先月、先生の住んでいる石川県に新幹線が開通しました。今まで東京まで4時間かかっていたのが2時間半で、お隣の富山までは今まで40分かかっていたのがわずか18分で行けるようになりました。
これでは本を読んでいるヒマも座っているヒマもないかもしれませんね。先生の家のベランダからも全力疾走する新幹線が見えますが、やはり時速260kmというのはすさまじい速さです。
実はこのくらいのスピードになると、通常では考えられない問題が起こってくるそうです。
例えばブレーキの問題がその1つです。新幹線以外の鉄道では「最高速度は時速130km」と決められています。これは、運転手が障害物を発見したときブレーキをかけて止まれる距離(600m)から計算されているそうです。
では時速260kmで走る新幹線は、ブレーキをかけてから止まるまでに何m必要だと思いますか? 答はなんと「4000m」です。4km先なんて見えるわけありませんから、つまり運転手が何かを発見してブレーキをかけても絶対に間に合わないということですね。
今から50年前に日本で初めて新幹線が開通するときも、技術者はこの問題をどうやってクリアするか色々と悩んだといいます。みなさんは、この問題をどうやって解決したかわかりますか?
実は『ブレーキをかけなくてすむように、線路内に何も入り込めなくする』方法をとったのです。ブレーキをかけても間に合わないのなら、「ブレーキをかけるような状況を作らなければ良い」というまったく逆の発想を思いついたのです。
こうして新幹線は「全線立体交差で踏切を作らない」ように作られ、さらには「新幹線の線路内への立ち入りを禁止する法律(新幹線特例法)」まで作られました。
今では当たり前に走っている新幹線も、このような発想の転換によって実現したとは驚きですね!
目の前に何か困った問題が起こったとき、「正攻法」で原因と改善を図るのはもちろん大切なことですが、どうにもこうにもならないときは「逆転の発想」をしてみるのもよいかもしれませんね。
(間違っても「能開の宿題が終わらない」から、「終わらせなくても済む方法を考える」という逆転の発想をしてはいけませんよ!?)