私の家には少しばかりの庭(たて3㍍よこ1㍍ほど)があります。季節ごとに花を植えていたのですが、忙しさにほったらかしにしていたら、なんだかいやな匂いがします。「ネコだ!」やっぱりネコのうんちがありました。飼い猫なら、家の中で出来る場所があって用を足すのでしようが、都会の道路は、アスファルト・コンクリートで地面が掘れない。野良ネコには、指定の場所がないから、ついつい、土のある場所を求めて緊急のために苦しくなって我が家に来たのだと、ネコに同情しながら後片付けをしました。
その日から、家を出かけるとき門の前でよくそのネコを見かけました。黒い大きなネコです。あのネコかなと思いながら、心の中で「だめだよ。しちゃいけないよ」と追い払いました。数日後、車の窓に足跡が点々とついていました、途中ですべったのでしょうか。つめを立てたような筋もありました。「ネコが車の上でひなたぼっこをしていたよ」と近所の人から話を聞き「またあいつか」と思いました。「ネコは居つくよ」と言われ、庭に水をまいたりして嫌がるようにしてみました。それから私とネコの根気くらべが始まったのですが、やがて、ネコはいたずらをしなくなりました。でも、なんとなく寂しい気もしています。
ネコは自由な性格と言われています。毎日規則正しい日々を送っている私たち人間に比べて、行きたいところにいつでも行ける、眠たいときはいつでも眠れる。あるときは屋根の上、あるときは床の下で、居所も自由に選べ、うらやましいと思ってしまいます。でも、人間に嫌われたら居場所も少なくなり、食べ物ももらえなくなる。そう思うと、かわいそうになります。衣食住の「衣」はともかく、食べ物とすみかを得るためにネコは必死に生きています。
ネコとみなさんを比べるのは大変失礼なことですが、幸いなことに、みなさんは、温かい家庭で育っています。そんな生活を当たり前と思っていませんか。ネコの気持ちを考えてみると、結構たいへんだと思うようになります。これから大人になっていくといろいろな場面に出くわします。相手の気持ちになって行動してみてはどうでしょうか。
ちなみにわたしはネコよりもイヌの方が好きですがみなさんはどちらですか?