「255」を素因数分解すると「3×5×17」と表すことができます。これが一瞬でできた人は凄いかもしれません。
「3」も「5」も「17」も「素数」と呼ばれています。素数の定義は「2個の正の約数(1と自分自身)をもつ自然数」となります。「割り切れない数字」と言った方がわかりやすいでしょうか。
ちなみに素数は、「2、3、5、7、11、13、17、19、・・・」と無限に続くとされています。今まで発見された中で最大の素数は「22,338,618桁」もあります。最近流行りの「35億」という数字もとても大きな「数」ですが、「桁」で表せばたったの「10桁」ですから、「2000万桁」を超えるとは、もはや気の遠くなるような桁数ですね。その素数の法則を発見するために提唱された「リーマン予想」は150年もの間、未解決のままだという事実も驚きです。
素数は、これ以上分解できない「数」ですが、物質の成り立ちとも似ていると言われています。
中学校の理科では、一番小さな「物質」は、「原子」ということになっています。しかし、それは大昔までの話です。原子は「原子核(1個)+電子(複数)」だと解明されました。そして、その原子核すらも陽子、中性子で構成されて・・・、といったように原子よりも小さな単位が存在することが分かってきました。
さて、そろそろ本題に入りましょう。
今回伝えたいことは「なるべく小さく分解して考える」ことの大切さです。つまり「要素」を見つけることです。
例えば、プロ野球のピッチャーとして必要な「要素」は何でしょうか。
時速150キロの球を投げられる。これはひとつの「要素」です。もちろんこれだけでは通用しません。まるでストライクゾーンに投げられないのであれば、ずっとフォアボールです。
そこで「コントロール」という「要素」も必要だとわかります。速くてコントロールがあれば大丈夫か。プロの世界ではそれでも通用しません。プロのバッターは、どんなに速い球でもストレートしか投げてこないとわかれば「打てる」といわれています。だから、いくつかの変化球を持つことが必要になります。多くの種類の変化球を投げられることは、バッターに的を絞らせないためにも必要な「要素」です。
では、それも猛練習の末、体得したとしましょう。すでに3つも「要素」を集めました。しかし、それでもまだまだなのです。
最後はピッチャーとしての「実践経験」が必要だというのです。
何万人という観客や多くのビデオカメラに囲まれて、マウンドにポツンと一人。さらには実績豊富な強打者の迫力を前にしたとき、緊張してまったく力が発揮できない場合があります。あるいは、ピンチに立たされた時に平常心が保てずに、失投が続いてしまうこともあります。
自分にとって理想の環境であれば力が発揮できたとしても、それが「現実世界と地続きである」とは限りません。
そこに「本番力」という「要素」が見つかります。
非常に遠回りをしてきましたが、「本番力」とはそれくらい見つけにくい「要素」だということです。「255」を構成する要素に「17」が必要なように。
「本番力」とは、どうやって身につけるのでしょうか。様々なアプローチがあるかもしれません。ただ、一つ言えるのは「自分にとって都合の悪い環境」の中で結果を出す練習をすることが、「本番力」を高めるということです。
ちなみに、勉強を頑張っているのに成績が上がらないのであれば、この「要素」を見つけられていないのかもしれません。野球でいえば、速い球を投げることだけが、野球の練習だと思い込んでいるようなものです。
求められているのは「要素」を組み合わせることなのです。「英語」や「数学」といった勉強もこれと同じです。
さて、本番力について。それが身につくための場として用意しているものの1つとして「合宿」があります。「合宿なんて嫌だ」という人もいるでしょう。
しかし「嫌だ」からこそ「必要」なのです。仲の良い友人、顔見知りの先生、使い慣れた机や椅子、それらに囲まれた見慣れた景色。そうした自分にとって都合のよい環境の中でしか結果が出せない、となれば「本物の力」とは言えません。
誰でも、本当に強くなりたいならば「真剣勝負の場」に身を置こうとします。日常と地続きではない環境は、「合宿」でこそ体現されます。
もし、自分次第で合宿への参加が決められる状況にも関わらず足踏みをしているのならば、自分の心の中をしっかり覗き込んでみてください。