新年になると、何か新しいことをしたいな!と思うのですがみなさんはどうでしょうか?
先生は昨年から言語学に興味を持ち、時間があるときに気になることを調べています。
その中で一番好奇心がそそられたのは、幼い子どもの言語発達についてです。
突然ですが、みなさんは幼い子から「今日、とらのこが降るからはやく帰ろうよ。」と言われたらどう思いますか?
「とらのこって何だ?」ときっと大困惑することでしょう。
実はこれ、「今日は雹(ひょう)が降るからはやく帰ろうよ。」と言いたかったのです。
天気予報で「ひょうがふる」と聞き、ひょうと言えば動物、豹ってなにか虎と似ていたな、じゃあ虎の子だ!と考えたという成り行きでした。
とっても可愛い間違いですよね…。
「そんな勘違いありえないよ!」と笑っている人もいるかもしれませんが、おそらく幼いころに似たようなことを言っているはずですから、ぜひお家の人に聞いてみてくださいね。
さて、言葉というのは年齢を重ねていくにつれ、正しく使える数が増えていくものだと思います。
それではなぜみなさんは言葉が正しく使えるようになっていくのでしょう?
それは、わたしたち人間が訂正・修正を繰り返して学ぶことができるからだと思います。
かく言う先生も、言葉はどう使うのかといったことを語っていますが、幼い頃はとうもろこしを「とうもころし」と物騒な言い間違いをしていましたし、今でも自分の使っていた言葉の誤りに気付くこともあります。
(「準備万端」と「準備万全」って違うんだ!とか)
ただ、少しずつ心身が発達してくると、間違いが「恥ずかしいこと」「してはいけないこと」のような気がしてしまい、なかったことにしたり、放置したり、何か他のせいにしてしまったりしてしまいたくなります。
そこで、間違いを訂正していくことが成長に繋がることを心に留めていてほしいのです。
もちろん、いくら頭では理解していても実行することは生半可な気持ちでは難しいです。
しかし、その大変さ、面倒さを超えた先にある理解したときの気持ちよさを味わってほしい、学びの原動力としてほしい、そして、そのサポートができたら幸せだなと思っています。
秋は過ぎ去り、冬が本番を迎えつつある昼下がり。
いい加減運動せねばと思い、近所を散歩する。
いい天気だ。雲ひとつない。
遠くに見える真っ青な空と深い緑の山の境界線が好きだ。
たどり着ける訳もないのにそこへ向かって歩みを進める。
ふと、空と山の境界線に白い鉄塔があるのに気づく。
そう言えば、あの鉄塔はどうやって建てたのだろう。
トラックが通るような道があるようには思えない。
まさか人の力で運んでいるのだろうか?
それに鉄塔と鉄塔の間を結ぶ電線はどうやって張ったのか?
次々に浮かぶ疑問と一緒に散歩を続ける。
ふと、目の前に「〇〇の宿跡」と彫られた石碑が現れる。
宿?
ここには昔宿があったのか?
温泉か?温泉があったのか?
温泉に行きたいな。
寒くなってきたな。
帰ってお風呂に入ろう。
湯船につかりながら先ほどの疑問を思い出す。
なぜ?どうして?どうやって?
だめだ、お風呂になんて入っている場合じゃない!
どうやって山の上の鉄塔を立てるのか?
建設場所まで行くための道路を作って資材を運んだり、ヘリコプターを使ったりして運ぶ。
送電線もヘリコプターと地上の作業員との協力で張る。
資材の材質や塗装の色、作業方法の一つ一つに工夫がしてある。すごい。
「〇〇の宿跡」とはいったい何?
