190930夏合宿に参加した人は、あれから1ヶ月が経ちました。「もう1ヶ月経つんだ!」と思う人、「まだ1ヶ月!」と思う人、みなさんはどちらでしょうか? 先生も勉強合宿ではないものの、運動の合宿に参加したことがあります。主に、身体能力を高めることが目的なのですが、日常ではできないトレーニングが用意されています。

人里離れた小学校の廃校跡を宿舎として利用し、快適とは言えない環境で開催されます。それぞれ自分の目的を持って参加していますので、その環境がどうかなんて問題ではありません。木の台に毛布を敷いただけのような寝床、季節は秋なのに、お風呂は水風呂。こう書いただけでも、初めて水風呂に足を入れた時の「ひぇ~」っという感じを思い出します。

合宿中は肉や油を使わない超薄味の食事で、昼と晩のみ。朝起きると、飴(あめ)を1つ配られます。飴をなめながら、早朝から散歩が始まるのですが、いつまでたっても終わりません。約4~5時間歩きまわります。途中で、砂丘(さきゅう)があったり、岩山があったりして、登るように指示されます。体力のある人は、走って登るとか○往復するというような、よりハードな指示があります。

宿舎では、柔軟体操や体を細分化する運動を主に行います。また、合宿中には、それぞれに応じたメニューが壁に掲示されていて、プログラムの合間やわずかな自由時間を使って、消化していきます。このメニュー量は個人差がありますが、各自の限界を超える程度の量になっています。

最終日前日には、班を組んで、最初から最後まで班員が離れることなく、歩くペースを一定に保ち、ゴールするというミッションが課されます。班員の歩幅や歩くペースは違いますから、歩みが遅れてあきらめ気分になったり、脱落しそうになる人、ペースを乱す人も出てきます。道に迷う班も出てきます。性別・年齢は異なり、健康強化のために来ている年配の人もいれば、オリンピックや格闘技の選手もいます。

それでも、お互いに励まし合いながら、班でまとまって歩くことを指示され、それを守りながら目的地へ向かいます。毎朝の散歩は、自分自身に向き合ったり、他の人の動きをみたり、この日のための訓練だったわけです。

みなさんが参加した合宿とも共通するところが多いにあると思います。非日常の場、不自由な環境、食事や生活のルール、基礎の訓練や本番(模擬入試・発表)への準備、自分の限界への挑戦、班行動や班員との協力。

合宿地から帰ってきた時の充実感や爽快感は素晴らしいものでした。しばらくは、合宿中と同じような、体の動きの良さや軽さを感じながら活動ができました。合宿に行く前と行った後では、大きな変化が感じられます。ただ、日常の中で消えていく感覚もあります。もしかしたら、自分のものとなって、違うステージにいることに慣れたからなのかもしれません。たった数日で、行く前よりもパワーアップできたと体感することができる。これは、合宿の魔法だと思いました。

みなさんは、自分の変化を今も感じますか?成長した自分を手に入れられましたか?この魔法を、日常で活かしていくことができれば、参加した目的を、合宿に参加したその先にある目標を、きっと達成することができます。

不自由な中で、見知らぬ人達の中で、自分がどんな風に感じて、どう行動するのか。こういった体験に、今この時期も、また将来も、入試や大学や社会の中で直面する場面が多々あります。このような経験を積んでおくと、いざ本番という時に、大きな気持ちで、余裕を持って、広い視野で、物事に向き合える器ができます。今年、合宿に行かなかった人、来年受験生になる人は、自分の成長のために、来年の夏、ぜひチャレンジしてみましょう。