現存する金閣は2代目。初代は残念ながら昭和25年に焼失してしまっていますが、それでも500年を超える間、風雨にさらされながらも光り輝いていました。

もちろん、金閣は純金で出来ている訳ではなく、木造の建築物の上に金箔を貼っていることはみなさんも知っていますね。

では、その金箔をきれいに剥がせたとすると、その下はどのようになっていると思いますか。

答えは、真っ黒の「黒閣」の姿になります。金箔の下地には真っ黒の漆が一面に塗られているのです。金ぴかの金箔の下に真っ黒の漆。この正反対の組み合わせが「美」としても「機能」としても最高の組み合わせであるのです。
「美」としては、下地の黒が金箔に赤みを帯びた最高の光沢を与える。
「機能」としては、漆が木材の腐食を防ぎ、そして金箔がその漆の弱点である紫外線を遮ることで、建物を守り続ける。

このことから私たちは多くのことを想像できます。

見えないところの下地の大切さ。また、それを仕上げる職人のプライド。
最高の組み合わせを見つけるために必要とした、人の苦悩・喜び、発想の転換、粘り強さ、それらを支える人たち…。

みなさんの将来においても同じです。
是非とも、光り輝き続けるものを作り上げて下さい。

「加圧トレーニング」ってどんなトレーニングだと思いますか?
初めてこの言葉を耳だけで聞いた時、カタカナの「カーツ」だと思いました。「カーツ」というトレーニング方法の名前だと思っていました。きちんと確認してみると、圧力を加えるという意味で、「加圧」という漢字で書くのだと分かりました。

このトレーニングは、普通にトレーニングするよりも、もっと圧力や負担をかけて行います。ですので、普通に行う以上に、きつかったり、大変だったりします。ある制限を付け、負担をかけてトレーニングするので、軽い力でも大きな力をかけた時と同じくらい筋力が鍛えられます。おまけに成長するための情報となる成長ホルモンが、普通の10倍も体の各器官に届きます。マラソン選手が酸素の少ないところでトレーニングを行ったり、運動選手がおもりをつけて素振りをしたり、似たようなトレーニングは他にも色々あります。運動部に入っている人の中には、「やったことがある!」という人がいると思います。

このトレーニングのいい点は、短期間・短時間で力をつけられるということです。普通に行うよりもたくさんの力がいるので、またあえて苦しい状況の中で行うので、短期間でかなりの力をつけることができます。速読を行っている人も、似たような経験・効果を実感していると思います。自分が読める3倍ものスピードで読むことで、いつのまにか読むスピードが引き上げられていきますね。

この夏の講習会や合宿も、そういったトレーニングです。普段はできない圧力や負担をかけて行うトレーニングです。普段なら1週間後の授業までに進めればよい宿題は、講習会だと翌日までに普段以上の量を進めます。合宿では、自由に休憩が取れないという制限の中で、集中力を持続させます。いつも以上の量、いつも以上の勉強時間、これまでにやったことのない量、これまでにやったことのない勉強時間。その中で勉強量が増え、忍耐力がつき、集中力がつきます。勉強を進める上での筋肉が一気につけられます。成長するための情報は、みなさんの心からも意識として伝えられます。姿勢を保つようにと、背中へ。素早く動かすように、と鉛筆を持つ手へ。文字を注意深く追いかけるように、と参考書を見る目や脳へ。

夏につけた力を持続させるには、その後も自分で自分に圧力や負担をかけることです。力がついても楽をしてしまえば、その力は消えていきます。演習をいつもより短い時間で解くことや、宿題が早く終えられるようになった分、何かプラスしてできることをやってみる。自分をちょっと苦しい状況に置いてみる。自分にちょっと課題を多く与えてみる。そうして、常に成長する自分を、夏が過ぎても発見してほしいと思います。

もう8月になりましたね。皆さんはどんな夏休みを過ごしていますか?
夏休みに入って電車で出かけた人も多くいるかもしれません。
先生もこの間電車に乗る機会がありました。

先生が乗る電車は、一番前の車両が終点の三宮駅(一番利用者が多い駅)の改札に近いので、その車両にはいつもたくさんの人が乗っています。「今日も多いなぁ」と見渡すと、部活動帰りの高校生や会社員の方、また若いお兄さんお姉さんなどいろんな人が乗っています。駅が進むにつれてさらに人も増え、ドアの近くに立っていた先生も真ん中の通路に移動しました。

すると、終点まであと2駅のときに、足が少し不自由なおばあさんが乗ってこられました。
誰か席を譲ってあげるのかなと周りを見ましたが、みんな動きません。すると、少し離れた座席でずっと携帯電話を触っていたパンクファッションのお姉さんがすっと立ち上がりました。そして「あの…」とおばあさんに声をかけますが、おばあさんは気づきません。もう一度声をかけるのかなと思って見ていると、お姉さんは何も言わずそこにずっと立ったまま、1つの席が空いている状態で三宮駅に着きました。

皆さんは、こんな時どう感じますか?
先生はとても「もったいない」と感じました。
パンクファッションのお姉さんは、せっかくおばあさんに席を譲ろうとしたのに、結局、
その気持ちがおばあさんに伝わることはなく、誰も座らない席がポツンと残ったのです。

私たちはいろいろな形で自分の考えや意見や想いを伝えることができます。
もちろんファッションや態度でも。
しかし、人に何かをしてあげたい、助けたいと感じた時、どんなに気持ちを持っていても時には『言葉』にしないと伝わらないことがあります。皆さんは、想いを言葉で伝える勇気を持っていますか?

人に何かをしてあげたいと感じた時、その想いを伝えることは何も間違いではありません。
これから講習会や合宿で新しいお友達に出会う機会も多くありますが、「~ すればいいのにな…」と思うだけではなく、ぜひ「~ してみるといいよ」など、自分から声を掛けてみましょう。
きっと新しい自分に出会えますよ。