先生は落語が好きです。話がたくさんあり、また、落語家によって得意としている持ちネタが違います。ネタという言葉は、お鮨でも使います。「たね(種)」が正しいのですが、逆さにして洒落(しゃれ)た言葉です。じゃあ、洒落の語源は・・・なんて、つなげて調べていくと楽しいです。あっそうそう、洒落の「洒」は「酉」ではなく「西」です。
語源を調べていくと、ことわざ、四字熟語などは中国の昔の話に由来しているものが多く、今度は中国の歴史や登場人物に思いをはせ、三国志が、孔子が・・とか、調べていきます。
当然、日本に由来したものも多いです。例えば「日本刀」。実は、先生はこれまた大好きです。何本か持っています。あっと、数え方を間違えました。刀は、「ほん」ではなく、「ふり」です。芥川龍之介は「振り」と泉鏡花は「口」と書きました。美術館・博物館に行くと「口」で書かれています。でも、読み方は「ふり」です。
数口のうちの1口は山城守藤原国清が作った刀です。日本刀は銘が彫られているものが多く、作者や一派がわかります。例えば、「左(さ)」と彫られていていれば左文字という一派が作った刀です。左のなかで有名なものは、桶狭間の戦いのときに今川義元が所持していた刀があります。義元は負け、織田信長が戦利品として持つことになりました。そして「永禄三年五月十九日義元討捕刻彼所持刀」「織田尾張守信長」と銘を加えました。そして、本能寺の変の後、豊臣秀吉、徳川家康と渡っていきました。まさに、歴史の証人です。先生の持っている国清の刀は、朝廷から山城守をいただき、刀に菊の紋章を入れることを許された人が作ったものです。菊で有名な刀となると新撰組の沖田総司の菊一文字です。しかし、実際は一文字派に菊を入れたものは確認されておらず、あったとしても、その当時もかなり高値で買えません。この話は、『司馬遼太郎』の『新選組血風録』から広まった話で、沖田総司は国清を所持していたというのが通説です。
話がそれました。好きな話をしていると止まりませんね。
刀をもとにしている言葉では、
「元の鞘(さや)におさまる」
鞘は刀にあわせて作ります。ちがう鞘では合いません。
「反りが合わない」
鞘と刀の反りがあわず入らないことです。
「焼きがまわる」
刀に焼入れをする際に失敗し、切れない刀になることです。
「付け焼き刃」
切れない刀に鋼の刃を付け足した、間に合わせの刃のことです。
「鎬(しのぎ)をけずる」
刀は、刃で刃を受けそうですが、本来は「しのぎ」で受けます。そうしないと、すぐに刃がかけます。
「切羽つまる」
切羽とは、柄と鞘に添える板金。つまると、刀が抜けなくなります。
「土壇場」
これは、刀ではありませんが、戦国の世、罪人などを 処刑する場所のこと。
「相槌(あいづち)をうつ」
鍛錬で師匠の打つ槌に合わせて弟子が槌を入れることです。
・・・ほかにもたくさんあります。
じゃぁ、刀はどうやって作るのかなと調べていくと、これは、理科の世界です。鉄にもいろいろな種類があり、火の入れ方、冷まし方で、違う性質をもったものが出来て・・・むずかしくなってきましたね。しかし、調べている人にとっては、おもしろくてしかたがないのです。
まずは自分で調べてみてください。知力というパワーがつきます。そして興味を持ってください。パワーが2倍になります。さらに、好きになってください。パワーが3倍になります。つなげて調べられるようになればパワー10倍です。嫌いだ、苦手だと決めて避けているのは自分です。わからなければ調べてみることから始めましょう。そうすると、新しい世界が広がってきますよ。知るということは楽しいことなのです。
そうそう、先生、最初に落語の話を少ししました。落語の世界では、本題入る始めの話を「まくら」といいます。なぜ、「まくら」と言うのかというと・・・・・・。
そうですね。う~ん。もっと話したいですが、ここらで朝礼を終わっておきましょう。
眠くなるといけませんから。