いよいよ受験シーズンが始まりました。受験生の多くが、「勉強のこと」や「進路のこと」でアレコレ悩んでいると思います。
「若者のライフスタイルに関するアンケート調査」というものがあり、それを見ると、20歳前後の男女を対象に「今、悩んでいることは何ですか。」という問いを投げかけたところ、「お金のこと」「今後の未来のこと」「仕事・就職のこと」「恋愛・結婚のこと」といった回答が上位を占めました。若者でなくても、「人間関係」「自分の性格」「将来への不安」…、数え挙げればキリがありませんが、古今東西、老若男女問わず、「悩み」というのは尽きないものです。
こんな逸話があります。時は1,200年初頭。坂東(今の関東地方)に若い貴公子がいました。
彼は若くして人の上に立つような高い位に就きましたが、諸々のままならぬ理不尽な環境に苦しみ、日々、孤独に思い悩んでいました。
そんなある日、偶然に、身なりがたいそうみすぼらしい、占いを生業とする老婆に遭遇しました。
彼女は初めて会ったそんな彼に対し、突然こう告げたのです。
『お前の悩みは、どんなものであっても、それはお前一人の悩みではない。はるか昔から、同じことで悩んできた者がいることを忘れるな。この先も、お前と同じことで悩む者がいることを忘れるな。お前一人ではないのだ、決して。』
それを聞いた彼は、取り巻く状況はまったく変わらないことがわかっていながらも、どこか吹っ切れたように、しっかりと前へ進んでいくことを決意しました。
悩み事は、先人も後に続く者も必ず抱える大きな荷物、そう、自分だけに降りかかるものではないのです。
勉強が辛くて、迷い悩んでいる受験生の皆さんには、そんなことを頭の片隅に置きながら、今できることをすべてやり切ってほしいと、切に願います。
「人事を尽くして天命を待つ」