世間はすっかりワールドカップ一色ですね。
日本代表は厳しい状況ですが、選手たちのがんばりに、先生は勇気をもらっています。
今回のW杯はブラジルで開催されていますが、実は日本でも開催されたことを知っていますか?
日韓ワールドカップといって、2002年に開催されました。日本でW杯が開催されるということで、ある出場国が試合前の『合宿』を日本の和歌山で行いました。
『デンマーク』という国です。北海道の半分くらいの大きさの小さな国です。
デンマークが和歌山を選んだ理由、それは日本の真ん中くらいで空港(関空)に近いから・・・それだけの理由だったらしいです。
和歌山の人々は、スター選手も少なく、どんな国かよくわからないデンマークの練習を、野次馬感覚で見に行ったそうです。
最初は数百人・・・。しかし、人数が増えていき、1日で2000人・3000人とどんどん増えていきました。その背景には、デンマーク人がめちゃくちゃフレンドリーで、サインや写真はもちろん、子ども達とサッカー教室なども開き、練習を非公開にする国が多い中、日本人との交流を大事にしました。
日本の礼儀にも関心を見せ、食事の際に、手を合わせ『いただきます』と『ごちそうさま』を行ったそうです。選手の中でも率先して、『いただきます』を行った選手がいました。
その選手の名前はトマソンといいます。
トマソンはある日、地元の人たちとの握手会である少年と出会いました。
その少年は握手せずに、もじもじしています。そして一枚の紙をトマソンに見せました。
『ボクは小さいころに、病気にかかって口と耳が不自由です・・・耳は聞こえません、話せません・・・だけどサッカーだけはずっと見てきました、大好きです。デンマークのサンド選手とトマソン選手が好きです、頑張ってください』
突然トマソンは手話でその少年に話し始めました。少年もその母親も後ろに並んでいるたくさんの人たちも驚きました。実はトマソンには少年と同じように耳が不自由な姉がいたそうです。
手話で会話するうちに、トマソンは少年に約束をします。
『君が自分の人生をがんばれるように、試練を乗り越えられるように心から祈っています。そして、ボクは君のために必ず1点獲ります。』
そのやり取りをみて、その場にいた人たちは涙を流したそうです。
デンマークの結果はというと、ベッカム率いるイングランドに負けてしまいましたが、トマソンは1点どころか4得点の大活躍だったそうです。
デンマークの選手達は試合後、再び和歌山を訪れ、パーティを開いたそうです。
地元に人がたくさん参加するなか、トマソンはあの少年を見つけました。
トマソンは少年に言いました。
『君には試練が与えられている。それは神が決めた事であり、今からは変えられない。
神様は君に試練を与えたけど、君にも必ずゴールを決めるチャンスをくれるはずです。そのチャンスを逃さず、ゴールを決めてください。』
君たちにも、さまざまな試練があるはずです。そしていろんなチャンスが与えられています。それは、普段の生活の中にあるかもしれない、この能開に通っている事がチャンスなのかもしれない。また、講習会や合宿の中でチャンスをつかむことができるかもしれない。
そのチャンスをつかみ、試練を乗り切るために、決して中途半端で終わらず、ゴールを決めてください。そうすれば、さらに上へ進むための新しい道を見つけることができるでしょう。