今年も「今年の干支は何でしょう」と問いかけると、「巳(へび)年です」という元気な声が返ってきました。
しかし、一部の生徒は「あっ」と気付いて考え始めました。
毎年、話すと覚えていてくれるものですね。
「乙巳(おつへび)!」惜しい(笑)、乙巳(きのとみ)です。
干支というのは、十干(じっかん)と十二支の組み合わせ、十干十二支を略した言葉です。
あまり聞きなじみがないと思いますが、十干は、中国の古代思想から考えられたもので、甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)という10個の要素で構成されています。
日本独自の読み方では、きのえ、きのと、ひのえ、ひのと、つちのえ、つちのと、かのえ、かのと、みずのえ、みずのと、となります。
木、火、土、金、水は五行思想、えは兄、とは弟からきています。
十干が10通り、十二支が12通りあるのでその組み合わせは60通りです。
算数で習う最小公倍数の考え方ですね。
60通りですので一巡りに60年かかります。
60歳で還暦のお祝いをしますが、この還暦というのは干支がもとになっている考え方です。
生まれた年に還るから還暦なのですね。
歴史で習う“乙巳の変”の乙巳もここから来ています。
“乙巳の変”は“大化の改新”ともいわれますね。
蹴鞠(けまり)で親しくなった“中大兄皇子”と“中臣鎌足”が、談山(かたらいやま)で密談して、蘇我宗家を討ったあれですね。
ちなみに密談場所の談山のふもとにある談山(たんざん)神社には藤原鎌足が祀られています。
世界唯一の木造十三重の塔は一見の価値ありですよ。
そして、談山の奥にある御破裂山(ごはれつざん)には鎌足公の墓所といわれる場所があります。
墓所があるという以上に、名前のインパクトがすごい山ですが、「天下に異変が生じる時、御破裂山が鳴動して知らせる」、という何かの映画に出てきそうな言い伝えがあり、少なくともこれまでに53回、鳴動したそうです。
やばいですね。
さてその十二支の巳ですが、競争では辰(たつ)と同着の5番でしたが辰にゆずって6番になったそうです。
あのにょろにょろ進む巳が、空を飛ぶ辰と同着とはすごいですね。
それに地面をはって午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(いのしし)に勝ったというのもすごいですよね。
ちなみに負けた動物たちにはそれぞれ理由があるそうです。
順に挙げると、午は道草をくっていた。
未は迷子になっていた。
申と戌は喧嘩をしていた。
酉はその喧嘩の仲裁をしていた。
亥は誰よりも早かったが、違う場所についていた。
といった感じです。
巳がこつこつがんばっていたら、ライバルたちがかってに負けてくれたといったところでしょうか。
なんだか考えさせられますね。