141117あえて、私が体験した極端な例をご紹介します。

雲一つない澄みきった青空の日に家族4人でお昼の弁当を持って、車で1時間半ほどの公園に行きました。
車を降りると空には赤とんぼがたくさん飛んでおり少し肌寒い日でしたが、たくさんの家族連れやカップルで賑わっていました。
公園の中央には周囲500mほどのすり鉢状の池があり、十数台の足漕ぎボートが優雅に進んでいました。
空とは対照的に夏に繁殖した藻の影響なのか、色鮮やかな鯉がかすかにしか見えないほど水は濁っていました。

公園に到着したのは正午過ぎだったので、さっそくお弁当を食べることにしました。
公園の池の畔のなだらかな坂の芝生の上にレジャーシートを敷き、家族4人が靴を脱いで座りました。
弁当を半分ほど食べ終えたころ、ふと池の方を見ると、よちよち歩きの1歳半くらいの赤ちゃんが、
すり鉢状の坂の傾きに負けたようでかなり早足になり、そのまま池に落ちてしまったのです。

私はとっさに走り、足から池に飛び込みました。
幸いにも水の深さは腰上ほどでしたので、溺れかけた赤ちゃんをすぐに助けることができました。
赤ちゃんを抱かかえて池からあがると、赤ちゃんの父親がかけ寄り「すみません」とぺこり。
その瞬間、なだらかな坂の上の道端から「早く連れて来て、風邪ひくやんかー」と赤ちゃんの母親の叫ぶ声。父親は赤ちゃんを抱え、すぐにそっちの方に行ってしまいました。
その光景を見ていた池の周りにいたたくさんの人たちはとても驚いていました。

ジーパンや上着がずぶ濡れで池の臭いもあったので、私たち家族は家に帰ることに…。
公園に滞在した時間はほんの15分くらいです。
帰る車の中で、怒りがこみ上げてきました。
「なぜ、母親はありがとうの一言を、言いに来なかったのか?」
「なぜ、父親はすぐに立ち去ったのか?」
人命救助の感謝状なんて要らない。
赤ちゃんの両親のあたたかい「ありがとう」の言葉だけでとてもすっきりしていたはずです。
今でも何度も何度も不思議な気持ちが込み上げてきます。

まもなく勤労感謝の日です。
みなさん、「ありがとう」を言い忘れたことはありませんか。
「お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん」に日頃の感謝の気持ちを伝えてみてはどうですか。