「平成」の元号が用いられる最後の2学期がいよいよ終わりになろうとしていますね。皆さんは、この1年間をどのように振り返るでしょうか。さまざまな「変化」があったことと思います。
「変化」といえば、我々が使っている言葉もまた、その時代背景や状況によって変化しています。その例をいくつか見てみようと思います。
まずは英語です。
皆さんが英語の時間に習う”shall”。学校では”Shall we dance?”のように誘いの言葉として使うと習ったと思います。しかし、shallはれっきとした助動詞で、肯定文・否定文で主語が一人称(I, we)の場合、「shall」は「…だろう」という意味になります。
(例) ”I shall return.(俺は必ず戻ってくるぞ!)”
また、肯定文・否定文で主語が二人称(you)の場合、「shall」は「…させよう」「あなたは…することになるだろう」という意味になります。
(例) ”You shall have a new computer for your birthday.(誕生日にパソコンを買ってあげよう。)”
しかし、今のアメリカ人はほぼ99%この用法で”shall”は使いません。
この助動詞”shall”は聖書ではよく出てくる単語なのだとか。いずれにせよ、古い用法なのですね。
次は我々が普段使う日本語でも考えてみましょう。
一番わかりやすい例が「ありがたい」ですね。
現代では感謝を表しますが、古典では「めったにない」が第1義として使われます。「めったにない」という用法が今でも使われていないわけではありませんが、普段の会話ではあまりお目にかからないですよね。
もとは、仏教から来た言葉で、出典は『法句経(ほっくきょう)』の、「ひとの生をうくるはかたく、死すべきものの、生命あるもありがたし」である、と言われています。人と生まれた生命の驚きを教える教えで、「有り難し」とは、人の生命の尊さへ目覚めた、大いなる感動を表す言葉でもあり、それがいつしか感謝の意味とされるようになったそうです。
また、「かわいい」という意味の言葉は古典では「かなし(愛し)」となり、古典で「かはゆし」は本来「相手がまばゆいほどに(地位などで)優れていて、顔向けしにくい」という感覚で「気恥ずかしい」という意味だったものが、「正視しにくいが放置しておけない」の感覚から、「いたわしい」「気の毒だ」の意味に変わり、かわいそうな相手を気遣っていたわる感覚から、今一般的に使われている「愛らしい」の意味に変わった、と言われています。
このように、言葉は時代によって変化し続けているのです。
君たちも「平成」の世に生まれてきたわけですが、「平成」もあと半年弱で終わりを迎え、次の時代になっていきます。そのときに、大事なものはそのままにしつつ、新しいものには柔軟に対応できるようになりたいものですね。
2018年も残りわずかとなりましたが、来年2019年は新しい元号の元年となることからも、新たなものに挑戦する気持ちを持ってほしいと思います。
能開・ホロンで勉強する君たちならやれるはずです。がんばっていきましょう!