先月、韓国・平昌で行われた冬季オリンピック。日本勢はかつてないメダルラッシュとなり、とても盛り上がりましたね。
その中でも、フィギュアスケート男子の羽生結弦選手のシングル66年ぶりの大会2連覇の快挙は、強烈なインパクトを世界中に与えました。
「弓の弦を結ぶように、凛とした生き方をしてほしい」と、結弦と名付けられた羽生選手。
幼少から今に至るまで、数々の輝かしい成績を残して順風満帆にキャリアを重ねてきましたが、昨年秋、選手生命に関わる大ケガをしました。
オリンピック代表選出そのものも危ぶまれる中でのぶっつけ本番となった今大会。ショートプログラム・フリースケーティングとも、いくつものジャンプを完璧に決め、ブランクの不安を払拭する圧巻の演技を披露して、見事金メダルを獲得しました。
羽生選手は、現在、全日本空輸(ANA)に所属しながら、早稲田大学の人間科学部(通信教育課程)にも在学しています。中学・高校時代の成績はオール5で、フィギュアと学業をきちんと両立してきました。
プーさん愛好家、イヤホン収集家といったお茶目な一面もあり、明るく爽やかな印象の羽生選手ですが、いざリンクに上がると人格が変わったかのような気迫の滑りを見せて、人々を魅了します。全身全霊で魂を込めた演技のあまりに時折見せる鬼のような形相は、男っぽさも感じます。
あるインタビューで、彼は次のようなことを話していました。
「努力はウソをつきます。でも、無駄ではありません。努力の正解を見つけることが大切です。」
“報われない努力はない”とよく言われますが、羽生選手は全く反対の考えでした。実際、オリンピックでは、練習を一番してきた人が必ず優勝できるわけではないし、逆に、一時の勢いで勝っちゃったということも結構あります。
大会後の去就が注目されましたが、金メダルを決めた翌日の会見で、治療期間は必要ながらも、「スケートをやめる気はまだありません。」と、彼は現役にこだわる意思を表明しました。オリンピックでスケートが終ったわけではなく、もっとうまくなろうという想いを持ちながら、努力の正解を探し求めて、新たな旅を続けるのでした。
偶然にも、スピードスケート女子の小平奈緒選手も、「金メダルをもらうことは名誉なことですが、これからどういう人生を生きていくかが大事になります。次の挑戦へ、スタートです。」と、同じような発言をしていました。
今回、ケガを乗り越え、神がかったようなスキルと表現力で不死鳥のごとく復活を遂げた彼の凛とした生き方に、大いなる勇気とパワーをもらいました。
「金メダルはゴールドだけどゴールじゃない。」そだねー。