みなさんは「知の呪縛」という言葉を聞いたことありますか?
知識はいくらあっても損をすることはないので、普通はたくさん持っているほどいいとされています。ところが、その反対に知っているからこそ起こる問題というものもあります。
人は自分が知っていることを、他の人も知っていると思ってしまうことがあります。知識を得ると、その知識を持っていない人の気持ちが分からなくなる現象が起きてしまいます。(熱心に勉強する人ほど、この傾向が強いそうです。)
一つの例として、「叩き手」と「聴き手」についての実験がありました。
たくさんの人を「叩き手」と「聴き手」の役に分け、「ハッピー・バースデー」など誰もが知っている25曲の歌のリストを渡しました。「叩き手」は、リストの中から1曲選んで机でリズムを叩きます。「聴き手」は、そのリズムを聴いて曲名を当てるゲームです。
ゲームの前に叩く方の人たちにたずねると50%は当たるだろうと予想しましたが、結果は120曲中、たった3曲(2.5%)しか当たりませんでした。聴いてる人には意味不明の音にしか聴こえませんが、叩いてる人は「なんで分からないんだ?」とイライラしました。
お互いの間にあるこのギャップが「知の呪縛」です。いったん知ってしまうと、それを知らなかったときのことが分からなくなり、知識に呪いをかけられたようになります。
そうすると、話をしていても溝が生まれてしまいます。
これは日常的によく起こっています。友だちと話しているときに「なぜ、知らないの?」「なんで分からないの?」と思ったことや、態度に出てしまったことはないですか?また、自分で作ったノートを見返しても分からなかったことはないですか?
作るとき(叩き手)は曲名を知っているので、頭の中にメロディが流れていますが、読み返すとき(聴き手)メロディが流れていません。
自分と人の知識にはギャップがあるということを意識するだけでも、物事の見え方がきっと変わってくるはずです。人の立場に立って考えることが良い人間関係を作ります。
新型コロナウイルスの影響で、自分勝手な行動を取る人が増えています。こんな時だからこそ、自分のことだけではなく、他人のことを考えた行動を取れる人になりたいですね。「思いやりの心」を忘れないで過ごしましょう!