昔の街道沿いにあった休憩のための宿。場所によっては峠を越えるための準備をする場所。
街道で有名なのは五街道「東海道」「中山道」「甲州街道」「奥州街道」「日光街道」。
街道は人や物資が行き来するために整備された道のこと。五街道は参勤交代にも用いられた。
街道は日本各地にあり、中でも長崎街道は別名「シュガーロード」とも呼ばれる。
出島を通じた貿易で当時貴重だった砂糖が大量に長崎にもたらされ、街道を通って長崎から佐賀を通り、福岡まで砂糖が運搬された。
このとき街道沿いに砂糖や砂糖を使った菓子作りの技法が伝わり、カステラや丸ぼうろなどの有名なお菓子が生まれた。なるほど。
普段気にも留めない目の前の光景にも、必ず意味や歴史が存在する。
誰かが言った。
「知識を増やすことは、世界の解像度を高めること」
知れば知るほど世界はより鮮明に、より深く、より広がっていく。
知るためのスタートラインは疑問を持つこと。
なぜ?どうして?と感じることが、あなたの世界を広げるきっかけとなる。
今年も残りわずか。
来年もあなたにとって世界が広がる1年となりますように!
そう願いながらこの文章を打つ手が止まる。
キーボードの配列はなぜこうなっているのか?
今年もあと1ヶ月あまりとなりました。
能開の教室は北から南までありますので、まだ寒くない地域、雪景色になっている地域など様々かと思います。
さて、みなさんは宇宙の年齢を知っていますか?
宇宙の年齢は様々な観測データを組み合わせて出された結果、138億年といわれています。
人間の一生が仮に100年としてもその年月は途方もないような時間に感じます。
ところで、どこの家にも一つはあるであろう「トランプ」(アメリカの新大統領でありません)は、52枚から成ります(ジョーカーを除く)。
この52枚のトランプの並び方のパターン数と、宇宙が誕生してから経過した秒数では、どちらの数が多いと思いますか?
答えは、圧倒的にトランプの並び方のパターン数の方が多いです。
まず、トランプ52枚の並び方のパターンは、52×51×50×・・・・×2×1となります。
実際に計算するのはやめましょう。
これは計算すると68ケタの数となります。
片や宇宙の年齢を秒に換算すると138億年×365日×24時間×60分×60秒=435196800000000000秒で18ケタとなり、68ケタの数 対 18ケタの数で、トランプの方が圧倒的に多いことになります。
身近に宇宙にも勝る数値が潜んでいるのは考えると不思議でワクワクしますね!
勉強の合間にゲームやYoutubeもいいですが、ちょっと興味のある本を開いてみるのも新たな発見があっていいかもしれませんよ。
みなさんは「箱根駅伝」を知っていますか?
毎年1月2日と3日に開催される関東の大学駅伝で、お正月の風物詩にもなっています。
東京から神奈川県の箱根・芦ノ湖間を、往路5区間(107.5Km)と復路5区間(109.6Km)、合計10区間(217.1Km)で競われます。これは学生駅伝では最も長い距離です。
箱根駅伝に出場できるのは関東圏の大学で、「前年度の上位10校」と「予選会を通過した10校」、それに「関東学生連合チーム」を加えた21チームです。
箱根駅伝には、11位以下になってしまうと、次年度は予選会から参加しなければならないというルールがあります。
そして、その予選会で10位以内に入らなければ、箱根駅伝には出場できません。
予選会は毎年10月に行われ、40校近くが出場枠を争います。
予選会では、各大学の10~12人がハーフマラソンのコースを一斉に走り、各大学の上位10人のタイムを合計して順位を競います。
10人の合計タイムで決まるため、走り終わっても予選を通過できたかどうかはすぐにはわかりません。
今年の予選会は、雨上がりの蒸し暑さに加え、容赦ない強い日差しがふり注く過去最悪のコンディションで、波乱が続出しました。
フラフラで今にも倒れそうなランナーたちをテレビで観ていて、何度も声が出そうになりました。
予選会が終わり、いよいよ運命の結果発表の時・・・。
発表は「結果発表ボード」に、第1位の大学から読み上げ・開示されていきます。
