わたしたちの脳の中には「自己報酬神経群」という、「自分へのごほうび」をモチベーションにしてはたらいている部位があります。この部位が活性化すると集中力が高まり、この部位の機能が低下すると集中力が低下し、それに伴って運動機能も低下してしまいます。
この部位はごほうびがもらえたという「結果」によって活性化するのではなく、ごほうびがもらえそうだという「期待」によって活性化します。つまり、脳が「ゴール間近だ!」「もうすぐ目標達成だ!」と判断したとたんに機能が低下し、集中力が低下してしまうということです。

みんなの中にも1つ何かが終わると、次に取り掛かるまで時間がかかってしまうという人はいませんか?

こういう状況を防ぎ、集中力を長持ちさせるのはどうしたらよいと思いますか?

それは、この仕組みを逆に利用するのです。
本来の目標としている地点よりも遠くにゴールを設定します。
すると、実際のゴールの手前で脳のパフォーマンスが落ちることがなくなります。
この仕組みを実際に活用したのが、北京オリンピックで金メダルを獲得した北島選手です。
彼の場合はプールの壁をゴールと思うのではなく、壁にタッチしたあと振り向いて電光掲示板を見た瞬間をゴールだと考える訓練を重ねたそうです。世界記録を塗り替えた影には、脳化学のサポートがあったのです。

さて、みんなの目標って何でしょうか?
定期テストで良い点を取ることですか?
志望校に合格することですか?
将来の夢を叶えることですか?

どんな目標でも構いませんが、そこがゴールだと考えてしまうとその直前でペースが落ちてしまうことでしょう。それは脳の機能なのでどうしようもありません。

そのゴールの先に新しい目標を立てましょう。
先生はみんなに目の前のことだけに囚われず、先を見据え、高い目標を立てられるようになって欲しいと思います。