先日、井上雄彦×ガウディ展を見てきました。
井上雄彦さんは漫画家で、代表作は『スラムダンク』『バガボンド』などです。『スラムダンク』は連載終了から10年以上たっていますが、心をふるわす名言がたくさんあります。興味を持った人はぜひ一読してください。
アントニ・ガウディは19世紀から20世紀にかけてスペインのバルセロナで活躍した建築家です。サグラダ・ファアミリアが有名ですね。そのガウディの人生を井上雄彦さんが絵に描いたものやガウディの設計図や模型の展覧会でした。
「天才の仕事だ。」
ガウディは言うに及びませんが、井上雄彦さんについても同様の感想を持ちました。圧倒的な表現力に打ちのめされました。
大学時代、先生は漫画研究会(漫研)に所属していました。大学に入るまで漫画を描いたことがないどころか絵すらもろくに描いたことがありませんでした。なんの因果か成り行きで漫研に入ることになりました。
このサークル、本気で漫画を描こうとする人たちの集まりでした。先輩たちの描くものと自分が描くものの落差に愕然としました。それはそうですね。先輩たちは幼稚園のころから絵を描いていたような人たちですから、比べるのもおこがましい話です。
完全に心を折られた先生は、ある日、部長に退部のお願いをしました。「自分には才能がないので辞めせてください」と。部長は、「才能なんて関係ない。絵がうまくなりたいなら、描いて描いて描きまくるしかない」と諭されました。先生はその言葉を信じ、もう少し続けてみようと思い退部を踏みとどまりました。
それから時間があれば絵を描く生活をしました。先輩たちのようなレベルには到達しませんでしたが、以前の自分より明らかにうまく描けるようになりました。そこからは描くのが楽しくなり卒業するまで漫研にいました。
いま圧倒的な画力を有する井上雄彦さんですが、『スラムダンク』の1巻を見返してみるとうまいと言えない画力でした。現在の仕事ぶりをみて、「天才(1031)だ」「才能がある」という一言で片づけてしまいますが、子どものころから連綿と続く努力の結晶が今の姿であることを私たちは見落としがちです。
誰しも最初は出来ないものです。初めてやることですから、うまくいくはずもありません。いまでも先生の机の引き出しにはサークルに入ったばかりの絵が残っています。我ながらあまりの下手さに冷や汗が出ます。
その当時はうまく描けないから面白くない、やりたくないと思っていました。しかし、先輩の一言で我慢してやり続けることでそれなりに描けるようになりました。出来なくて苦しくても続けることでしか上達しません。それはどんな世界でも同じことです。
いま勉強ができなくて苦しい思いをしている人がいると思います。才能がないと嘆かないでください。勉強を止めないでください。みなさんは才能が不足しているのではありません。勉強をしている時間が、努力の量が不足しているだけです。
苦しい時間を乗り越えた先に本当の楽しさ面白さが分かります。あきらめず続けてみてください。
スラムダンクに登場する安西先生も言っています。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」