「先生、おれ数学きらい」
「おれ、国語いやや」
「英語の単語が覚えられない」
「歴史全くわからない」

テスト前には苦手科目に頭を悩ました生徒たちがこのようなことを口々に言ってきます。
どうすれば苦手と思わなくなるのでしょうか。それはその科目でよい点をとることです。「とれないから苦手科目なんじゃないか!」とみなさんの叫びが聞こえてきそうですが、落ち着いてある生徒の話を聞いてください。

その生徒は小学6年生の12月から塾に通い始めたのですが、算数(数学)がとても苦手でした。
中学生になってもそれは変わりありません。塾の授業でも小テストをするといつも不合格で居残りをさせられました。迎えに来ておられたお母さんも「あんまり遅いと置いて帰る」と怒る始末。
真面目に塾に通い続けたので、数学の授業にはついてこれたのですが、通知表はいつも「3」。

テスト前に「先生!どうしたら数学が好きになる?」とよく言っていました。私たちも「『数学が好きだ』と毎日唱えて自分で暗示をかけなさい」などと言っていましたが、思うようには克服できなかったようです。その後、彼女は無事公立高校に合格しましたが、高校生になっても塾に通い続けてくれました。もちろん数学が苦手なので数学の授業を他の教科より多く受講しました。

そして彼女が高校2年生のとき、ついにその成果が出たのです。なんと彼女は数学で学年1番をとったのです。彼女の数学への苦手意識はすぐには治りませんでしたが、その後何度も1位をとるうちに数学は「得意科目」になっていったのです。

苦手を克服するのに小学6年生の冬から高校2年生の冬までかかりましたが、彼女が克服できた理由は何だったのでしょう。6年間彼女を見ていた私が思うに、「真面目にコツコツと勉強を継続したこと」と「苦手だからといってその科目から逃げなかったこと」が挙げられます。さらに言えば、高校生のとき「苦手だからより多く勉強しよう」と思ったことが最大の要因だったのではないでしょうか。

よい結果がでればさらに人は頑張れるのです。その喜びを得るためにみんな努力しているのです。今結果が出なくてもあせることはありません。その結果は必ずあとから出てくるのです。

竹の話です。
竹ってどんなイメージがありますか?
……「強い」
……。

そんな竹ですが、こんな風に成長していきます。

5年後に一気に、伸びていますね。
4年間は全然伸びていないのに。

じゃあ最初の4年間は何も変わっていないのでしょうか。
そんなことはないです。
では、いったいどこが成長しているのでしょうか。

わかりましたか?
実はこんな風に成長しているんです。
「根っこ」を張ってますね。
「根」が成長しているんです。

まず、しっかりと根を張ることで、太く長い幹を支える基盤をつくっている。
そしてしっかりとした基盤が出来たとたん、一気に伸びていく。
根がしっかりしているから、あれだけ長くても、強風がきても簡単に折れたりはしない。
竹やぶがあるところは地盤がしっかりしているというのは、地中に張り巡らされた「根」によるものなんですね。
そして冬になっても葉を落とすことなく、凛とした姿で立っている。

人はともすると目に見える部分にばかり目が行きがちです。

しかし、見えない部分の成長が、見える部分を変えていくんだと思います。
勉強でもスポーツでも何かに取り組み始めてもすぐには、結果は出てこない。
しかし地道に努力を続けていくことで “体の中に「根」が張り巡らせる”
それがしっかり基盤になったときはじめて本物の結果(実力)が手に入るのです。

1月に入って、いよいよ受験シーズンが本番となりました。
すでに各地で中学入試が始まっていますし、大学入試センター試験も今度の週末に実施されます。

『人事を尽くして天命を待つ』という言葉があります。「人間として出来るかぎりのことをして、 その上は天命に任せて心を労しない」という意味です。受験生の皆さんはそのような気持ちになるまで、徹底的にベストを尽くしているでしょうか。

自分は「やるだけのことはやった。あとは天命を待つだけ」と言い切るためにも、残り少ない日々を大切に過ごしてほしいものです。今、この一瞬を貴重なものと考え、目標に向かって意思決定をしたからには、最善を尽くす——そして、合格した時に思わず涙が出てくるような、そんな受験生活を過ごしてほしいと願っています。

もちろん、入試だけが人生のすべてではありません。人生のほんの一部分です。
ですが、その一部分の積み重ねが大部分を確立させていくのです。そしてそれぞれ部分でどれだけ真剣に取り組むことが出来るか出来ないかで、その人の人生が決定されるのではないでしょうか。

人間の価値は名誉・地位・金銭だけではありません。自分自身に対してどれだけ真剣に取り組んでいるか、いないかではないでしょうか。

受験生の皆さんが最後まで入試に真剣に取り組み、最高の結果が得られることを祈っています。

冬はその寒さや風景が、なぜか「試練」をいう二文字を呼び起こしてくれます。
冬来たりなば春遠からじーーー 厳しい寒さに耐えて、春に芽がふく幾多の草木。それらはやがて咲かせる色鮮やかな花の季節をじっと待っているようにも見えます。こうした自然の摂理が、私たちに大いなる教訓を与えてくれそうです。

来る春に入試を控えている生徒の皆さん。入試に向けて、まさに正念場を迎えているはずです。君たちの目標は第一志望合格という栄冠を勝ち取ることだと思います。したがって、それに向かって最善を尽くさなければならないことは言うまでもありません。
また受験生にとって、たっぷりと学力を蓄えて、その成果を入試で多いに発揮するためには、この冬をいかに乗り切るかが鍵となります。

一方で、受験を控えている先輩たちの姿を見つめて、数年後の自分を想像している君たち。自分の力で一人勉強する習慣をつけ、様々な困難に打ち勝つべく、自己を鍛錬することの大切さは、君たちも充分承知していることと思います。そうした鍛錬の積み重ねをしかるべき時期に余すことなく発揮出来る用意をしているでしょうか。

この冬にもあちこちから雪のたよりが寄せられています。雪解けの春に向けて、生きとし生けるものが着々と躍動する準備を始めています。君たちの躍動の準備は万端でしょうか。

ともあれ、それぞれの学年を越えて、厳しい冬を自分にとっての試練の場として受け止め、闘志を燃やせる君たちであって欲しい。
学年の総復習と新学年への準備という課題に取り組まなくてはいけないIII期ゼミもいよいよスタートします。新たなステージへの充実した学期にしていって欲しいものです。