このタイトルでピンときた人もいるかもしれません。カーリングのお話です。2月14日に北海道で行われたカーリング日本選手権の女子決勝戦での出来事です。前回優勝のロコ・ソラーレは、この戦いに勝てば北京オリンピック代表が決まる試合でした。一方、相手の北海道銀行にとっても負けられない戦いで、ロコ・ソラーレに勝って代表決定戦に持ち込みたい大事な試合でした。
その試合の中で珍しい場面がありました。北海道銀行の選手が絶妙な位置にストーンを放ちました。これで「試合が有利に!」と思ったのですが、北海道銀行の別の選手が「自分のブラシがストーンに当たってしまった」と申し出たのです。ブラシがストーンに当たれば失格です。申告の結果、そのストーンは無効になりました。
カーリングには、審判と呼ばれる人はいません。時間や距離を測る競技委員はいますが、ルールに触れる問題が起こった時は、選手同士が話し合って決めることになっています。フェアプレイの精神が大切にされるのです。フェアでないプレーで勝つくらいなら、むしろ負ける方を選ぶのがカーリングの精神です。この場面は、カーリングのスポーツマンシップを象徴するプレーでした。
スポーツとは、何のためにあるのでしょうか。相手に勝利することはもちろんですが、自分が努力してきた成果を確かめるためにあるのです。だからこそ、同じように努力してきた相手にも敬意を表します。柔道や剣道できちんと相手に挨拶することや、ラグビーで試合終了後にノーサイドで相手を讃えることも同じ精神でしょう。
正々堂々と戦うことは、皆さんの勉強にも通じると思います。一生懸命に勉強してきた結果を、毎回のテストで確かめるのです。テストで高得点を取ることが目的ではありません。それは結果です。どれだけ勉強して、どれだけ理解できたかが大切なのです。だからこそ皆さんには、たくさん宿題が出たり難しい問題があったとしても、逃げたりあきらめたりせずに勉強に取り組み、胸を張って教室に来て欲しいと思います。
さて、先のカーリングの試合の結果はどうなったでしょうか? ストーンが無効になった北海道銀行チームが奮起して、最終エンドでロコ・ソラーレに逆転勝利したそうです。北京オリンピック代表が決まる日本代表決定戦は、5月下旬から6月上旬に、両者が再び対決して行われます。