みなさんは「当たり前」って何だと思いますか?
家での習慣や、学校でのルール、周りの人たちがみんなやっていること……。
でも、それって本当に当たり前なのでしょうか?

私は子どものころ、父の転勤でいくつかの地域に住みました。広島、岡山、愛知……。
そして、大人になってからも神奈川、東京、兵庫と引っ越しを重ね、いろいろな場所で暮らしました。

そこで気づいたのは、「当たり前」は場所によって違うということです。

たとえば、エスカレーターに乗るとき、多くの地域では左側に立ちますが、関西などでは右側に立つ地域もあります。
旅行などで違う場所に行くと、ちょっと戸惑うことがあるかもしれません。

また、食べ物の違いも面白いです。
うどんのつゆは、関ヶ原付近を境に、西側は薄口醤油に昆布だし、東側は濃口醤油にかつおだしを使うことが多いそうです。
そして、うどんはうどんでも「焼きうどん」にも違いがありました。
広島や岡山に住んでいた頃、焼きうどんはソース味が普通だと思っていましたが、名古屋で食べたとき、醤油味に驚いたことを今でも覚えています。

こうした地域ごとの食文化の違いを体験すると、普段何気なく食べているものも、改めて特別なものに感じられます。

それは、日本と世界を比べても同じことが言えます。
たとえば、日本では生卵をご飯にかけて食べることはごく普通のことですが、海外ではほとんどの国で生卵をそのまま食べることはないそうです。
海外の人に「生卵をそのまま食べる」と話すと、とても驚かれるとのこと。
逆に考えると、日本の卵がとても安全で新鮮だからこそできる食文化なのですね。

このように、日本の中でも、そして世界を見ても「当たり前」はそれぞれ違います。
こうした文化の違いに触れると、実は正解なんてないんだということに気付かされます。
その土地、その文化で「良し」とされていることがあるだけ。
それを大切にすることが大事なのです。

もし、自分が周りと違う考えや習慣を持っていたとしても、それは「間違い」ではありません。
他の人の文化を尊重しつつ、自分の感覚も大切にし、新しい発見を楽しんでいけたら素敵ですね。