3月11日に発生した東日本大震災から3ヶ月が過ぎました。今回の震災により被災された皆様には心からお見舞い申し上げます。
また、このたび『復興の種』では、全国の皆さんから温かいメッセージと多くの支援をいただきました。ありがとうございました。
少しずつ復興の足音は聞こえてきましたが、元の状態に戻るには、まだまだ長い時間がかかります。今後も復興に向けて皆で協力していかねばなりませんし、今回の震災から皆さんには多くのことを学んで欲しいと思います。

今回の震災から一つ皆さんに紹介したい記事があります。

ある新聞記者の方が、宮城県石巻市のある小学校を取材していたときのことです。この小学校は校舎1階が津波にのまれながら避難所となっており、ある日、男性タレントや女性歌手が慰問に訪れました。「本物だ!」とサインをもらおうとした子どもたちは、案内役の人に「時間が限られているのでできない」と拒まれました。
一人の女の子はがっかりした表情を見せたそうですが、恥ずかしそうに「サインして」とその記者の方に近づいてきました。「有名人じゃない」と説明しても「いいの、集めるのが好きだから」と、真新しいドラえもんの表紙のノートを差し出しました。きっと支援物資でもらったのでしょう。パラパラめくってみると、どのページも真っ白でした。記者の方は恥ずかしそうに1ページ目にサインされたそうです。「大事にする。」顔を赤らめながら少女は言いました。

「いいもの、見せてあげる。」別の日、校庭で4年生になる別の女の子は、和紙でできた花柄の小箱から金色の2つのピンバッジを取り出しました。
「アメリカの人が私と弟と友達にくれたの。『日本中で3人しか持っていないから自慢できるよ』って。」行方不明になられた方の捜索やがれき撤去のために学校周辺に来ていたアメリカ軍の一人から帰り際に贈られたそうです。
「弟のも持ち歩いているの。ずっとなくさないようにね。」がれきから見つけたという小箱に、大事そうにバッジをしまいました。

「地震でたくさんのものを失いました。大切な人、おうち、思い出の品。でも相手を思いやる優しい心、大切な気持ちはなくなりません。」

つらいときにお互いで支えあう優しい気持ち。
その気持ちを最近感じた人もいるでしょう。しかし、まだその温かい気持ちをよく分からない人でも必ずそのありがたさを実感できる日がきっと来るはずです。
ぜひ、この夏は合宿や講習会を通して多くの人と交流を深めるなかで、お互いに支えあう心を学んでください。