6月に入りました。
先生の家の前には田んぼがあります。その田んぼで先日「田植え」が行われていました。
今は小さな苗が等間隔に並んでいます。これがどんどん伸びて、秋には稲穂となり、お米が収穫されますね。先生はこの家の前の田んぼを見て季節を感じます。
ところでこの「田んぼ」。
ちょっと前までは蓮華草が一面に咲き、それで春の訪れを感じさせてくれていました。この「蓮華草」ですが、勝手に咲いているものではなく、農家の方がわざわざ種をまいているんです。何のためか。それはこの蓮華草自体が肥料になるからです。
蓮華草には根っこのところどころに「根粒」というこぶがあり、このこぶの中に「根粒菌」という細菌がいます。根粒菌には、空気中の窒素を植物の成長に必要な養分に変える能力があり、蓮華草自体、根粒菌から養分をもらっています。つまり、蓮華草自身が、窒素をたくさん蓄えた肥料みたいなものなのです。
それを機械で土の中に混ぜ込むことで、土の中の肥料分が多くなるんです。
こうやってたくさんの肥料を蓄えた土に水が張られ、今のように苗が植えられていきます。
ここから先はどうなるかというと…
苗は水と養分をたくさん吸収しながら大きくなっていくのですが、その途中では「中干し」といって、地面にひびが入るくらいに水を抜く期間があります。
目的は色々ある(去年の切り株の残りが腐って発酵して出るガスを抜く・余分な分けつ(茎が分かれる)のを防ぐ・土の割れ目から新鮮な空気を入れる など)そうなのですが、その一つに『稲に水を与えないことによって稲にしっかりと根を張らせる』という目的もあるそうです。稲にとっては水がなくなるのは厳しい環境のようにも見えますが、そういう環境だからこそ根がしっかりとはられ、丈夫で倒れにくい稲になり、そこに付く稲穂も良いものが出来るそうです。
皆さんの勉強も同じではないでしょうか。
学力という稲穂を大きく実らせるためには、たっぷりと養分(知識)をたくわえていく必要があります。ただ、それだけで学力が向上するわけではありません。たくわえた知識を使う場面や、それを試される場面、また今もっている知識をつなぎ合わせて、初めて見る問題に活用していく場面を乗り越えていく必要がありますし、なによりそういった場面を乗り越える強い気持ちを身につけることは、一筋縄ではいかないかもしれません。ときには「中干し」のように厳しく感じることもあるでしょう。
ただ、そういった厳しさを乗り越えるからこそ、夏以降には大きな収穫が待っているはずです。
今目の前に勉強に苦戦している人も、乗り越えようと思って挑戦している人は、きっと乗り越えられます。秋の収穫を目指して、がんばりましょう。