ついこの間「コンフィデンスマンJP」という映画を観に映画館に行って来ました。もともとはドラマが原作で、詐欺師たちが悪党をだますというようなストーリーで話題になっていますね。
先生が好きな小説でも、意図的に読者をだますようなテクニックが使われていることがあり、そのテクニックを叙述トリックと言います。
よく本屋さんで“最後の一行にあなたはだまされる”“2周目であなたは全てを理解する”というような帯を見たことがある人はいませんか。そういった本にはたいてい叙述トリックが使われています。
叙述トリックと言われても、ピンと来ない人が多いと思うので、例を一つ。
例えば、佐藤さんが第1章では小学生、第2章では中学生、第3章では高校生、第4章では大学生と成長していく、ごく普通の話があったとします。ただし、名前は呼ばれず、名字で呼ばれます。(ここがポイント)
しかし、突然第5章で佐藤さんは2人いたという事が判明します。
どういう事か、2人の佐藤さんをそれぞれ佐藤さんA、佐藤さんBとすると、実は第1章、第3章は佐藤さんAについてのストーリー。第2章、第4章は佐藤さんBのストーリーと、実は別々の佐藤さんのストーリーが交互に進行していたのでした。
これは名字が同じなら、同じ人物だという無意識の思い込みを利用しています。叙述トリックはそんな思い込みを利用するなどして、意図的に誤った解釈(ミスリード)をさせ、最後に種明かしをして読者に驚きを与えるテクニックです。
代表的な作品としては道尾秀介「向日葵の咲かない夏」やアガサ・クリスティ「アクロイド殺し」などがありますが、本を読みなれていない人には、学生が登場人物の話が多く読みやすい綾崎隼の作品をオススメします。
ストーリーがおもしろい本を読むのもいいですが、たまにはあっと驚きだまされるような本を読んでみませんか。
目に見えるもの(文章)が真実とは限りません。だまされるかどうかはあなた次第です。
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