170828今年もティエラの夏合宿が終わりました。みなさんの中には、いずれかのコースに参加して一生懸命頑張った人も多いことでしょう。

さて、「東京トップリーダー合宿」では今年、日本の「ものづくり」を支えている東京都大田区の町工場を訪ねました。大田区では、その世界に誇る高い技術力を持った町工場が力を合わせ、冬季オリンピックで走るボブスレーを開発する「下町ボブスレーネットワークプロジェクト」が進められています。大田区で作ったボブスレーがオリンピックの舞台で活躍することで、その最高レベルの技術を世界にアピールしようというわけです。
より速く走れるそりを目指して、何度も挑戦し、2018年のピョンチャン五輪では、なんとジャマイカチームがその機体に乗ることが決定しました。他国のボブスレーのそりは、BMWやフェラーリなど、世界的に超有名な自動車メーカーが関わって作っているわけですから、日本の小さな町工場の作ったそりがオリンピックに登場するなんて、本当にすごいことなのです。(ちなみに日本のチームは、ドイツ製のそりで走るのだそう…)
合宿では、この「下町ボブスレー」で、そりを発進させるときに選手が押す“プッシュバー”という部品を作っている会社の社長さんにお話を聞くことができました。
社長さんは、この「下町ボブスレー」を通じて、町工場同志の絆が深まったとおっしゃっています。大田区では「仲間まわし」という文化があり、一つの会社ではできないことも、それぞれの得意な部分をまわし合うことで、高性能な製品を短期間で作り上げることができるという強みがあります。まさに、「下町ボブスレー」のそりも、この「仲間まわし」によって作られています。しかし、工場の数がどんどん減っていったり、取引先が地方にあったりすることで、「下町ボブスレー」に参加するまで、どんな会社なのかくわしく知らなかったり、他の町工場に親しい人はいなかったのだとか。でも、同じ夢に向かって力を合わせるようになったことで、相手のことを知ることができ、互いの状況を考えて仕事をし、熱意やプロ意識を共有しながら、信頼し合って仕事ができる関係へと変わっていったのだそうです。
一人ではできないことも、それぞれが全力で頑張り協力すれば、素晴らしい結果を生み出すことができるのですね。

ふと、合宿に参加していた生徒のみんなの、話に耳を傾ける真剣な表情を見ながら、これはまさに合宿でも同じことだなとしみじみと思いました。最初はよく知らないメンバーで班を作り、少しずつ打ち解けて、目標を達成するために自分の役割を果たし、お互いを思いやる──。
合宿という場所で、大田区の「仲間まわし」と同じことを、みんなは体験しているんじゃないかと思ったのです。東京トップだけではなく、他の合宿でも同じでしょう。合宿という日常を離れた場所で、一緒に頑張った「仲間」が、合宿に参加したみなさんにはきっといるはずです。そこで共に分かち合った喜びや苦しみを、決してその合宿かぎりのものにしないでください。ふだんの生活では、一人で頑張らなければならないこともあるでしょう。しんどいなと感じる時もあるでしょうが、そんな時こそ、「みんなとあんなに頑張ったんだから絶対大丈夫!」と自分にはっぱをかけてください。
この夏、仲間と踏み出した一歩を、もっと前進させるために、本物のエネルギーに変えるために、自分と仲間の力を信じて、秋からも頑張っていきましょう!