180528五感――視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚。この中でみなさんは日常、どれをよく使っていますか? 情報収集、ゲーム、勉強などを例に考えると、スマホやネットを見る、音楽や英語を聴く、でかなりの比重で目と耳を酷使していることでしょう。今日は日頃あまり意識されない「嗅覚」について考えてみましょう。

一般的に、動物にとって敏感な感覚は「嗅覚」といわれます。犬が初めて出会う物を「におい」をかいで判断するのを見たことがありますよね。においをかいだ瞬間に過去の光景がフラッシュバックしたり、特定の人や場所を思い出すのを「プルースト効果」といっていろんな分野で応用されています。そして「におい」は古い記憶や喜怒哀楽の感情を強く引き出す、五感のうち、嗅覚が最も感情をゆさぶるとまでいわれます。

「おいしい!」という感情をおこす「味覚」も嗅覚と密接な関係にあります。「おいしい」と感じるのは味だけでなく「におい」も大きく影響しているのです。強烈なにおいで知られる「フナ寿司」や「ドリアン」も、ためしに鼻をつまんで飲んだり食べたりすると、あまり味を感じなくなります。ただ、食べてノドを通過してから鼻にもどってくる香りもあるので厄介ではありますが、五感の中で嗅覚は記憶・感情など脳に直結しているのです。

においと結びついた記憶は他の記憶よりも強く残るということを実験したテレビ番組がありました。テスト勉強で漢字を覚える際にコーラの香り付消しゴムを使うのと使わないのとでは、正答率が「使わない」:75%、「使う」:83%、という差が出たのも驚きです。短絡的になるのはいけませんが、やる気が出たり元気になったりするのであれば、「におい」を生活習慣に取り込むのはよいことでしょう。

以前、毎朝カレーを食べて全力でトレーニング・試合をこなしたイチロー選手は、カレーが大好物だったというよりは、日々の厳しい習慣を徹底するための味・香りだったのかもしれません。

がんばる経験は将来の自分の財産になります。そのがんばる経験(習慣)を思いおこすきっかけになるように、自分に合う、好きなにおいを見つけ出して、においを活用しながら日々勉強に取り組みてはどうでしょうか。