先日、深夜眠れなくてテレビをつけると、20年くらい前の映画が放映されていたので、何気なく見ていました。そのお話しは、主人公である天文学者が、地球外生命体とコンタクトを取るという内容でした。
あるとき、惑星からの信号を受信したので、主人公たちは「自分たちは文明を持っている」ことを証明するために、『素数』のリストを送信しました。その結果、異星人たちは「地球には知的生命体がいる」ということで、ある信号を送ってきます。解析すると、それは何かマシンの設計図が現れる事が判明。それは、地球外生命体と接触するための機械だったのです。
つまり、「地球人には『数』の概念があり、高度な文明を持っている」と判断され、接触をはかってきたのです。コンタクトが取れたのは主人公のみ。それをまわりに証明できなかったため、主人公は疎外されて終わるという話でした。
ところで、みなさんはこの『素数』というものを知っていますか?みなさんが最初にこれを目にするのは、小学5年生くらいでしょうか。
『素数』とは、1より大きい整数のうち、1とその数自身でしか割り切れない数のことです。2は一番小さい素数で、同時に偶数の中で唯一の素数です。3、5、7も素数ですし、89や2521も素数です。整数論というものによれば、1より大きいすべての整数は、素数の積(かけ算)で表すことができます。つまり、素数は正の整数すべての基本単位と言えるのです。たとえば、「6=2×3」、「54=2×3×3×3」というように。(ちなみに、こういった二つ以上の素数の積であるような数を、合成数といいます。)
「素数は無限にある。」このことを、エウクレイデス(ユークリッド)という人が紀元前3世紀(今から2000年以上も前)に証明しました。ところが、素数を求める方法を見つけることは、今も数学では最大の難問の一つとなっています。数学者たちは、すべての素数を計算で求めることのできる万能の公式を見つけられずにいますが、史上最大の素数の記録は今も破られ続けています(2016年12月時点では、2233万8618けたになるそうです。)。また、素数には「双子素数」と言って、3と5、11と13、101と103など差が2である素数の組があるのですが、これが無限にあるのかどうかも疑問となっています。
ですから、これらの難問を解くと『フィールズ賞(数学のノーベル賞)』を取ることになるかも知れません。
そもそも、『数』というものに何も興味や疑問を感じなければ、『素数』という考え方は生まれなかったでしょう。また、数学という学問も、もっと大きくいえば文明も科学も、こんなには発展していなかったでしょう。ちょっとしたことから疑問(好奇心)を持ち、探求を深め、続けていくと結果として大きなものになっていく。
みなさんも、ちょっとしたことでもいいので、好奇心をもって調べてみてください。普段の学習で言えば、受身にならず積極的に好奇心を持って、疑問に思ったことを調べてノートにまとめる。そしてそれを続ける。そうすれば、きっと飛躍的な成果が期待できますよ。