローになった瞬間でした!

11月28日、秋があっという間に過ぎてしまい、冬が近づいています。春夏秋冬、四季を更に細かく分けた二十四節気(にじゅうしせっき)では「小雪(しょうせつ)」と呼ばれる時期です。
北風も強さを増します。この季節によくあるトラブル……皆さん、もし風邪をひいたら何をしますか?

「病院で診てもらう」
「薬を飲む」
「たくさん水分をとる」
「消化にいいものを食べる」

…迷信ではありますが、「ネギを頭に巻く」なんて答える人もいるかもしれませんね。

私が幼稚園児の時の出来事です。
風邪をひいて高熱を出したある日、母から白い粉の入ったオブラートを渡されました。
「苦い薬だから、水をたくさん飲んでね。」
「この薬を飲むと風邪が治るんだ」
とわからせるために、母からいつもよりもゆっくりとした声で伝えられたことを覚えています。

薬を飲み、水分を摂って、暖かい恰好で眠った翌日には、私はすっかり体調が良くなっていました。
その後も熱が出た時は、市販薬だったり、不思議なオブラートだったりしましたが、小学生になる頃にはもう「苦い薬」を飲むことはありませんでした。

中学生になって風邪をひいたある日、ふとこのことを思い出しました。
母親に「小さい頃に飲んだオブラートの薬って何だったの?」と聞いたところ、母から「あれ?ただの砂糖だよ」と言われたのです。
あっけに取られた私は、「プラシーボ効果」という思い込む力の強さを知りました。

プラシーボ効果とは「本来は効果を持たないものを服用させ『薬だと思い込ませる』ことで効き目を確かめる」ことです。
「偽薬効果」とも言います。
幼稚園児だった私は「薬を飲んだから風邪は治る」と信じることで、自分の体調を治したのです。
実際に市販薬を作る時には効き目があるか確かめるために「新しい薬と見た目はそっくりだが、効き目成分がない偽の薬」を使い、効果を確かめる「二重盲検法」が義務づけられているのです。
単なる眉唾、というわけではなさそうですね。

「思い込む力」はバカにできません。
勉強で「努力が点数に結びつかない」こともあるでしょう。
個人差も、科目の違いもありますが、「自分はダメなヤツなんじゃないか」と思い込んでしまうこともあります。
でも努力を続けて効き目が出れば「努力したから難しい問題が解けた」「自分はできる!」と思い込むことができます。

皆さんには、「自分はできる!」と自分を励まし、奮い立たせる「思い込み」をしてほしいです。
ノートの作り方であれば、「大切な場所に印をつける」「よく出来る子の勉強法を聞いて」真似をすることも大事です。
能開の勉強の仕方やatama+の学習の仕方を身につけた人なら、「見本になるノートを作る」「誰かの勉強の目標になる」…周りから真似をされるリーダーになってください。
そして教室だけでなく、たくさんの人を巻き込めたら最高ですね!

どんなことも「できるようになる」きっかけが大切です。
冬期講習会が、体験生を含めて教室全体が「できるようになった!」努力と自信を身につけるきっかけになってほしいです。
できるぞ、とワクワク奮い立つ「みんなの心が熱くなる冬」を過ごせたら…と楽しみにしています。
体調にも気を付けて、この冬を愉しんでいきましょう!

中学1年生の歴史の授業で最初に出会う「世界四大文明」の中の1つに、現在のイラク、シリア、トルコにまたがって発展した「メソポタミア文明」があります。
私たちは普段「1時間=60分」のように60を1単位とする「60進法」を用いていますが、これはメソポタミア文明で発明されたものです。

このメソポタミア文明に伝わる神話の中に、『ギルガメシュ神話』というものがあります(ギルガメシュというのは古代メソポタミアの王の名前です。)。
今回は皆さんに『ギルガメシュ神話』の中の一部を紹介します。

ギルガメシュが王に即位して最初に行ったことは、“森の怪物”フンババとの対決です。
ただ、「怪物」というのはあくまでギルガメシュ側の見方であり、本来のフンババは樹齢数千年を誇る杉が繁い茂る森林を長年守り続けてきた“森の王”でした。
ギルガメシュとフンババの闘いの最後の様子が次のように記されています。

ギルガメシュは手に斧を取り一本の杉を切り倒すと、…(中略)…森の王フンババが叫ぶ。
「いったいだれがやって来たのだ!いったいだれが私の山にはえた杉の木を切り倒したのだ!」
フンババの眼から滝のような涙がこぼれ落ちた。
ギルガメシュは天の神シャマシュに祈った。シャマシュはギルガメシュの祈りを聞きとどけ、大いなる風をフンババに送った。
フンババは前にも後ろにも進むことはできなかった。
フンババはついにギルガメシュにこう言った。
「私はここを去ろう。ギルガメシュよ、わが主となれ。私はそなたの家来になろう。私が育てた杉を切り倒し家を建ててはどうか。」
ギルガメシュは迷った。
どこからか声がした。
「フンババを殺せ。生かしてはならぬ。」
その声は友のエンキドゥだった。
ギルガメシュはフンババの首筋に斧を振り下ろした。
次にエンキドゥが、二度斧を向けた。
杉の大樹の悲鳴が二度聞こえた。
こうして森の王フンババは打ち倒された。
辺りを静寂が支配した。
※出典 矢島文夫訳「ギルガメシュ叙事詩」(ちくま文庫 1998年刊)

歴史のプロセスの中で人間は大自然に立ち向かい、未開の山野を切り拓き、都市を建設してきました。
そのおかげで、今、私たちは豊かな暮らしを送ることができます。
しかし、地球の視点から見れば、文明の始まりは破壊の始まりでしかなかったのでは?
フンババを殺す必要はあったのか??
人間ってそもそも何者???
そんなことを考え出すと、少し寂しい気持ちにもなってきます。

世界中で戦争、自然災害、感染症の拡大が絶えません。
私は最近、このまま行くと地球はなくなるのではないかと、本気で考えるようになりました。
きっと、私たちの身の回りにはフンババのようなかけがえのない存在がまだまだたくさんあるはずです。
そうしたものに一つでも多く気づき、大切にしていかなければなりません。
そのためにも、地球上で世界が抱えている課題を皆さんと一緒に学び、自分にでもできる具体的なアクションを起こしていきたいと思います。

朝晩は肌寒くなり、冬への移り変わりを感じる季節となりました。朝の寒さを感じたと思ったら、昼になるといつの間にか心地よい気温になっていることに気が付きます。秋の季語に「小春日和」という言葉があります。辞書で調べると、『11月から12月にかけての,よくはれた春のような感じがする,あたたかいひより。』とあります。春先のことだと勘違いをしている人が多い言葉でもありますね。

明治期の作家、島崎藤村が『秋から冬に成る頃の小春日和は,この地方での最も忘れ難い,最も心地の好い時の一つである。』と随筆の中で書いています。ただ「寒いなぁ」とか「暑いなぁ」とか日頃から簡単に言ってしまっていますが、この変化を感じることができる人は、いろんなことを楽しめる人だと思います。

皆さんは季節の変化を感じて、この学年で達成したい自分の目標に向けて努力しているところだと思います。特に受験生は、入試本番に向かっていきます。受験生は、目の前の一問一問に全力をかけて、秋のあたたかさを感じる余裕がないかもしれません。ふと窓の外を見ると紅葉している木々があり、夕方になるとコートを着ている人がいます。

あっという間に冬になる季節、気温の変化に体調を崩さず、変化を楽しみながら、入試までの限られた期間を計画的に学習していきましょう。