“今、新しい伝説が生まれようとしている”
およそ30年前、このキャッチフレーズで世に生み出されたゲームを知っていますか?ゲームといえばシューティングゲームかアクションゲームしかないロールプレイングゲーム未踏の時代。発売されるや瞬く間に大ヒット。いまや知らない人がいないほど有名になってしまった伝説のゲーム。そう、ドラゴンクエストです。
初めての冒険はわくわくドキドキの連続。時を忘れひたすらプレイする日々。はがねのつるぎのキレ味に震え、太陽の石を求めて右往左往し、ベギラマの威力にほくそ笑む。そんな冒険を重ね竜王を倒す目的をはたすため旅をつづけます。竜王を倒すためにはレベルアップが不可欠です。地味でつまらないけれどやらなければ打倒竜王は果たせません。せっせとモンスターを倒し装備を整えます。膨大な時間の積み重ねの果てにロトの末裔は竜王と世界を賭けた戦いにようやく挑みます。
ゲームの中で行われていることは何かに似ていると思いませんか。
このプロセス、人生と大きく重なります。まず最終目標(竜王を倒す)を決めます。みなさんにとっては高校入試であったり、大学入試がそれにあたります。人によっては職業まで考えている人がいるかもしれませんね。次のステップは合格のために定期テスト(小ボス)を攻略します。点数を上げるために単語を覚えたり、計算練習をしたり、ワークを何回も反復します。ゲームでも現実の世界でもレベルアップするため退屈でうんざりすることに耐えてやらなければならないのは同じです。
この退屈で苦しいことを乗り越えていかなければ目標を果たすことができません。つまり目標をクリアするためには目標をたてるだけでは実現しません。目標を達成するための行動、行動を支える強力なモチベーションが必要です。
ゲームでは、“クリアしたいっ”、“竜王を倒したい!!”といった強いモチベーションをもってプレイしていると思います。目標をかなえる行動に最も必要なものが強いモチベーションのです。とはいえ、こういった強力なモチベーションをもつことはそれほど容易ではありませんね。そこでドラクエの主人公の心情に自分の心情を投影してみましょう。
本作の主人公はロトの血筋だからという理由で竜王を倒せというムチャ振りをされます。途方もない重責です。そのとき主人公は何を考えたのでしょうか。当然、「なぜ自分が」、という思いもあったでしょうが、おそらく竜王を倒す意味を考えたのではないでしょうか。竜王を倒すことで得られるものは何か、目標を達成したその先に待ち受けている世界はどうなっているのかを想像したに違いありません。竜王なき世界。そこは人々の笑顔があふれ、安心して暮らせる世界だと思ったことでしょう。主人公はその世界の実現のため困難に立ちむかっていったのだと思います。
部活で仲間のためだと不思議と頑張れた経験や、保護者が喜んでくれたから頑張ろうと思った経験をしたことがあると思います。誰かに認められたい。誰かに必要とされたい。人はこういった欲求をもっています。これこそが本当のモチベーションにつながる源泉です。社会にでて働くということは誰かを幸せにすることにつながります。
皆さんがやっている勉強は計り知れない価値をもっています。いま頑張ることは未来の誰かを幸せにします。勉強がつらいと思ったら、そのことを少し思い出してみてください。