「第1位 立教大学 記録10時間52分36秒」
次々と箱根の切符を勝ち取った大学が呼ばれ、そのたびに大きな歓声が上がります。
9位まで呼ばれて、箱根駅伝に出場できるのはあと1校だけ。
「第10位 順天堂大学 記録11時間1分25秒」
その瞬間、順天堂大学の選手たちは抱き合って喜びを爆発させました。私も感動で鳥肌がたちました。
その後、第11位が読み上げられました。
「第11位 東京農業大学 記録11時間1分26秒」
10位と11位のタイム差は、なんとわずか1秒。
東京農業大学の選手たちは泣き崩れました。
たった1秒。しかし、それはとてつもなく大きな1秒でした。
勉強にも同じことが言えると思います。
1点でも多く!1問でも多く!これを生み出すことは決して簡単なことでないですよね。
しかし、日々の積み重ねによって叶えられると私は信じています。
だからといって、毎日全力でガツガツ頑張り続けるのは難しいでしょう。
小さくてもいいんです。
積み上げていってください。
今日の積み上げが「0.001点」「0.001問」でも構いません。
未来の1点・1問に必ずつながっていきます。
昆虫少年だった伸一君(だれだろう?)は、日々、蝶やカミキリムシの採集に夢中でした。そしてもちろん、将来は大好きな昆虫を研究して、生物学者になるつもりで大学に進学しました。
しかし、昆虫の研究の多くが「害虫」、つまり人間にとって迷惑な虫をどう駆除するかというテーマが中心。
農薬の研究なども多く、結局は大好きな昆虫を殺すための勉強ばかり。
伸一君はあっさり挫折してしまいました。
そこで、当時脚光を浴びていた「生命とは何か?」というテーマをミクロな視点で研究する分子生物学に挑戦することにしました。
厳しい研究の末、彼はついに新しい遺伝子細胞を発見!(やったね、伸一君!)
彼は、この遺伝子が生き物にどのような情報や役割を持っているかを実験で確かめることにしました。
実験方法は、発見した新しい遺伝子細胞をネズミから取り除き、その後の変化を観察する、というものです。
ネズミに何かしらの異常が現れれば、遺伝子の役割が見えてくるはずです。(すごいね、こんな方法を考え出すなんて!)
伸一君が発見したこの新しい遺伝子は「GP2」と名付けられました。
GP2を取り除いたネズミを育てるのにまず3年かかりました。(おーーー!)
その後、GP2を欠いたネズミを毎日観察。
しかし、ネズミはすくすくと健康に育ち、子どもまで生まれました。
「なんでなんだ~!」 ネズミは健康そのものです。
この頃の生物学の世界では、生物も機械のように考えられ、一つ一つの細胞もパソコンの部品のようなものと同じだと捉えられていました。
だから、どこかの部品がなくなれば当然、不調が起こり壊れてしまうはずだと考えられていたのです。
「なぜネズミは平気で元気なんだ…うーーーー?」
伸一君はまたも大きな挫折を味わいました。
けれども、彼には新たな考えが生まれました。
長い年月をかけて生き残った遺伝子細胞がなくなっても何も起こらないということは、もともとの考え方が間違っているのではないか?
そうして彼は、当時は忘れ去られていたシェーンハイマーという100年前の学者の言葉を思い出しました。
「生命は機械ではなく、流れである」という言葉を。
その後、伸一君は、生物にとって食べ物は車のガソリンのようなものではなく、体は常に自らの細胞を壊しながら、食べ物を取り込み、新しい自分を作り直していることを知りました。
すごいね。
特に新しく入れ替わるのは胃や腸などの消化器官の細胞で、早ければ1か月で入れ替わるのです。
人間全体も1年もすればほとんどが新しい細胞に入れ替わるそうです。
そして、生き物は(僕らも)何かを失っても他の部分で補い、常に細胞を入れ替えながら、絶妙なバランスを保って生き続けているのです。
これを「動的平衡」と呼ぶそうです。
昨日の自分は、厳密には今日の自分とは違うわけです。
僕らは日々自分を壊し、新しく作り替えながら生きているんだね。
すごく気持ちいい話だと思わない?みんなはどう感じるかな?
※伸一君についてもっと知りたい人は、ネットで調べてみてください。
【福岡伸一先生】