先生はみなさんに英語を教える機会が多いのですが、先生は学生時分英語が苦手でした。今でも鮮明に覚えているのが、高校1年生終わりの頃だったかな、もうすぐ2年生になるくらいの英語の授業の一場面です。先生の英語の先生だったY先生は、バンバン生徒に答えさせるタイプの先生でした。こういうタイプの先生皆さんの周りにもいますよね。
その時の質問は「tallの比較級を答えなさい」でした。
当時の先生の頭の中は「??」。「tallって何?確か高いって意味かな」「比較級?…」という状態でした。比較級は中学2年生で習う単元なので、Y先生も気を使って質問された内容だったのではと後から気付きました。
なぜ、tallの比較級が分からなかったのか。答えは簡単で、勉強してなかったのですね。苦手意識があって、他の科目の勉強には取り組んでも英語は後回しの後回しで結局勉強しない状態でした。高校受験の時に頑張って勉強した英語も勉強しないから分からない。分からないからさらに勉強しないというベタな負のスパイラルにはまっていました。
でも、そんな「自分日本人なんで、英語分からなくて当然」というこれまたベタな納得の仕方をしていた先生もはりきって英語を勉強する時がきます。それは、ある人との出会いでした。
「tallの比較級分からない事件」が起きて少し経ってから、先生は学校が終わると友だち数人とゲームセンターへ足しげく通っていました。ゲームセンターには通っていましたが、アーケードゲームをしていた訳ではありません。先生が当時通っていたゲームセンターは少し変わっていて、ディーラーみたいな人がいて、トランプゲームを楽しめるコーナーが設けてあったのです。ディーラーとはトランプゲームを進行する人のことです。そしてそのディーラーがアメリカ人の大学生キャシー(仮名)だったのです。トランプゲームが大好きというより、先生はキャシーと友達になりたかったのですが大きな問題がありました。キャシーは日本語が、先生は英語が話せなかったのです。会話はボーリングのボールを地面に落とした時よりも弾みませんでした。
当時を振り返るとこんな感じだったのでないかと思います。
キャシー「ハロー」
先生 「ハ、ハ、ハロー…」
キャシー「…ハウアーユー?」
先生 「???」
キャシー「…」
また、キャシー(仮名)は先生と仲間たちに学生証を見せてくれました。初めて見る大学生の学生証。かっこいいカードでした。先生たちが常に携帯していたメモ帳みたいな学生手帳とは全然違います。純粋に「かっこいい~」と思い、そして「全部英語で書いてあるから全然読めな~い」状態でした。先生は思いました。英語を勉強しよう。英語が聞けて、話せて、読めるようになりたいと思いました。それが出来るようになればキャシーと話が出来るようになると勝手に思い込んでいた若かりし日の先生がいました。
そこから先生の英語の勉強が始まりました。「聞く、話す、読む、書く」という4技能の勉強が始まったのです。この勉強が後の大学受験の勉強になっていくのですが、それはまだ後の話です。
あれだけ嫌だった英語の勉強をはりきってする日が来るなんて、高校1年生の頃は考えてもいませんでしたが、何がきっかけになるか本当に分からないです。今、皆さんに英語を教えることができるのはキャシー(仮名)のおかげかもしれませんね。