皆さん、アメリカンフットボールを知っていますか?
アメリカでは日本と違って、とても盛んなスポーツです。
少し古い話ですが、1990年にカレッジフットボールの雄と言われている強豪ノートルダム大学をオレンジボウルで10-9で破り、コロラド大学が念願の全米制覇を成し遂げました。
実はこの試合には、涙無しでは聞けないエピソードがあります。
当時、ノートルダム大学は最強と言われ、このオレンジボウルでも誰もがノートルダム大学の勝利を信じて疑いませんでした。
対するコロラド大学に、とても悲しい出来事が起きました。コロラド大のエースQB(クォーターバック/チームの司令塔)が白血病になり、試合に出場できなくなったのです。
彼は何とか試合に出場できないかを医師と相談してきましたが、病状は思わしくなく、とても試合に出場できる状態ではありませんでした。
試合当日。
彼はオレンジボウルが開催されるフロリダに向けて、出発する飛行場にいました。せめてチームを激励しようと思い、病院から駆けつけたのです。しかし、そこで容態が急変し、そのまま病院に担ぎ込まれましたが、そのまま息をひきとりました。
コロラド大の監督は、試合会場で待っている選手たちを前に、彼が亡くなったことを告げました。そして、彼が乗るはずだった飛行機で送られてきた、彼が書いた手紙を読み上げました。
「みんなのところへは行けないが、フロリダの星になって、空からみんなを応援している」
手紙にはそう書かれていました。
試合は、会場のほとんどをノートルダム大のファンが占める、コロラド大にとって完全アウェーの中で行われました。
コロラド大がリードして迎えた、試合終了間際。あと1プレーでタイムアップになるところで、ノートルダム大はコロラド大のゴール前3ヤードまで攻め込みました。この1プレーでタッチダウンを獲ればノートルダム大の勝利、止めればコロラド大の勝利。
その時、コロラド大の選手たちは集まり、手を握りあって、空を見上げたのです。
何かに話しかけるように、ずっと空を見上げました。
星になって見守る彼も一緒に戦ったのです。
そして、コロラド大は悲願の全米制覇を成し遂げました。
この夢はエースQBを務めていた彼にとっての悲願でもありました。
試合に勝利した瞬間、選手たちは監督とともにグラウンドにひざまづき、空に向かって祈りを捧げました。