田植えの季節になりました。
 さて、日本には古くから「他人百姓」と呼ばれる世渡りの術があります。隣の家が田植えを始めたから、うちもそろそろしょう。あそこが稲の刈り取りを始めたから、うちもやろうなどと考える。・・・・・このように他人が何かやるのを見て、安全を確認してから自分の仕事にとりかかる気性(うまれつきの性質)のことを言います。

 農業をする人にとっては、気候はとても大切な要素の一つであるし、また、昔から共同作業はよく行われていたことだから、「他人百姓」は、そのような農業を営む風土の中から生まれた、言ってみれば「生活の知恵」ということもできます。

 でも、本当に賢いお百姓さんは、いつまでも他人百姓ではいられません。より実り多い収穫を得ようと自分で工夫します。まず、気候や土や稲の性質をよく知り、よそに先がけて田植えをしたり、もう一週間待てば、よく乾燥してくるに違いないと、他人が汗水たらしているのをゆっくりとながめて、遅れて刈り取るものです。

 君たちの勉強でも同じことが言えます。そろそろ中間テストも始まる頃ですが、友達が勉強を始めたから自分もそろそろやろうと思っている人は多いのではありませんか。そういう人は、まさに他人百姓です。

 中間テストの出題範囲をしっかり確認して、量と内容をよく考えて、そのための勉強をいつから始めるのが良いかを決める。テスト開始までの計画を組み立てていく。弱い教科や弱い分野にはなるべく時間を多くとるようにする。そして、後は、自分が立てた計画に自分自身に文句を言わせないで、それを実行していく。賢い人は、自分の勉強法をよく知り、自分の弱点をよく知り、時には友達に先がけ、時にはゆっくりと自分の勉強をコントロールできる人です。

 ゼミの勉強も、テキスト、確認テスト、参考書、ノートのとり方をよく知ることから始まります。それらをどのように自分で活用するかを考えて、自分の勉強方法を作り上げてください。教室の先生たちは、十分君たちの相談にのってくれるはずです。遠慮なく相談してください。

 土の上は歩きにくい。雨が降れば、ぬかるみになる。晴れの日が続けば、土ぼこりが舞い上がる。どのように歩くか、自分で歩き方を工夫しなければならないのです。